誰が書いているの?
この記事は、イギリスのロンドンで4年間ソフトウェアエンジニアとして働いてきたYoh Okunoが書いています。現在の所属はMicrosoftの英国法人で、その前はMicrosoftが買収したSwiftKeyという会社で働いていました。詳しくは以下の記事を参照してください。
MicrosoftがAIで入力予測をするキーボードアプリ「SwiftKey」を2億5000万ドルで買収
海外で働く利点
ここでは主に英語圏の現地企業でソフトウェアエンジニアとして働く場合を想定します。日本企業の駐在員の場合は事情が違うかもしれません。
給料が高い
海外のエンジニアの給料についてはいろいろな記事がすでにあるので、例えばこの記事を参考にしてください。
ITエンジニアの地位とは?国別、職種別の年収比較から見えるもの
やはりアメリカのソフトウェアエンジニアは給料が高いです。アメリカにはグーグル、アップル、マイクロソフトなどの有名な大企業が多いですし、シリコンバレーでは多くのスタートアップが生まれているので、ある程度仕事ができるソフトウェアエンジニアは争奪戦になるからです。イギリスはアメリカほどIT業界が盛んではありませんが、英語圏なので優秀なエンジニアはアメリカやヨーロッパに行くことができますし、やはり日本よりも給料が高い傾向があります。なお、同じ海外でもアジアではエンジニアの給料は日本と同程度かそれより低い傾向があるので注意が必要です。
英語が身につく
英語圏で働く魅力の一つが英語が自然に身につくということでしょう。日本人が大人になってから英語圏に住んでもネイティブスピーカーになれるわけではありませんが、エンジニアのようなミーティングが少なく専門用語の多い職種では仕事に困らない程度には英語が話せるようになります。英語が話せるようになると英語が必要な仕事ができたり、英語圏で仕事を探したりすることができるため、将来のキャリアの選択肢の幅が広がります。前述の通り英語圏のソフトウェアエンジニアは給料が高いので、いつでも英語圏で働けるようになる強みは大きいです。
自由な時間が多い
会社にもよりますが欧米のソフトウェアエンジニアは日本よりも残業をしない傾向にあるようです。私の会社を例に取ると、多くの人が午前10時前後に出社して、午後6時にはオフィスに誰もいなくなるのが普通です。有給休暇は年間25日あり、祝日は少ないですが、夏休みや年末年始で有給は使い切っています。病欠は有給にカウントされません。また週2日は自宅勤務ができるので、家が遠い人や子供がいる人はよく利用しています。欧米人は個人の幸福を最優先する気質で、仕事はそのための手段の一つでしかありません。自由な時間には家族や友達との時間を大切にしたり、趣味や勉強を楽しんだりしています。長期休暇には旅行に出かける人が多いようです。
海外で働く(住む)欠点
海外で働くためには海外に住む必要があります。ここでは海外(特にイギリス)に住む欠点を考えてみたいと思います。
食事が合わない
やはり日本の食事は素晴らしく、たまに一時帰国すると牛丼から回転寿司までなんでもおいしく感じます。イギリス料理がまずいのはイギリス人も認めるところで、イギリスには代表的な料理が3つあるというジョークがあります。「まずはフィッシュで、次はチップス。そして最後はフィッシュアンドチップスだ」。それだけおいしいものが少ないという意味ですね。ただしイギリスの中でもロンドンにはイタリアンレストランや中華料理店がたくさんありますし、自炊も組み合わせればイギリス料理を食べずに過ごすことは可能です。
気候が合わない
これも国によりますが、日本人には日本の気候がちょうどよいのかなと思います。イギリスはしょっちゅう雨が降るし、冬が長くてよく風邪を引きます。ただ、花粉症が軽いのと地震がないのはいいですね。夏の地中海にバカンスに行くと天気がよくて最高です。
孤独になりがち
これは人によりますが、やはり言葉と文化の違いは大きいように思います。家族を連れて行く人は家族も環境に適応できないと困りますし、子供の教育費が高額になるという話も聞きます。知り合いの日本人を見ると独身の人は女性のほうが外国人の友達を作るのが得意なようです。日本人から見ると欧米の男性はカッコよく見えますが、欧米の女性は太いし老けて見えます。理由はよくわかりませんが、西洋人は男女ともにテストステロンというホルモンがアジア人より多いことが関係しているようです。職場の人間関係はドライで飲み会などは少ないですが、これは人によっては利点に感じるかもしれません。
最後に
海外で働くことは日本とは大きく違っていて利点も欠点も多いですが、一度経験してみると自分に合っているか知ることができますし、新しい物事の見方を知ることができて良いと思います。アメリカやイギリスで労働ビザを取って働くのは難しく、ビザのコストを払ってでも雇う価値があることを雇用主に示す必要がありますが、この辺りの戦略についてはまた別の記事を書ければいいなと思います。