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話題の韓国系コスメスタートアップmemeboxに見る、データサイエンスでの業務改善を教科書通り丁寧に行うことの凄さ

Last updated at Posted at 2016-08-23

仲良しの先輩から突然こんなニュースが送られてきた。データで流行をつかみ世界最速成長!Yコンビネーター出身の韓国コスメ「Memebox」、美容スタートアップ最大の累計約100億円を資金調達

シリーズCまででのこの調達額は、美容系スタートアップの中では最大規模だし、サンフランシスコを拠点にする、韓国コスメのECサイトってこれだけで目を引く感じなので、調べてみることにした。データサイエンスの実用例としては覚えておいて損はないと思う。備忘録程度にまとめる。

運用しているブログはこちら:努力1mm

どんな会社?

データをフルに活用して流行を上手に捕まえた結果、大成長した韓国系コスメを扱うECサイト。会社のスタートは名前の通り箱をユーザーに送っていた。その時のビジネスのプロセスは以下のとおり。

  • 無料の試供品のようなものを企業から集める
  • ユーザーに送ってフィードバックをもらう
  • フィードバックを企業に送る

もともとはECサイトを運営していたわけではなく、アンケート会社のようなビジネスをしていたみたい。2015年にその事業を完全に取りやめECプラットフォームの運営に注力。現在では17万点以上の有名な韓国系コスメを、アジア・アメリカの女性に対して販売している企業とのこと。元々データを使って、市場から意見とかを汲み取るのが上手な会社だったんですね。

中国での売上成長率は毎年12倍、アメリカでの売上は毎年5倍近くで伸びているらしい。ハンパないな。。 韓国コスメは国境関係なく受け入れられるものだと認識して、プロモーションを開始。現在ではアジア兼全体よりも、スペイン語話者からの売り上げの方が多いんだとか。こんなTweetをユーザーにさせちゃうくらい、みんなのハートをわしづかみにしている。

急成長の理由はもちろんデータ解析。SNSを解析して顧客の潜在ニーズをくみ取って、商品作成、バズを起こしてオンラインでの顧客をさらに獲得っていうやり方。

コスメ業界では最速の成長を記録している同社。現在韓国にて3つのコスメブランドを立ち上げ更なる加速のための準備をしているらしい。韓国のGangmanには自社店舗も持っていて、O2O施作にも抜かり無い。更に2つの店舗をこの8月中にオープンさせようとしてる。

データの使い方

Memeboxの代表が、Fortune誌に対して「僕らは、たくさん顧客データが欲しがってくれるものを教えてくれるデータを持ってるからねっ」と語っちゃうくらい、データドリブンなマーケティングをしている会社。

CEOはインタビューでこのように語っている。

私たちは新しいプロジェクトが当たるか外れるかを予想したことはないんです。
立てた仮説まで私たちを確実に導いてくれる証拠を、データを用いて見つけない限り、
新しいプロジェクトは始めないんですよ。

3年後にはこんな考え方がメインストリームになるだろうけど、それを率先してやるのはすごいなぁ。

もうちょっと細かく見ていけそうなので、個別に見ていくことにします。

データ収集と活用法

データ収集は、主に売れ行き商品ユーザーからのフィードバック。分かりにくいので顔用のパックの具体例で。

顔に潤いを与えるためのパックは2013年頃からアジアを中心に注目され始めた商品で、ほんの最近から、世界中で爆発的な大ヒットをし始めた。

Memeboxは多種多様な製品ラインを揃えることはもちろん、その他にユーザーから特に人気の高い特徴を持つ製品を自社でも製造し始めた。ECサイト運営して化粧品販売して、なおかつそれらの競合商品まで作っちゃうなんて、同業他社からはすごく嫌われそう、笑

つまりMemeboxの売れ行き商品データの使い方は、引き続き保湿パックの例を使うとこんな感じ。

  • 自社のECサイトで売れ行きの保湿パックの特徴抽出
  • その特徴を元に、自社で製品を作る
  • 売れる

まずプラットフォームを持ってる会社の圧倒的な強さを感じるデータ戦略。

データで見つけた競争市場の抜け穴

1つのデータ分析の結果にマーケットの穴を見つけたことがある。彼らはデータを分析してあげることで、現在のコスメ市場では中価格帯($13〜$17)の商品がほぼ無いということがわかった。

で、この企業はもちろんここを埋めるような商品を開発して市場に打ち出し大成功。あんだけたくさんの企業が商品を出してるのに、この価格帯だけ空いてるのに誰も気づかないなんて、、人間の先入観による旨味みたいなものはまだまだ市場に転がっていそう。

データを使う上でのマインドセット

リスクを取りたがら無いと言われる日本人はよく、「効果があるか分からないからそんな大変な思いをしてまで、データを使う必要がない」みたいなのを聞く。

彼らによるとデータを使うっての失敗の数を減らすためなんだとか。

「失敗は成功のもと」という言葉もある通り、失敗なくして成功はない。失敗学っていう学問が存在するくらい大切なもの。なんで大切かというと、事業の方向修正をする上で必要だから。ただ、データを使うと予め方向性や選択肢を絞ることができる。つまり、リスクを取る回数が減らせる。すごく良い。

結局何がすごいのか

一見すると当たり前のことしかしていない同社。やってることだけ聞くと派手な印象に残るような凄さはないのかもしれない。ただ、実際の企業環境に照らし合わせてあげるとその凄さが伺えるのかも。

自社のデータをちゃんと収集して、顧客との関係も構築、収集したデータをもとにして製品を開発して、オンラインでのプロモーション。

教科書通りのことをしているんだけど、これをするためにはデータ分析が軸になった組織作りがされていないと出来ないんだと思う。誰もが直観じゃなくデータをもとに分析しようとする組織なんて、構築することは相当難しいのはなんとなく分かるしね。。

彼らは更に研究所まで作っているみたいだし、更に大きな成長をしていくんだろうなぁ、、
今後も注目してみていきたいものですね。

ブログはこちら:努力1mm

出典

FORTUNE

Data analysis helps Memebox find beauty market niche

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