エクセルを使って表現豊かなデータビジュアライゼーションを簡単に実現する。こんな便利なアプリがE2D3です。マイクロソフトのエクセル上で使える無料アプリで、さまざまな企業のエンジニアが自主的に集まって開発を進めています。先日、アプリのブラッシュアップに向けた初めてのハッカソンも開かれ、開発が本格化しています。
E2D3とは
E2D3の「E」とはエクセル、「D3」とはD3.jsと呼ばれるデータビジュアライゼーションライブラリーの名前を略したものです。
D3.jsの最大の特徴は、ダイナミックなアニメーション機能と任意のデータを自由に検証できるインタラクティブ機能です。例えば、単純な棒グラフでも、動きがつくことで表現が格段に豊かになるほか、より詳細なデータを盛り込むことができるようになります。また、バブルチャートやツリーマップなど多彩なグラフも自由につくることができ、海外のニュースメディアなどで活用が進んでいます。
しかし、D3.jsを使いこなすにはJavaScriptなどプログラミングの技術が必要で、誰もが簡単に使いこなせるわけではありません。そこで、開発されたのがE2D3です。E2D3では、エクセルのシートでデータを作成して表現したいグラフを選ぶだけで、D3.jsの豊かなデータビジュアライゼーションを実現することができます。ビジネスマンに馴染みの深いエクセルを利用することで、D3.jsをより身近にしようというのがねらいなのです。
初めてのハッカソン
E2D3はさまざまな企業のエンジニアが自主的に集まって開発を進めています。現在、日本地図や棒グラフ、ツリーマップなど8つのビジュアライゼーションが可能になっています。
2月8日には、初めてのハッカソンが開かれました。E2D3を使いやすくしたり、表現できるグラフやビジュアライゼーションの種類を増やしたりするのが目的です。参加したのは、エンジニアやアプリを仕事に利用したいビジネスマンなど約30人。初めにプログラマーの初心者でも参加できるようハンズオンセミナーが開かれ、開発メンバーがD3.jsの基礎知識やアプリの開発環境などの説明を行いました。
このあと、昼食を挟んで実際の開発が行われました。4時間という短い時間でしたが、夕方から開かれた成果発表では、ミシュランで星を獲得した都内のレストランをマッピングした地図や、住宅ローンの借入額や繰り上げ返済などを分かりやすくシミュレーションできるグラフ、また、4万台以上のハードディスクのモデル別の故障率をビジュアライズしたグラフなど、ユニークな作品が出そろいました。
E2D3の可能性
ビッグデータやオープンデータなど、今、データの重要性が再認識され、ビジネス、医療、ジャーナリズムなどあらゆる分野で、データに基づいて課題を解決する能力が求められています。データで課題を解決するためには、高い分析能力だけでなく、課題を共有するためにデータを分かりやすく可視化する能力も求められます。E2D3はこの課題の共有を誰もが簡単に実現できるアプリなのです。
E2D3の開発グループでは、現在、エンジニアやビジネスマンなど、アプリのブラッシュアップに協力してくれるメンバーを募集しています。また、4月11日には2回目のハッカソンも予定しています。少しでも興味を持ってくださった方は、ぜひ、ご参加下さい。
(撮影・文章:山本 智)