概要
脳血管内手術を飛躍的に進化させる新技術開発しているiMed Technologyについて書いていきます。
※この記事は、強く関心を寄せているトピックの問題提起のために個人が作成したものであり、医療従事者による記事でないことご理解・ご了承ください。尚、専門家の方からのご指摘があれば誠意を持って、対応・即時修正いたします。記事の質向上へのご協力大歓迎です。
脳血管疾患は日本の死因第3位
2017年厚生労働省発表のデータによると脳梗塞やクモ膜下出血など脳血管疾患は日本の死因第3位です。
救急対応には、素早い対応と手術のできる医師を持つ病院での受け入れが不可欠になります。
従来主要だったクリッピング法(注1)やt-PT(注2)の課題を解決するとされる、「脳血管内手術」と呼ばれるカテーテル等を使用した負担の少ない手術が知られています。
しかし、難易度も高く日本では脳血管内治療ができる体制は不十分です。
(注釈)
1 くも膜下出血や未破裂の脳動脈瘤での従来の頭蓋骨を開く手術。患者への負担が大きい。
2 脳卒中の際、血管の詰まり溶かす点滴治療。太い血管の詰まりに有効性が低く、対応までの時間の制約がある。
地域ごとに大きな格差が
日本でも血栓回収療法が「脳卒中ガイドライン2015(2017年追補版)」でGrade A(行うべき治療)として位置づけられており、徐々に広がりを見せていますが、脳血管内治療専門医(またはそれに準ずる医師)が対応可能な施設は限られており、体制整備は十分ではありません。
この治療には都道府県格差があり、10万人あたり全国平均では8.15人ですが、突出して高い高知県では20.25人です。また同一県内でも地域格差があるのが現状です。
参考:広がる脳血管内治療の進歩と課題 ( 2018/11/16 )
現役医師が立ち上げたスタートアップ
2019年設立とわずか3年のスタートアップiMed Technologyが開発する技術が注目されています。
現在全国の提携病院から提供を受けた100万枚のMRIの画像解析により、機械によるサポートを可能にするとのことです。
負担の少ないカテーテル手術のAI支援技術適応
日進月歩を進めるテクノロジーやデバイスのおかげで、破裂した動脈瘤や10ミリ以上の未破裂動脈瘤なども脳血管内治療(カテーテル)が適応できるようになった。一方で、経験のある医師でも未だ難易度の高い手術である。足の付け根の動脈から挿入したカテーテルが血管を突き破ってしまわないよう4枚の X 線映像を見ながらミリ単位の調整を行う。複数の医師や助手が映像を見守り、危険な前兆が見えたら「危ない」と声を掛け合って事故を未然に防いでいるのが現状。
参照1:広がる脳血管内治療の進歩と課題 ( 2018/11/16 )
参照2:脳血管内手術の手術支援AIを開発するiMed Technologies、初のエクイティファイナンスで1.7億円を調達
参考:岡山の医療難民を助けたい
最新情報
今年1月に行われたジャパン・ヘルスケアビジネスコンテストで代表が登壇していました。
発表の中では、今年のサービスリリースを予定していることが伝えられました。
競合他社においては、手術支援ロボット開発の業種の他、Medtronic、Preferred Networks、Googleなどが画像診断技術の分野において競合企業になりえるとのことです。
質疑応答の中では、薬事法の認可取得においてサービスをどのようなカテゴリで進めていくか質問が上がりましたが薬事戦略上非公開とのコメント。
(※しかしながら代表の河野医師は、2020年4月から厚生労働省医政局医事課にも所属しており、認可取得はスムーズに降りるのではないかと期待されます。)
特許取得については、臨床現場を行いながら改良していった点についてもそれぞれ特許をとっていると報告しており、後に参入してきた競合への対策を講じていると述べていました。
リリース後の展望においては、世界の学会でガイドラインへの導入検討などがされると急速な普及が期待できると予想していました。
河野医師は、今も時折現場に経ちながら改良を進めているそうです。
とにかく事業内容も一点集中で取り組んでいる真っ直ぐな企業、競合に邪魔されずに展開してくれることを願っています。
この企業を見つけた際、「探していたものが日本で開発進められてるんだ!」と感動してしまいました。
個人的にも手術体制の改善を切に願っていますし、私も画像・データの分野を極めてぜひ何らかの形で貢献できたらと密かな思いを抱いていたりもします。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
追記
始めて間もない中ですが、この記事で@koki_develop様集計のLGTMデイリーランキングで28位をいただきました。