今日はいつもと趣向を変えて Ubuntu 14.04 LTS Trusty Tahr を導入する話です。 2014 年 4 月 17 日に Ubuntu 14.04 LTS がリリースされてから執筆時点で約 3 ヶ月経ちました。 Ubuntu Japanese Team の連載記事では大抵いつも xx.04.1 LTS リリース後に導入したほうがオススメといったことが書かれているのですが、この 3 ヶ月でデータ分析用の環境に導入したり仮想環境や物理環境で検証を進めたこともあり、特に Ubuntu 12.04 LTS からのアップグレードをすることを前提に導入について触れたいと思います。
アップグレードの準備をする
以前の Ubuntu であれば LTS Upgrade も失敗するようなこともあったのですが、最近のリリースではかなり安定性が高くなってきています。とはいえハマりどころもあります。これだけをしておけば万全というわけではありませんが、まず気をつけるべき事柄を列挙します。
システムを最新にする
アップグレードを試す前に必ずシステムを最新の状態に保っておく必要があります。以前の記事でも触れた通り、セキュリティ上の理由で日常に自動的なシステム更新をしているでしょうから、通常であれば必要は無い作業です。何らかの理由で自動更新をしていない場合は手動で最新にします。執筆時点で Ubuntu 12.04.4 LTS になっているはずです。
既定以外の環境を除去する
筆者は以前も書いた通りプログラミング言語については必ず /opt 以下にビルドインストールすることにしています。これは /usr や /usr/local の下に既定以外のバージョンのプログラミング言語を導入した場合、システム全体の動作が変わってしまうおそれがあるためです。たとえば Python 3.x 系を使うために apt でパッケージを導入していた場合、 do-release-upgrade が異常終了してしまうので apt-get remove するなどして取り除かなければならなくなります。こういったトラブルにもつながりますから、システム管理者が手動で追加するソフトウェアはできるだけ /usr 配下ではなく /opt といった別のディレクトリに導入することを強くおすすめします。詳細は Filesystem Hierarchy Standard を参照してください。
十分なストレージ空き容量を確保する
/usr などに十分な空き容量が無いとアップグレードが失敗してしまうことがあります。足りない場合は不要なデータを削除したり LVM の構成を変更するなどして対処します。
リリースノートに目を通す
導入前にリリースノートを読むのは基本中の基本です。今回は LTS アップグレードを想定していますから、システム管理者が触っていない部分やそもそも使ってない部分の変更点はほぼ気にしなくても良いのですが、アプリケーションが依存している部分に変更点があった場合は注意を払う必要があります。とはいえデータ分析の場合、導入するものといえばプログラミング言語とせいぜいミドルウェア程度でしょうし、前述したとおり /opt といったディレクトリに独立してインストールしているのであれば、 GNU/Linux ディストリビューションの環境の変化が問題になることはほとんど無いと思います。
バックアップを取得する
これも以前書いた通り重要なデータを障害に備えて自動バックアップするのは基本ですから、改めて何かしないといけないといった必要に迫られることはほとんど無いはずです。
アップグレードする
アップグレードは非常に簡単です。基本的に次のコマンドを入力するだけです。
sudo do-release-upgrade -d
途中いくつかの対話的な質問が表示されますのでそれに応答します。
アップグレード後に設定をする
システムをアップグレードして再起動したあと、新しいバージョンにあわせてソフトウェアの設定をする必要に迫られることがあります。
多くの情報が次のサイトにありますので参照すると良いでしょう。
Ubuntu 14.04 LTS をインストールした直後に行う設定 & インストールするソフト
http://www.k5.dion.ne.jp/~r-f/sicklylife/memo/ubuntu1404/settings.html
デスクトップを使っている場合、特に日本語入力まわりでは注意が必要です。
まとめ
Ubuntu の長期サポート版アップグレードについて触れました。データ分析をしたりアプリケーションを稼働させる環境は長く安定したサポートが提供されていることも大切なのですが、アップグレードを続けていても変わりなく使い続けることができることも重要です。その点 Ubuntu ならば 2 年毎にメジャーアップデートしても安定して使い続けることができますから安心です。