Scalaに代数型(datatype）を実装する その２

字句解析器

字句解析器に手をいれていきます。

必要となるものは、"datatype"というキーワードを定義することだけです。

Scalaのソースコードを読んでみる　その３で書いたように、キーワードを追加するには、

1. src/compiler/scala/tools/nsc/ast/parser/Tokens.scalaにキーワード用の定数を追加する。

2. src/compiler/scala/tools/nsc/ast/parser/Scanner.scalaのallKeywordsというリストに１で定義した定数を追加する。

3. メソッドinFirstOfStat, inLastOfStat に必要に応じて、１で定義した定数を追加してやる。

4. src/reflect/scala/reflect/internal/StdNames.scala のclass Keywordsに追加したいキーワードを定義しておく。

の４つです（推測ですが）。

順番に作業していきます。

Tokens.scalaに定数を追加

Tokens.scala

  final val LAZY = 61
  final val MACRO = 62 // not yet used in 2.10
  final val THEN = 63  // not yet used in 2.10

  final val DATATYPE = 64  // ←追加した行

  /** special symbols */

Scanner.scalaのallKeywordsに定数を追加

Scanner.scala

    nme.CLASSkw     -> CLASS,
    nme.DATATYPEkw  -> DATATYPE,  // ←追加した行
    nme.DEFkw       -> DEF,

Scanner.scalaのメソッドinFirstOfStat, inLastOfStat

'datatype'が「文の最初にくることが可能なトークンかどうか」というと、文の最初にくることが可能ですので、inFirstOfStatは真になります。なので、特に変更を加える必要はありません（case文に列挙されていないキーワードは真、なので）。

また、「文の最後にくることが可能なトークンかどうか」は偽になります。
よって、inLastOfStatも変更を加える必要はありません(case
文に列挙されていないキーワードは偽なので）。

StdNames.scalaにキーワードを定義

StdNames.scala

  abstract class Keywords extends {
    private val kw = new KeywordSetBuilder

    final val ABSTRACTkw: TermName  = kw("abstract")
    final val CASEkw: TermName      = kw("case")
    final val CLASSkw: TermName     = kw("class")
    final val CATCHkw: TermName     = kw("catch")
    final val DATATYPEkw: TermName  = kw("datatype") // ←追加した行
    final val DEFkw: TermName       = kw("def")

字句解析器の修正は以上です。

（つづく）