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「採用手伝って!来週から!」と言われたエンジニアのやるべき準備を総まとめ

Last updated at Posted at 2019-11-02

とある日...

👨‍💻エンジニア 「おはようございます〜!」
🙍‍♂️上司 「おはよう!」
👨‍💻エンジニア 「今日も開発するぞ〜!...ん?」
👨‍🦳偉い人 「👨‍💻さんにエンジニア採用お手伝いいただくことになりました!来週からです!」
👨‍💻エンジニア 「...(間違いメールかな?)...上司さん〜これって間違いメールですかね?」
🙍‍♂️上司 「間違いじゃないで。来週からエンジニア採用手伝ってな。」
👨‍💻エンジニア 「...。(急に決まってて草)」

急に「来週からエンジニア採用業務手伝ってね!」と上司から言われた、全てのエンジニアが路頭に迷わないために。

これは何?

普段採用のことなんて1bitも考えていないエンジニアに向けた、エンジニアのエンジニアによるエンジニアのための採用業務チュートリアル的なものをまとめておきます。

「採用業務で迷惑をかけないよう、最低限の準備をしておきたい!でも、何から準備すればいいのかわからない!!」という方向け。

そもそも、なんでエンジニアがエンジニア採用?

エンジニアはコードをゴリゴリ描いて、機能リリースするのが仕事。

ものづくりしたい人種からすると、「それ以外の業務はエンジニアである自分はしたくないし、するべきじゃない!!」という考えが一般的だと思うし、僕ももちろんそうなのですが、そうもいっていられなくなってきているIT業界なようです。

日本のIT業界全体で以下2つのような状況があり、「エンジニアがエンジニアを採用する」という業務は今後も増えていくんじゃないかなと思っております。

①エンジニア全然足りない問題

スクリーンショット 2019-11-02 0.01.07.png
(画像:IT ベンチャー等によるイノベーション促進のための人材育成・確保モデル事業 平成28年3月 みずほ情報総研株式会社

エンジニアがほんとに足りていない。
Marc Andreessenの有名な言説「優秀な5人のプログラマは、二流のプログラマ1000人よりも圧倒的な成果を出す。」という指摘は間違いなくて、頭数だけ揃えればいいわけじゃないけど。

社内を見渡しても、勉強会にふらっと足を運んでみても、「どこの会社もエンジニア採用に困ってんな〜。」ということは実感できる。

②優秀なエンジニア採用サービスで見つからない問題

①の問題もあり、優秀なエンジニアは所属している会社でも重要な役割を担っているし、各社から引っ張りだこな状況で採用サービスに登録するまでもなく転職が決まってしまっている。

これは自分たちもエンジニアだから分かりますよね。「知らない会社も求めて転職活動をせっせとするよりも、早く開発したいし優秀なエンジニア知り合いいる会社に転職しよ。」って考えるのは自然の流れかと。

この辺の話は↓の記事に詳しく描いてあったので、詳細はこちら読んでみてください。

優秀な人ほど転職市場に出てこない世界の話



はい。つまりこうなります。

①と②の問題が加速していき、今後もエンジニア採用は難しくなっていき、エンジニア同士知り合い経由での採用が進んでいく。

会社としては「人事に採用任せるだけじゃなくて、エンジニアにも採用業務お願いした方がいい!」という考えになる。

👨‍🦳偉い人 「来週からエンジニアの採用業務やってみよっか!」
👨‍💻エンジニア 「...Yes sir.」

エンジニア採用依頼された時にやることまとめ

前置きが長くなりました。
では、エンジニアによるエンジニア採用チュートリアルを書いておきます。

「これ読んだら大丈夫!」的な記事じゃなくて、この記事に書かれている内容を元に、自分で情報を集めたりする必要はあるのでその点はご注意ください。

あくまで考えるべき・準備するべきことのまとめです。

①会社の採用目的、目標、採用基準、進捗、実績、役割理解

まずはエンジニア採用を依頼された目的を明らかにしないと、自分が何をすればいいのかわからないので偉い人に目的を聞いてみる。
その上で、具体的な目標と現状の進捗と、過去実績からそれはどの程度チャレンジングな目標なのかを理解する。

・そもそもなんでエンジニアを採用するのか。
・エンジニア採用は、半年・年間などどのくらいの期間で何人程度を採用したいのか。
・エンジニアの採用基準はどのような要件なのか、その要件はどの程度必須なのか。
・上記の目標に対して、現状の進捗はどの程度なのか。
・過去実績として、どの程度採用できているのか、どの時期にどの程度決まったのか。

ここまで大枠での状況が理解できれば、自分に求められている役割もなんとなく理解できそうだけど、一応何を求められているのか具体的に共通認識を持っておけるとよい。

読んでおきたい本や記事など

スタートアップの経営者・人事向け「成長フェーズ別の取り組むべき採用課題まとめ」
どのフェーズにあるかによって、採用したいエンジニアのタイプは変わる。

②自社・採用競合の特徴、採用成功実績の決め手を知る

自社や採用競合の特徴として、エンジニアがよく気にするポイントBEST3は以下だと思う。

1. エンジニアとして成長できる環境かどうか?
 ・キャリアアップ、キャリアチェンジの柔軟性
 ・技術力の向上(技術力の定義は千差万別なので注意)
 ・技術学習の制度的なサポートはあるか
 ・実際に社内のエンジニアは成長、活躍しているか
2. 理念、事業、組織、報酬・福利厚生面への共感
 ・会社の理念、ミッションに共感できるかどうか
 ・取り組んでいる事業の領域は、自分の興味ある領域か
 ・組織の規模感、組織の独自性、開発手法、組織文化は、自分の働きやすい環境か
 ・働き方、給与、福利厚生は他社に比べて魅力的か
3. 代表・上司・同僚への好感
 ・代表や上司や同僚に対して好感を持てるかどうか

まだまだ母数は少ない(30~50程度だと思う)が、エンジニア採用の文脈で気にされるものは上記の3つな印象。これらに関して、自社と採用競合の特徴を頭に入れておきたい。

自社の理解

次に、自社の特徴をまとめておきたい。エンジニア業務をしてて自社のことを対外的に紹介する機会はそんなにないと思いますが、採用業務をするとなると必ず自社の説明をすることになる。
(改めて自社のことを説明しようとすると、全然説明できないことにびっくりする)

人事が会社説明をしている時にどんな内容を説明しているか見せてもらう、聞いてみるなどすれば説明の型を理解できると思うのでまずは聞いてみたい。

※ここで、エンジニアとして働いている自分の視点で会社の特徴を捉え直してみるとよい。使っている技術の話や開発手法、エンジニアから見た社内制度などはエンジニアの方が実感あるはず。

採用競合の理解

これもすっごい大事。

採用競合になりがちな企業の特徴を知っておくことで、「御社の特徴って何ですか?」みたいなざっくりした質問をされた時の比較対象として説明しやすい。

かつ、採用競合他社を選んだ理由、逆に自社が比較された選ばれた理由を知っておけば、どんな点が魅力にうつりやすいのかがハッキリしやすい。

採用成功実績の理解

採用成功した場合に、どんな要因で最終的に選ばれることが多いのか。

その要因を知っておけば、そのポイントを推していいなと思ってもらえるエンジニアは採用対象になるんだなとイメージを持つことができる。

これもすっごい大事。

③自社の採用の一連の流れを知る

採用候補となる人を集める→興味を持ってもらう→選考を受けてもらう→内定→入社→入社後研修→配属までの一連の流れとして、どのような手順を踏むのか。

スクリーンショット 2019-11-02 1.29.05.png

(画像:どうやって、新卒採用をするの? - 採用成功ナビ 新卒 PRODUCED BY RECRUIT



自社での基本的なルートを説明できるようになっておきたい。
(会社に興味を持ってもらえたら、たいてい聞かれるので。)

これは人事の人に聞けばいい感じの資料を共有してくれるに違いない。

④社内の公式データとして伝えられるデータを用意する

・事業売り上げ、利益
・社員数、職種比率、年齢比率
・事業で使っている技術、事業部の人数
(・退職率、平均年収)

などは聞かれることがあるので、答えられるようになっておきたい。

これも人事の人がいい感じの資料を共有してくれるに違いないんだけど。
会社によっては数字自体まとまっていないという悲しい状況もあるかもしれない。その場合は気合い。

社内の資料を読みあさってデータをかき集めたり、自社の社員や代表が対外的に発信している記事や動画からデータをかき集める。

※ちなみに、独自にかき集めたデータは、どこまで面談面接で話していいのか人事に確認すること大事。
※退職率や平均年収などのデータは、たま〜に聞かれることもあるけど定義が難しかったり、非公開の場合もあると思うので知らなくてよい。この辺の話は人事に任せよう。

読んでおきたい本や記事など

SmartHR会社紹介資料 / We are hiring
数字の見せ方が超参考になるSmartHRさんの会社説明資料

【食領域の課題解決】クラシルに関わるエンジニア募集のスライドを作りました
組織データ、制度をまとめられていて情報がスッと入ってくるクラシルさんの会社説明資料

公開されている採用ピッチ資料26選
スタートアップ、中堅ベンチャー各社の公開されている採用資料がまとまっている。この見せ方いいな・この情報自社でも伝えたいななど発見が多い。

⑤面談/面接の方法を学ぶ

これは奥が深すぎて、エンジニアが突き詰めようとすると泥沼にはまる。

以下の本と記事にさらっと目を通して、面談と面接ではこんなふうにコミュニケーション取ればいいんだなという知識を持っておきたい。

読んでおきたい本や記事など

『ヤフーの1on1―――部下を成長させるコミュニケーションの技法』

1on1の本だから少し趣旨が違うけど、この本に書かれている「コーチング」と「ティーチング」と「フィードバック」の話は最低限おさえておきたい。
「カジュアルに面談しましょ〜」っていう温度感の相手に対してはどのコミュニケーションとったらいいんだっけ?みたいな。

『人を動かす』


人と人とのコミュニケーション、人間関係にまつわる実例を元に、どんな考え方・行動で人は人に興味関心を持つようになるのか、心を動かされるのかなど、面談・面接をする上での根本的な考え方として学びが多い良書。

面接時に見ているポイント
VoyageのCTOのMasanori KOGAさんがエンジニア面接時に見ているポイント。面接時に何をみればいいのか参考になるし、自分の働く時の考え方の参考にもなる良記事。

グーグルが採用面接で聞く質問リストとは
面接で質問する内容の参考になる。



ここまで準備できていれば、エンジニア面談・面接で困ることはほぼない気がしています。
あとは実践の中で改善していくしかないです。

できたらもっとスゴイまとめ

さらにできたらいいよという準備もまとめておきます。
採用業務が本業ではない場合は、以下は必要性にかられたタイミングでやるでいいと思う。

⑥人事やエンジニア同僚に面接の練習相手になってもらう

面談面接は1対1でのぞむことが多いと思いますが、そうすると客観的にフィードバックを得られないもの。

面談面接を初めて行う前に同僚に練習相手になってもらって練習をしてフィードバックをもらって改善点を明らかにすることがとっても大事。

複数の観点からフィードバックをもらった方が多くの気づきを得られるので、人事の人・エンジニア同僚など複数の職種の人と練習を行えるとベスト。

⑦開発/業務経験、入社理由、働き続けている理由を棚卸する

たまに面談面接相手の方から、「これまでの仕事で一番難しかった業務って何ですか?」「なんでこの会社に入社したんですか?」と聞かれることがある。

そんなときにパッと答えられないと、「あれ...?この会社何かあるのかな?」と勘ぐられてしまう可能性がある。

・自分自身のこれまでの開発経験
・業務を通して何に取り組んできたか
・なぜ自社に入社したのか
・なぜ自社で働き続けているのか

以上のことは、簡潔に説明できるように一度時間をとって振り返ってみるとよい。

⑧採用成功/失敗している会社の事例から学ぶ

エンジニア採用のトレンドは急速に変わっていっているので、採用成功している会社の事例を知るめちゃくちゃ大事。

読んでおきたい本や記事など

『How Google Works』

「成長できる環境で働きたいです!」とよく言われるが、そもそもエンジニアが成長できる環境とは。エンジニアが自主的に動き事業が成長する仕組みや環境とはどのようなものなのか、その一例を知ることができる。

『NETFLIXの最強人事戦略~自由と責任の文化を築く~』

エンジニアとしてはプロダクトとしても学びが多いNetflixの人事戦略に関して、創業期から急速に拡大していく中で何が起こってどう対応したのかが書かれている良書。
自己破壊して成長する組織文化・何でも前提を疑って試してみて最適解を変え続ける仕組みなど、学びが多すぎる。

『採用に強い会社は何をしているか ~52の事例から読み解く採用の原理原則』

日経企業の採用成功の事例が数多く紹介されている。
各社がどんな取り組みをしていて、その結果がなぜ生まれたのか、自社にも生かせる点はないのかを考える観点をたくさんもらえる。



ここまでは成功事例に関しての本を紹介してきたが、失敗事例を学ぶのもとっても大事。

自社で採用成功しそうだったけど内定辞退されたケースを人事の方に聞いてみて、採用競合に入社意思決定された理由、何か改善できることはあったのかなどを明らかにしておく。

そうすると、自分が同じようなケースに直面した場合にどう対応すればいいのか、初動をミスしてしまう可能性が減る。

⑨タイプ別に社内のロールモデルとなるエンジニアを知る

これもめっちゃ大事。

①AtCoderをやっていたりとアルゴリズムが好きで得意なエンジニア
②サーバー・フロント・インフラと技術領域が広く、新しい技術を学び続けているエンジニア
③OSS開発やカンファレンス登壇、書籍執筆などをしているエンジニア
④専門職エンジニアとしてその道を極めているエンジニア
⑤他分野からWebエンジニアとして転職して活躍しているエンジニア
⑥事業観点が強くて数字や顧客価値に詳しいPM寄りなエンジニア
⑦組織観点が強くエンジニアの生産性向上、組織づくり、開発体制構築ができるエンジニア

以上の7つのパターンのエンジニアで、ロールモデルとなるようなエンジニアがいないか社内メンバーを探る。

基本的に採用候補者のタイプは以上の7つのいずれかには当てはまるので、「会社に入って成長できますか?」という質問をされた場合に、その人のタイプに合わせてロールモデルとなるエンジニアの話をしてあげると興味を持ってもらいやすい。

上記7タイプの人たちが社内にいない場合でも、社外のロールモデルの業務内容、経歴などを話せるようになっておくと、共通の話題として盛り上がれる。

⑩Q&Aを作成して社内展開する

これは時間をかけすぎるといくらでもできてしまうので注意が必要な諸刃の剣。

これまでの人事の面談面接メモなどをみれる環境にあるなら、ザーーっと目を通してよく聞かれてそうなことをメモしておくだけでも意味がある。

メモが溜まってきたら、この質問されたらなんて答えよう?と考えてみる。すぐに回答が思いつくものは無視してよくて、すぐに回答が思いつかないものを残しておく。

面談や面接が終わった後、個人的に気になった質問などがあれば、「これってどう答えてます?」とベテラン人事の方に聞いてみるとよい。

よくされる質問と回答例をGoogle Spread Sheetとかにまとめておくと、自分より後任でエンジニア採用を任される人にそれを共有することができてよし。

最後に

数日後...

👨‍💻エンジニア 「よしゃ!エンジニア採用完全に理解した!!」
🙍‍♂️(エンジニア用語に疎い)人事 「ぇえ?!(エンジニアってやっぱ賢いんやな...)」

この記事は読んだだけだと意味なくて、情報を集めたり、練習してみて初めて意味があるものになります!
あとは実践あるのみです!

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【事例まとめ】採用マーケティングとは?エンジニア採用に強い会社は何をしているのか

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