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ベルマーク運動のIT化問題

Last updated at Posted at 2016-06-11

はじめに

先日、五十嵐 悠紀さんの「IT研究者としてPTA「IT化」の功罪を考えてみた」の記事を読みました。PTAについては、現在私には子供がいない状態ですので先の話として、この記事の中で「ベルマーク運動のIT化」について書かれていました。

PTA仕事の中でも問題視されることが多いことの1つに、「ベルマーク運動」が挙げられます。(中略)ベルマーク運動もIT化できないものでしょうか。QRコードを付けておいて読み取ったり、ポイントを貯めたり。この時代に即したやり方に世の中が変えていく、といった可能性はあるように思います。

ベルマークについては小学生時代に集めた記憶があるだけで、その後は無関心といったところですが、興味が沸くと調べたくなるたちなので調べてみることにしました。

ちなみに五十嵐 悠紀さんは3児の母でもあり「Beady: インタラクティブなビーズデザインと制作支援」 など工学博士として素晴らしい実績をお持ちです。

ベルマーク運動とは

ベルマーク運動についてはWikiなりベルマーク教育助成財団なりのサイトを見て下さい。
ベルマークの1点が1円分としてカウントされます。協賛企業は現在60社ほどとなっています。

自宅で簡単にできるボランティア

コロナ禍になって、個人でベルマークを寄贈しようとする人は増えている。

市を挙げて支援

豊橋市は市を挙げて2016年から「ベールマーク日本一プロジェクト」として取り組んでいる。市内の小中学から集めたベルマークを障害のある生徒たちが授業の一環として集計作業をしている。仕分けや集計作業は支援学校の生徒の学習にもあっているといいます。

ウェブベルマーク運動とは

今回初めて知りましたが、ウェブベルマークというのがありました。
東日本大震災で被災した東北の学校への支援を目的にした「ウェブベルマーク運動」(WBM)が2013年9月17日に始まりました。ネットショッピングと1クリック募金で、自己負担無く、東北の子どもたちが通う被災校へ直接支援できます。

ベルマーク運動の作業の流れ

  1. パッケージからベルマークを切り離す
    はさみで余分なところを切り取ったり、丸いのも四角で切り取る。切り取りは、少し大きめに切り取るとよい。
  2. 企業番号ごとに仕分けをする
    ベルマークには企業番号が付いているので牛乳パックや豆腐の空パックなどを利用した仕分けボックスに入れていきます。仕分けボックスには企業番号を大きく見えやすくします。
    企業番号一覧を見ると脱退などがあるため幾つか飛び番になっています。
  3. 点数ごとに仕分けをする
    仕分けボックスから点数別に10枚束にします。違う種類でも点数が同じなら一緒にします。端数は仕分けボックスに残し次に持ち越します。
    丸まろうとするベルマークのタイプは10枚束でセロハンテープで台紙等に押さえつける。またはホチキスで止めてしまう。
    ※例えばマヨネーズでおなじみのキューピーの場合、0.5~70点までさまざまな点数があります。ちなみにベルマークが付いた商品は、全社合計で約2000種あるそうです。
  4. 集計作業する
    10枚束に集計したベルマークを整理袋(企業ごと)に入れ、集計用紙に企業番号、集計月、枚数、点数を記入します。この集計用紙を仕分けボックスに入れます。整理袋はベルマーク教育助成財団から取り寄せる必要があります。
    ※集計作業は全員で集まって行う必要はなく、ベルマーク委員がこまめに自宅に持ち帰り、自宅で集計した上で持ち寄るなど工夫します。最後の合計する作業も、一部の方で集まれば短時間で済みます。
  5. ダブルチェックする
    ベルマーク委員さんが再度チェックし、ベルマークと集計用紙の数を確認します。ダブルチェックを受けた集計用紙を役員に渡し、役員がパソコンの集計ソフトに打ち込んでいきます。(間違ってても結局財団側で計算するわけで…)
  6. ベルマーク教育助成財団に郵送する
    整理袋をベルマーク教育助成財団に郵送します。
    ちなみに学校単位での運用が求められるため、学級で集めたとしても最終的に学校単位で合算しなくては財団に送り出せません。
  7. ベルマーク教育助成財団の方達(10人にも見たないパートのおばちゃん) が全国から集まったベルマークを手作業でカウントします。(ホチキスは針をはずしてから計算しているそうです。)

ベルマーク運動のIT化を考える

現状の作業の流れで、しいてIT化されているとすればパソコンで集計ソフトに打ち込むくらいですね。
ベルマークを自動で仕分けしてくれるような夢の機械は出来そうもありません。出来るとしても相当な開発費が発生するので財団側が工面することも無いでしょう。
ICタグも以前より安くなったとはいえ、まだ1枚10円ぐらいかかります。

ベルマーク教育助成財団にも下記の意見・要望・提案が届いています。
参照:運動アンケートに1250件の回答

  • 「整理、集計がしやすいようなシート・台紙を作ってほしい」
    シート・台紙を使った集計については、一部の学校で実施しているところもあり、財団でも検討しています。
  • 「マークの大きさを統一してほしい」
    マークの大きさは、財団は「原則として2㌢角」と協賛会社にお願いしていますが、商品の大きさやパッケージデザインによって左右される部分があります。協賛会社へのお願いは続けます。
  • 「バーコードやQRコードで読み取るようにできないのか」
    「バーコード・QRコードの導入」ですが、「購入された証明は?」「学校への読み取り機器の設置費用は?」「全協賛会社の協力」など難しい問題がたくさんあります。

現状出来そうなこと

情報処理学会に都立産業技術高専 の「ベルマークの識別手法の提案」の資料があります。このように機械学習によるベルマークの識別と点数集計システムは将来的には可能ですし識別精度も良くなるでしょう。

しかし、ベルマークの識別をコンピューターにさせるにはスキャナやカメラなどにより画像を取り込む必要があります。(識別や集計はクラウド上で行うとか)

考えたのが、名刺サイズの用紙を用意して企業別点数単位に名刺サイズの用紙に貼り付けます。サイズによりますが1枚に4枚は貼り付けできるでしょう。そしてA4サイズで名刺サイズの用紙が10枚入る袋「リヒトラブ カードポケット透明」のようなものを用意した上でスキャナします。
これでベルマークの識別が出来て点数が自動集計されます。
名刺サイズの用紙を企業別点数単位に仕分けして整理袋(企業ごと)に入れます。

結局、仕分けする作業が残るなら手間なだけかも知れませんね。
財団の方でスキャナで読み取れるような形式に郵送すれば企業別点数単位にしなくても集計もやりますと迄なれば手間が減るんですけどね。
現状といっても5年ぐらいはかかりそうです。

お母さんの”無償労働”に頼っている

ベルマーク運動の設立目的は「すべての子どもに等しく、豊かな環境のなかで教育を受けさせたい」です。

ベルマーク運動の費用対効果を考えてしまうと割に合わないのも事実です。理由はともかくとしてベルマーク運動を廃止している学校もあります。
子供たちに任せられる部分は任せて、PTA側の負担を減らせるというのは難しいのでしょうか。中学生くらいならともかくとして小学生ではまだ無理な部分が多いのか知れませんが。
一億総活躍社会を目指しているなら、負担は減らしたいところ。

約30人の母親が教室にこもって3時間ひたすらベルマークを切り貼りするといったものだった。「これだけの労働力と時間があれば、もっと子どもたちのためになる有意義な活動ができるはずでは」。(中略)地域で子どもを育むPTA活動はもっと評価されてもよいはず。それなのにPTAが敬遠されるのは、子どものためとは言いがたいブラックな活動が残っているからだろう。

「ベルマークをやりたい人だけでやる形にしたら、活動がより活発になった」という話も、実際にいくつかあります。
ベルマーク活動も例外ではなく、「ベルママ」というステキな活動名のもと、多くの母親たちが楽しく参加しています

「ベルマークは貼る必要がない」という事実を、全国のPTAの皆さんにお知らせしたい。キレイに貼るために余白を切る手間も、あの膨大な量のセロハンテープも、シワになったものをはがすあの時間も、すべて不要だったというのだ。
・ 会社別の指定袋に入れる
・ 指定袋に書かれた点数とマークの点数が同じ
財団としては、この2点を満たしていれば問題ない

あれから数年経った今でも、ベルマーク収集はあるし、ベルマーク委員さんはベルマークをちょきちょきぺたぺた点数を数えてくださっています。
ただ、平日昼間に学校に集まってというのはなくなって、都合のいい時間に家に持ち帰って作業できるようになったので、フルタイム勤務の方には大人気の委員。
毎年、委員の枠はジャンケンによる争奪戦です。
フルタイム勤務の人の逃げ道として残ってる点は、ありかなあ?

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