はじめに
こんにちは!
クラウドネイティブな環境が当たり前になる中で、「アプリケーションの性能維持」と「インフラコストの最適化」の両立に頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、IBMのAIOpsソリューションである IBM Turbonomic と IBM Instana Observability を連携させることで、この課題にどうアプローチできるのかを解説します。
特に、Turbonomic(インフラ最適化ツール)側から見て、Instana(APMツール)と連携することがどれほど有効なのか、具体的なメリットを3つのポイントに絞ってご紹介します。
- InstanaのAPMデータを使うことで、Turbonomicのリソース最適化がもっと賢くなる。
- パフォーマンス問題の根本原因特定が速くなり、障害を未然に防げるようになる。
- インフラとアプリを一元的に可視化でき、チーム間のサイロ化を防げる。
1. アプリケーション性能を考慮した、より高精度なリソース最適化 🎯
Turbonomicは通常、CPUやメモリなどのインフラリソースの使用率を見て、リソースの過不足を判断します。しかし、これだけではアプリケーションの快適性まで測ることはできません。
Instanaと連携することで、Turbonomicは以下の様な**アプリケーションのパフォーマンス指標(APMデータ)**を直接取り込めるようになります。
- アプリケーションの応答時間
- トランザクション量
- サービスレベル目標(SLO)
これにより、Turbonomicの判断ロジックが格段に進化します。
Before(連携なし)
「このVMのCPU使用率が低いから、リソースを削減しよう」After(Instana連携あり)
「このVMのCPU使用率が低いが、アプリケーションの応答時間を維持するためには、これ以上のリソース削減は危険だ」
このように、単なるリソース使用率に基づいた最適化から、「ビジネスインパクト」を考慮した最適化へとシフトできます。結果として、パフォーマンスを犠牲にすることなく、コスト効率を最大化することが可能になります。
2. 問題の根本原因特定を迅速化し、プロアクティブな障害防止を実現 🔍
アプリケーションで遅延などの問題が発生した際、原因がアプリケーションのコードにあるのか、それともインフラリソースの不足にあるのかを切り分けるのは、非常に時間がかかる作業です。
InstanaとTurbonomicの連携は、このプロセスを劇的にスピードアップさせます。
- Instanaがアプリケーションのパフォーマンス低下を検知
- その情報が即座にTurbonomicに連携される
- Turbonomicは、問題のアプリがどのVMやコンテナ上で動いているかを把握しているため、パフォーマンスの問題とインフラリソースの状態を直接関連付けて分析
これにより、「このデータベースのCPU不足が、あのビジネストランザクションの遅延を引き起こしている」といった根本原因の特定が瞬時に行えます。
さらに、Turbonomicは将来の需要を予測してリソースを自動調整することで、パフォーマンスの問題が顕在化する前にリソース不足を解消し、障害を未然に防ぐプロアクティブな運用を実現します。
3. アプリケーション視点での統合的な可視化と管理 🖥️
インフラ担当者はインフラのダッシュボードを、アプリ担当者はAPMツールをと、別々のツールを見ていることでコミュニケーションロスが発生しがちです。
Instanaと連携することにより、Turbonomicはインフラリソースの依存関係だけでなく、その上で稼働しているビジネスアプリケーションやサービスの依存関係までをも可視化できるようになります。
これにより、運用チームはインフラとアプリケーションの状況を単一のダッシュボードで、しかも関連付けて把握できます。
「この仮想マシンのリソースを変更すると、どのビジネスアプリケーションに影響が出るか?」
といった影響範囲を直感的に理解しながら、リソースの最適化アクションを安心して実行できるようになります。これにより、チーム間のサイロ化を防ぎ、データに基づいた迅速な意思決定を支援します。
まとめ
IBM TurbonomicとInstanaの連携は、パフォーマンスとコストのバランスを取りながら、システムの信頼性を高めるための強力なソリューションです。
- より賢いリソース最適化
- 迅速な問題解決と障害予防
- スタック全体の統合的な可視化
これらのメリットにより、運用チームはよりプロアクティブで、データに基づいたインフラ管理を実現できます。クラウドネイティブ環境の運用に課題を感じている方は、ぜひこの強力な組み合わせを検討してみてはいかがでしょうか。


