地図データはすべての人に届くべきだ
私たちは当たり前に地図を日常で使っている。
「ここから最寄り駅まで、徒歩何分かな」
「あの場所までどの経路が最適かな」
もし自分の暮らす町の地図データがなかったら、
もし初めて行く異国の地の地図データがなかったら、私たちはどこまで遠くに出かけることができるだろう。
誰でも自由に使えるオープンな地図は当たり前ではない
その昔、地図というものは国家や権力者によって厳しく管理され、軍事・商業上の機密情報として扱われていた時代があった。
国内の有名な話で、
伊能忠敬らが作った初めての日本地図「大日本沿海輿地全図」(通称「伊能図」)は当初、幕府の機密情報として管理され、一般人に公開されていなかった。
もちろんそれは軍事的な理由からだ。
しかし皆さんもご存知の通り
現在では公共の利益が重視されて、技術の発展と共に、地図データや衛星写真は広く一般に公開されるようになった。
その中でも自由でオープンな地図の代名詞が「OpenStreetMap」だ。
2004年に作られた本地図は、Wikipediaに以下の通り紹介されている。
「オープンストリートマップ(英語: OpenStreetMap、OSM)は、自由に利用でき、なおかつ編集機能のある世界地図を作るオープンコラボレーションプロジェクトである。地図データはオープンデータベースライセンス(ODbL)1.0のもと再利用可能である」
多くの民間地図は独占的である
多くのユーザーがいるGoogleマップについて、
ここで少しOpenStreetMapとの違いに触れておきたい。
Googleマップは、データがGoogleによって独占的に管理されており、地図データの利用に関してはライセンスや著作権の制約がある。
つまり大きな違いとしては、データへのアクセスが制限されること、商用利用には料金が発生することだ。
一方で、OpenStreetMapは、世界中の有志(マッパー)が地図データを共同で作成・編集し、コミュニティの力で地図が作られている。
さらに地図データの利用、改変、再配布は誰にでも許可されており、商用利用も無料で、多くの企業がOSMのデータを活用している。
一世をふうびしたポケモンGOなどの位置情報ゲームの背景地図としても、OpenStreetMapは広く使われている。
Humanitarian OpenStreetMap Team
Humanitarian OpenStreetMap Teams(通称、HOT)は、大規模災害や紛争が発生した際、オープンでフリーな地図であるOpenStreetMapを活用して、被災地の地図作成を支援する国際的なコミュニティである。
被災地の迅速な地図作成を通して、救助活動に必要な情報を提供する。
マッピングを通じて、間接的に人々の命を救うことに貢献すると言っても過言ではない、とても意義のある活動だ。
日本ではあまり実感が湧きにくいのだが、世界にはまだまだ地図データが不足している地域が多く存在する。
災害発生リスクが高く、データが不足しているエリアを事前にマッピングすることもある。
被災地の地図データが整備されるって、そんなに大切なことなの?
そんな疑問が湧くのも当然だ。
18歳からHOTのコミュニティ活動の一環である被災地のマッピングを行ってきた私も、過去に何度か、このような疑問を抱いたことがあった。
現にこの記事を見ている多くの人は、実際にコンゴ民主共和国の難民キャンプまで物資を届けたり、ハイチやネパールでの大地震後、即座に現地救護へ出向いていない。
しかしこれらの救助活動を実際に行う国境なき医師団や赤十字社から、HOTが作成した被災地の地図データは大いに役立ったとの声をもらっている。
考えてみて欲しい。
異国の僻地でネットも繋がらない、最適な経路なんて誰も知らない、現地の被害状況が正確にわからない。
そんな状況下で、
「地図を紙に印刷することは著作権違反です」
「データは当社が一元管理しており、対象エリアの地図データは20年前のものです」
なんていう民間の地図を頼りにできるだろうか。
HOTのコミュニティについて
Humanitarian OpenStreetMap Team(HOT)の成り立ちは、2010年のハイチ地震まで遡る。
2010年1月、ハイチで大地震が発生した時、世界中のOpenStreetMapのマッパーがオンラインで集まり、被災地の地図を迅速に作成した。
そしてこの地図データが、援助活動を行う団体にとって重要な情報源となったのである。
ハイチでの成功を受けて、ボランティアグループは同年8月に「Humanitarian OpenStreetMap Team」として米国の非営利団体(NPO)として正式に組織化された。
設立から15年の月日が経った現在、マッピングされたエリアは世界中に拡大している。
HOTのビジョンは以下の通り、オープンな地図データが利用できること、そして誰もがアクセスでき、かつ貢献できることを掲げている。
私も地図で人道支援したい!
もしこの記事を読んで、
少しでもそんな気持ちが沸いてくれたならば
一緒にマッピングしよう!HOTコミュニティの仲間になろう!
初めてOpenStreetMap編集をする人は、OSMビギナーズガイドを参考にしたり、OpenStreetMap Japanコミュニティのメンバーが営むマッピングパーティに参加することでマッピングスキルを向上できる。
既にマッパーの方はぜひこの機会に一度、HOTのTasking Managerから地図で人道支援を行うという最初の一歩を踏み出してみて欲しい。
パソコン1台さえあれば、自分のスキルを生かして国際的な人道支援に協力できる。
そんな素敵な体験を通して、世界で最もオープンでフリーな地図データの作成・普及に貢献してくれる仲間を心より待っている。
投稿者: HOT Voting member, Ayame Otsuki
https://www.hotosm.org/people/ayame-otsuki/

