※今回の内容はYouTube動画でもご紹介しています。
はじめに
製造 現場や研究開発におけるプロセスモニタリングでは、時間経過に伴う複数の変数の挙動を同時に把握することが不可欠です。たとえば、同一工程において「温度(℃)」「圧力(Pa)」「濃度(%)」「流量」「pH」といった、単位もスケールも全く異なる5つの変数を同時に比較・検証したいケース等は珍しくありません。
これらのデータを可視化する際、共通の時間軸(X軸)に対して、各変数をY軸にプロットして相関を確認するのが一般的です。
しかし、多くの汎用ツール(スプレッドシートやBIツールなど)では、Y軸に2つの独立したスケールを割り当てる「2軸表示」が標準的な仕様であることが多く、3つ以上の変数を同一の時間軸で並列して比較するには、グラフを重ねたり分割したりといった相応の工夫が必要となるのが一般的です。
こうした可視化のための試行錯誤は、多角的なデータ探索を求める半導体、化学、医薬品などの製造・開発現場において、スピード感を求めるエンジニアの負担となってしまうことがあります。
グラフビルダーの「複数のY軸」の特長
この点、JMP 19で強化されたグラフビルダーの新機能「複数のY軸」は、1つのグラフ上で3 軸以上の設定を極めて簡単にし、JMPの醍醐味である動的でインタラクティブなUIを最大限に活かした分析を可能にします。
具体的には、以下の3つの直感的な操作や仕様が、データ探索の質を高めます。
1.ドラッグ&ドロップによるY軸の入れ替え
入れ替えたいY軸をマウスで掴んで左右に動かすだけで、瞬時に順番を入れ替えられます。「変数AとCを隣同士に並べたい」といった場合にも即座に対応可能です。
2.軸のドラッグによるスケールのリアルタイム伸縮
特定の軸を直接ドラッグするだけで、その変数のスケールのみをリアルタイムに伸縮させることが可能です。波形の重なり具合を微調整しながら、データに隠れたインサイトを探る作業が一段と捗ります。
3.色による視認性の自動同期
軸を追加すると自動的に色が割り振られ、軸の色と折れ線の色が同期します。変数の数が増えても、どの軸がどの線を指しているか一目で把握できます。
このように、たとえ3軸以上の構成になっても、JMPは簡単にグラフを作成でき、そのグラフの視認性が損なわれることはありません。
「スケールを伸縮させる」「Y軸を入れ替える」といった一連のスムーズな操作感によって、エンジニアの思考が分断されず、データとの深い対話を実現する余裕が生まれます。
JMPによるデモ
ここからは、JMP 19のグラフビルダーを用いて、実際にどのように3本以上のY軸を操作し、データを探索していくのか、その具体的な手順を解説します。
JMPユーザーではない方も、ぜひ下記トライアル版で試してみてください。
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まだJMPをお持ちでない方は、ぜひ下記よりダウンロードして一緒に操作してみてください。
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【操作手順】
1.データの準備
JMPを起動し、「ヘルプ」>「サンプルデータフォルダ」>「Functional Data」フォルダから「Fermentation Process」を選択します。

2.グラフビルダーの起動
3.「複数のY軸」の選択
画面上部の「折れ線」アイコンをクリックします。次に、左上の「グラフビルダー」横の赤三角(▼)からメニューを開いて「複数のY軸」をクリックします。

4.変数の割り当て
- 「X」:「時間」
- 「Y」:「pH」、「タンク水準」、「空気」、「NH3添加」、「温度」を順にドラッグ&ドロップします。
5.インサイトの発見:データの「動き」を重ね合わせて関連性を理解する
作成されたグラフは、5本のY軸が並びながらも、色が自動で割り振られ、高い視認性が保たれています。
また、この5本のY軸の並びは自由に入れ替えることができますし、軸の数字を左右にドラッグすることでスケールの拡大縮小を自由自在に行えます。こうした直感的な操作感は、動的なUIを強みとするJMPだからこそ実現できます。
並列表示は個々の変数のトレンド把握には適していますが、「変数Aがこの値になった瞬間、変数Bに何が起きたか」という微細なタイミングのズレを特定するのは、視線が上下に分散してしまうため、簡単ではありません。
ですが、JMP 19の「複数のY軸」であれば、このような視線の上下が起きません。たとえば、「NH3添加」の数値が急落するタイミング(「時間」:9.5付近)の「温度」は何度なのか確認したいとします。その場合は「温度」のY軸を右にドラッグしてスケールを拡大し、「NH3添加」のグラフと重なるように調整します。

これにより、おおよそ32.6℃に達した時点で、「NH3添加」の数値の急落が開始するという事実が、視線の上下なしで、ひと目で判明しました。
まとめ
本稿で紹介したJMP 19の「複数のY軸」は、単に表示できる軸の数を簡単に増やせるという機能ではありません。
直感的な操作によって軸を自由自在に動かし、データと対話しながら直接インサイトを引き出せる。その「圧倒的な操作性」こそが、エンジニアやサイエンティストの思考を加速させる鍵となります。
データを探索し、新たな発見につながる、その楽しさを、ぜひJMPで体験してみてください。
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