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エンジニアやデザイナ向けに「デザイン」という言葉を整理してみた結果エンジニアの幅が広がる話

Last updated at Posted at 2018-10-23

デザインって何ですか......?

デザイナー」というと「グラフィカルなUIなどをデザインする人」って意味にとられますよね?
でもソフトウェアエンジニアだってシステムのデザインをします。

そんな「デザイン」というあまりにも曖昧な言葉が世の中にあります。

白黒はっきりつけたがる技術屋にとってはあまりにも気持ちの悪い言葉なのでちょっと整理してみました。

それなりにリサーチした結果ではありますが、「あれ」「それ」みたいな単語が様々な意味を持つように、「デザイン」みたいな一般用語は文脈によってさまざまな意味を持ってしまいます。なのでこれが必ずしもすべての状況においての正解ではないないです。ただ考え方の拠り所にはなるかと思います。

図解

みなさん大好きUMLでの整理です。
わたしはオブジェクト指向が大好きなので、情報アーキテクチャ的な分類をするときもOOに頼ることが多いです。

design_class_diagram.png

目的による大別

何を目的にするかでの分類です。

問題解決」と「問題提議」の2種類に大別されます。
(上図の左側のツリーです)

問題解決を目的とした活動は「デザイン」と呼ばれます。

なにも枕詞をつけないで「デザイン」というと今であれば「ビジュアルデザイン」いわゆるUIデザインやグラフィカルなデザインを指すことが多いです。ただ、ITなどの技術を使って問題解決を目指す「システムデザイン」というものも存在します。

対して、世の中に問題提議をする、問いを投げかけることを目的とした活動は、一般的に「アート」と呼ばれることが多いです。

目標達成のための思考法・アプローチ・手法による大別

次に、目的は何であれ、手法・思考法・アプローチとしてのデザインも存在します。

こちらも「問題解決」と「問題提議」の2種類に大別されます。
(上図の右側のツリーです)

対面している問題に対してその問題を明らかにすることで解決に近づけるそのためにユーザインタビューやヒューリスティックな調査を行う手法としてデザイン思考やHCD(人間中心設計)があります。
データを中心としたサイエンティフィックな手法としてはデータ分析・統計・ロジカルシンキングのようなものがあります。

逆に、対面している問題に対して問題自体を新たに投げかけることで解決に近づける 手法・アプローチもあります。スペキュラティブデザインなどがあります。

「デザイン」を整理して見えてきた、目的 と 手法 は別であるという気づき

例えば、「交通渋滞」という明らかな課題があったとしてその交通渋滞を解決するためにどのようなアプローチをとるか?

例. 交通渋滞 - デザイン的な目的とアプローチ

エンジニアリング的なデザインの場合はこんな感じです。

目的: 交通渋滞を解決したい
手法: 交通量を調査して道幅や信号を調整する

ビジュアル的なデザインの例ではこうなるでしょうか。

目的: 交通渋滞を解決したい
手法: 交通標識を見やすくする、街路樹などによる心理的なイライラの解消

例. 交通渋滞 - アート的な目的とアプローチ

「交通渋滞を解決するとはどういうことだ?」
「交通渋滞とは何だ?」
「そもそもなぜ我々は移動するのか?」

そういうことを考えさせることによって、交通渋滞を根本から問いなおします。ひょっとしたら人間にとって「交通」なんて必要がなく、そもそも交通渋滞なんて不要なものだったということに気付くかもしれません。

目的: 交通渋滞とは何か?という問題提議
手法: 問題についての気づきを与えるためのアートイベント、アート展示

例. 交通渋滞 - デザイン(問題解決)目的に対してのアート的なアプローチ

上の例2つの組み合わせなので省略しますが、実現したいのは「問題解決」であったとしてもそのアプローチとして「問題提議」を行うこともあり得ます。

わかりやすい例では、ダブルダイヤモンドは「問題解決」のために改めての「問題提議」を行い、そこから「問題解決」を行っていきます。

まとめ

デザイン、アート、サイエンス、色々な言い方がありますが、デザインという言葉を使わずにロールと結び付けることで以下のような説明ができそうです。

  • 一般的ないわゆるエンジニアは、「エンジニアリングによる問題解決」を目的として、「Logical thinkingに代表されるデータ中心で論理的」なアプローチを行うロールです。

  • 一般的ないわゆるデザイナは、「ヴィジュアルデザインによる問題解決」を目的として、「デザイン思考に代表されるユーザ中心」なアプローチを行うロールです。

  • 一般的ないわゆるアーティストは、「問題提議」を目的として、「自分中心、コンセプト中心」なアプローチを行うロールです。

曖昧な言葉を曖昧なままに使うのはやはり気持ち悪いもので整理してみましたがこのように分けていくと意外とシンプルな構造でした。

まとめてみて思ったのは、別に「エンジニアだからビジュアルデザインはやらない」とかではなく、逆に「エンジニアリング的な思考で考えているけれどアート的な発想がかけているのでは?」と言った気づきを得られる1つの軸として今回の整理は越境をするための大きな指針になるのでは?という気づきでした。

ボタンの二度押しの抑止をするのにシステム的な仕組みを入れるのもよいですが、「2回押したら地獄に落ちる」とおどろおどろしく書いておくのも良いですし、「なぜ2回押すのか?」という問題提議からボタンを押さない仕組みを考えるのも良いと思います。

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