1. YANGノード

1-1. Leaf Nodes

リーフノードは単一の値を持つノードです。
例えば「ホスト名」や「IPアドレス」など、1つの情報だけを格納します。

.yang

leaf host-name {
  type string;
  description "このシステムのホスト名";
}

ここではhost-nameという名前のリーフノードがあり、値は文字列（string）です。

1-2. Leaf-list Nodes

リーフリストは同じ型の値が複数並ぶリスト（配列）です。

.yang

leaf-list domain-search {
  type string;
  description "検索するドメイン名のリスト";
}

これは「検索するドメイン名」などを複数持つことができます。

.xml

<domain-search>high.example.com</domain-search>
<domain-search>low.example.com</domain-search>
<domain-search>everywhere.example.com</domain-search>

この例では「3つのドメイン名がリストとして格納されている」ことを表します。

1-3. Container Nodes

コンテナノードは複数のノードをまとめて階層的に管理するためのノードです。
中に複数の子ノード（leafやleaf-list、listなど）を持てます。

.yang

container system {
  container login {
    leaf message {
      type string;
      description "ログインメッセージ";
    }
  }
}

systemというコンテナの中に、さらにloginというコンテナがあり、その中にmessageというリーフノードが入っています。

.xml

<system>
  <login>
    <message>Good morning, Dave</message>
  </login>
</system>

この例では階層構造で情報を整理しています。

1-4. List Nodes

Listノードは複数のレコード（項目）を持つことができ、それぞれのレコードはキーで一意に識別されます。

.yang

list user {
  key "name";
  leaf name { type string; }
  leaf full-name { type string; }
  leaf class { type string; }
}

ここではuserリストがあり、nameをキーとして複数のユーザー情報を管理しています。

.xml

<user>
  <name>glocks</name>
  <full-name>Goldie Locks</full-name>
  <class>intruder</class>
</user>
<user>
  <name>snowey</name>
  <full-name>Snow White</full-name>
  <class>free-loader</class>
</user>

この例ではuserリストに2つのユーザーが登録されています。

補足

keyはリスト内で一意の値を持つフィールド。
リストの各エントリーは独立したノードセット。

2. YANGの基本データ型

型名	説明	具体例
`string`	文字列	`"hello"`
`boolean`	真偽値（true / false）	`true`, `false`
`int8`	8ビット符号付き整数	`-128` 〜 `127`
`int16`	16ビット符号付き整数	`-32768` 〜 `32767`
`int32`	32ビット符号付き整数	`-2,147,483,648` 〜 `2,147,483,647`
`int64`	64ビット符号付き整数	大きな整数値
`uint8`	8ビット符号なし整数	`0` 〜 `255`
`uint16`	16ビット符号なし整数	`0` 〜 `65535`
`uint32`	32ビット符号なし整数	`0` 〜 `4,294,967,295`
`uint64`	64ビット符号なし整数	大きな正の整数
`decimal64`	固定小数点数（精度指定可）	`3.14159`
`enumeration`	列挙型（指定した文字列から選択）	`enum { "up"; "down"; "testing"; }`

2-1. YANGの特殊データ型

基本型だけでなく、YANGには特殊な用途に使うデータ型もあります。

型名	説明
`leafref`	他のノードを参照する型
`identityref`	定義済みのidentity値を参照
`instance-identifier`	YANGノードのパスを表す
`bits`	ビットの集合
`union`	複数の型のどれかを許可

2-2. 特殊フォーマット型の特徴

YANGではさらに、値が「あるかないか」だけ判定する型やバイナリデータも扱えます。

型名	説明	例
`binary`	バイナリデータ	バイナリblob
`empty`	値がなく、存在/非存在のみで判定	オプションのフラグのように使う
`enum`	列挙型（選択肢）	`up`, `down`, `testing`

2-3.データ型に制約をつける

YANGではデータ型に対して「制約」をつけて、より厳密にルールを決められます。

pattern
正規表現で文字列の形式を制限。
例：IPv4アドレスの形式チェック
range
数値の範囲を指定。
例：range "1..65535"
length
文字列の長さを制限。
例：length "1..255"
mandatory
値の必須指定。

3. 整合性制約

3-1. when

whenは、「ある条件が満たされたときだけ、その設定項目が使える」というルールを作る仕組みです。

.yang

leaf a {
  type boolean;
}
leaf b {
  type string;
  when "../a = 'true'";
}

b の設定は a が true（オン）のときだけ「存在できる」。
a が false（オフ）になると、b の設定は自動的に消されます。

3-2. must

must は「必ず守らなければならない条件」を書きます。

.yang

container interface {
  leaf ifType {
    type enumeration {
      enum ethernet;
      enum atm;
    }
  }
  leaf ifMTU {
    type uint32;
  }
  must "ifType != 'ethernet' or (ifType = 'ethernet' and ifMTU = 1500)" {
    error-message "An ethernet MTU must be 1500";
  }
}

この条件は、「ifType が ethernet の場合は必ず ifMTU が1500であること」を強制しています。

補足

mustの中はXPath形式の論理式で条件を書く
error-messageは違反時に表示されるメッセージ

3-3. unique

unique は「複数の設定の中で特定の値の組み合わせが重複してはいけない」というルールです。

.yang

list server {
  key "name";
  unique "ip port";

  leaf name {
    type string;
  }
  leaf ip {
    type inet:ip-address;
  }
  leaf port {
    type inet:port-number;
  }
}

この例では、「IPアドレスとポート番号の組み合わせが重複しない」ことを保証します。

3-4. leafref

leafref は「参照先が必ず存在すること」を保証します。

.yang

leaf friend-name {
  type leafref {
    path "/contacts/name";
  }
}

このようにすると、friend-name に設定できる値は必ず /contacts/name に存在する値だけになります。

参考文献

・YANG公式仕様書（IETF RFC 7950）