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「AWS Well-Architected フレームワーク」の「レビュープロセス」資料がとても良かったので紹介したい

Last updated at Posted at 2021-01-09

はじめに

仕事の品質を高める上で、知見のある方にレビューをしてもらうプロセスは欠かせません。
ただこのレビュー、やり方や意見の伝え方によっては、期待した効果が得られなかったり、ネガティブな効果を生み出しかねません。そうした結果、レビューという行為自体が開催されにくくなることは、チームにとって非常にマイナスです。
全員のレビューへの期待を整えておくために、レビューの心構えや望ましい運営方法などを、レビューに関わる全ての人が共通認識化しておくことは、非常に重要だと考えています。

今回、このレビューを効果的に進めるポイントをまとめた、とても良い資料を見つけたのでご紹介します。

レビュープロセス - AWS Well-Architected フレームワーク

この資料をおすすめしたい方

エンジニアに限らず、仕事で他者の成果物をレビューをする人、および他者からレビューを受ける人(そう考えると、仕事をする人はすべて、なのかもしれません。)

「AWS Well-Architected フレームワーク」とは?

image.png
引用元:AWS Well-Architected フレームワーク - AWS Well-Architected フレームワーク

AWS のソリューションアーキテクトが、10 年以上に渡り、様々な業種業界、数多くのお客様のアーキテクチャ設計および検証をお手伝いしてきた経験から作成した“クラウド設計・運用のベストプラクティス集”です。(下記Youtube概要欄より抜粋)

「AWS Well-Architected フレームワーク」について詳しくは、こちらの動画またはスライド資料をご覧ください。
【AWS Black Belt Online Seminar】AWS Well-Architected Framework - YouTube
AWS Black Belt Online Seminar 2018 AWS Well-Architected Framework

Well-Architectedフレームワーク自体は、言わずと知れた素晴らしいノウハウの塊なのですが、それ自体の説明は趣旨と異なるので、ここでは割愛します。
この中の一節に「レビュープロセス」という章があり、それが今回ご紹介したい内容なんです。

実は上記の動画/資料の中でも紹介されております。
image.png
引用元:AWS Well-Architected フレームワーク - AWS Well-Architected フレームワーク

このレビュープロセスの一節、私も拝見したところ、実はAWSのみならず他のあらゆるレビューに応用できる普遍的な内容でした。しかも重要なことが端的に言語化されていることに感動し、今回この紹介記事を書いた次第です。

「レビュープロセス」のエッセンス

コンテンツ自体は5分ぐらいで読めます。是非読んでみてください。
ところどころ翻訳がやさしくないかなと思われる箇所もあるので、気になる方は英語版をご覧頂けるとよいかと思います。ちなみに本文に出てくる「ワークロード」という言葉、AWSになじみの薄い方は少し違和感があるかもしれません。AWS文脈ではAWSのコンポーネントで作られたひとまとまりの「システム」というような意味で使われます。詳しくはこちらをご覧ください。

本文の内容を、活用機会をより広げるために私の方で少し意訳しつつ、構造化してシンプルに整理してみました。
レビュープロセスまとめ.png

  • レビューに臨む基本スタンス

    • 非難しない
    • 深く掘り下げることを奨励する
    • 監査ではなく話し合い
    • 全体の整合性や品質に対して全員が責任を持つ(自分のところだけ良ければOKではない)
  • レビューの目的と成果

    • 目的
      • 対策を必要とする重大な問題の発見
      • 改善できる領域の特定
    • 成果
      • 回答に別途調査が必要な質問のリスト
      • 課題リスト(ビジネス文脈に応じて優先順位を設定する)
  • レビューの運営方法

    • 一貫した方法で行う
    • レビューに必要な人が全員含まれているかを確認する
    • 共通のフレームワーク/ガイドライン/チェックリストを元にする
      • 過去発生した問題の根本原因が含まれているもの
    • 会議を進行するために次のアイテムを用意しておく
      • ホワイトボードのある会議室 又はオンラインホワイドボードツール
      • 構成図や設計ノート
    • 他チームの人がレビューする場合は、その時初めて中身を理解することがほとんど
    • 正式なレビュー会議よりも、継続的な話し合いが望ましい
  • レビューの開催タイミング

    • 一度決めたら変更が難しかったり、後戻りが難しい場合は必ず着手前にレビューを設定する
    • 後で変更できるものの場合はできるだけ軽量にする
    • ローンチしたら終わりではなく、アーキテクチャが劣化しないように、変更が入る場合は継続的にレビューを行っていく
  • レビュープロセスの改善

    • プロダクトに重要な問題が発生した場合は、都度レビュープロセスを見直す
  • レビューの組織的価値

    • 同一組織内の複数チームで継続的にレビューを行い、その結果を分析することで、組織共通の課題が発見でき可能性がある
    • 発見した共通課題は、仕組み改善やトレーニングなどで適切に対策する
  • レビューへの反発対策

    • 「忙しい!」
      • 忙しい時こそミスが許されない。見過ごしている問題を発見できるかもしれない
    • 「指摘を受けても対策をする時間も余裕もない!」
      • 指摘事項全てに対策しなくてもよい。リスクがわかれば、問題が起こった時の対策を事前に備えておくこともできる
    • 「秘匿事項があるからできない!」
      • 秘匿事項をオープンにしなくても、質問への回答はできる

最後に

こうしたチームで仕事をするためのベースとなる考え方は、自分一人だけ理解していても効果は限定的です。是非一緒に働く仲間の皆さんに共有し、これをたたき台に、自分達のチームのレビューの在り方を是非会話してみて頂けるとよいかと思います。
ストレスなく、効果的なレビューを日々運営できるチームが増えると最高です。

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レビュープロセスと同様に、エンジニアの汎用的なスキル向上をテーマに何本か記事を書いています。よろしければあわせてご覧ください。

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