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やっぱり線形代数は必要 #5 行列式=体積拡大率(1)

プログラミングのための線形代数 平岡 和幸(著), 堀 玄(著)オーム社」をまとめています。が、大学数学はほぼ独学なので、だいぶゆるふわ理解になると思います。どうぞご了承ください。間違っていたらぜひ指摘してください。

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行列式 = 体積拡大率

写像適用後の、空間の面積(3次なら体積)の拡大率は、行列式(determinant)という値で求められる。$det A = 0.75$とか$|A|=0.75$と表す。

68747470733a2f2f71696974612d696d6167652d73746f72652e73332e616d617a6f6e6177732e636f6d2f302f3136303739332f35313435323066632d306233622d373365312d373766342d3734383964363836303539362e6a706567.jpeg

行列式が負の値なら変形は裏返し。正方行列じゃない行列には行列式は定義できない。

2018-11-28追記: 図中行列式の値を修正しました>< ご指摘ありがとうございます!


1. 行列式の性質


- 基本

\begin{align}

det I &= 1 \\
det(AB) &= (det A)(det B) \\
det (A^{-1}) &= (det A)^{-1} \\
det (diag(\boldsymbol{a_1}, \cdots, \boldsymbol{a_n})) &= \boldsymbol{a_1} \cdot \cdots \cdot \boldsymbol{a_n} = \prod_{i=1}^n \boldsymbol{a_i}
\end{align}

2018-11-28追記: 3行目が誤解を招く記法だったのと、4行目が間違っていたので修正しました>< ご指摘ありがとうございます!

1行目 ... 単位行列の行列式は1。

2行目 ... 行列の積 の行列式 は それぞれの行列式 の積。これ↓は間違い。和のときの分解の仕方は後述。

× \quad det(A+B) = det A + det B

3行目 ... ある行列の逆行列の行列式は、元の行列式の逆数。

4行目 ... 対角行列の行列式は、対角成分の積で求められる。対角行列 $diag(a_1, \cdots, a_n)$の表す写像は、「第1軸方向に$a_1$倍、第2軸方向に$a_2$倍、...」だから。

File (1).jpg

「#3 行列」の対角行列が表す写像についての項目 おさらい)。

ちなみに、どこかの列が全て0の行列や、どれか2列が全く同じ行列は、$det A = 0$。

A = 

\left(
\begin{matrix}
0 & 9 & 4 \\
0 & 5 & 3 \\
0 & 1 & 8
\end{matrix}
\right),
B =
\left(
\begin{matrix}
2 & 2 & 4 \\
7 & 7 & 3 \\
6 & 6 & 8
\end{matrix}
\right)\Rightarrow
det A = 0, det B = 0

さらにちなみに、転置行列の行列式は、元の行列の行列式と同じ。

det (A^T) = det A


- 便利な性質: 等積変形的なイメージで列をいじれる

ある列の定数倍を別の列に加えても、その行列の行列式の値は変わらない

ex.) 3列目に2列目の10倍を足してみる

det

\left(
\begin{matrix}
1 & 1 & 5 \\
1 & 2 & 7 \\
1 & 3 & 6
\end{matrix}
\right)
=
det
\left(
\begin{matrix}
1 & 1 & 5+1*10 \\
1 & 2 & 7+2*10 \\
1 & 3 & 6+3*10
\end{matrix}
\right)
=
det
\left(
\begin{matrix}
1 & 1 & 15 \\
1 & 2 & 27 \\
1 & 3 & 36
\end{matrix}
\right)

Screen Shot 2018-11-13 at 10.17.28.png

こんな感じで、図的に考えると等積変形しているってこと=体積変わらない=行列式変わらない。

ちなみに、下のような上三角行列は、対角成分の積で体積拡大率=行列式を求められる。列を$(a_{11}, 0, 0)^T$、$(a_{12}, a_{22}, 0)^T$、$(a_{13}, a_{23}, a_{33})^T$に分解すると、$a_{11}$、$a_{22}$、$a_{33}$がそれぞれ平行四辺形の高さと底辺になっているから。

A=

\left(
\begin{matrix}
a_{11} & a_{12} & a_{13} \\
0 & a_{22} & a_{23} \\
0 & 0 & a_{33}
\end{matrix}
\right)
\Rightarrow
detA = a_{11}a_{22}a_{33}

Screen Shot 2018-11-13 at 10.17.21.png


- 大事な性質: 多重線形性

\begin{align}

det (c\boldsymbol{a_1}, \boldsymbol{a_2}, \cdots, \boldsymbol{a_n}) &= c det(\boldsymbol{a_1}, \boldsymbol{a_2}, \cdots, \boldsymbol{a_n})
\\
det (\boldsymbol{a_1} + \boldsymbol{a'_1}, \boldsymbol{a_2}, \cdots, \boldsymbol{a_n}) &= det (\boldsymbol{a_1}, \boldsymbol{a_2}, \cdots, \boldsymbol{a_n}) + det (\boldsymbol{a'_1}, \boldsymbol{a_2}, \cdots, \boldsymbol{a_n})
\\
det (cA) &= c^n det A
\\
det (\boldsymbol{a_2}, \boldsymbol{a_1}, \boldsymbol{a_3}, \cdots, \boldsymbol{a_n}) &= - det (\boldsymbol{a_1}, \boldsymbol{a_2}, \boldsymbol{a_3}, \cdots, \boldsymbol{a_n})
\end{align}

1行目 ... ある列が定数$c$倍になってたら、その定数$c$は行列式の前に取り出せる。$c$が1列目にくっついてるときだけでなく何列目についてる場合でも成り立つ。

2行目 ... ある列を足し算で分解できるが、分解の仕方に注意。積は分解できるという性質の紹介のときに述べたが、これ↓は間違い。

× \quad det(A+B) = det A + det B

3行目 ... 1行目の定数倍を取り出すとき、$c$がいくつもあるなら、ある数の分だけ塁上されて取り出される。

4行目 ... 行列式が負の値なら図形的には裏返しの意味なので、2つの列を入れ替えると符号が逆転する(交代性)。

あくまでも多重線形性の話は「どこか1列だけ」の操作のときのみ。

Screen Shot 2018-11-13 at 16.19.19.png

Screen Shot 2018-11-13 at 16.19.19 copy.png


2 行列式の計算の工夫

次回


今後の予定