- これは「曲線と曲面の微分幾何(小林昭七)」読みつつ書いた学習メモです。
- 個人用のメモなので、他人に分かるようには書いていません。
- 自分なりの式展開も含んでいるので、単純に教科書をなぞった内容ではありません。
- 非専門家による個人の学習メモであるため、正確さについては期待しないでください。
- 間違いがあったら教えてください><
続き
(2) http://qiita.com/u_1roh/items/890ca6d4b3fe76e4d78b 正規直交系における基本形式まで
(3) http://qiita.com/u_1roh/items/0fd2c844c745ebc91518 Theorema Egregium
曲線
円弧
p(s) = r \left(
\begin{array}{c} \cos\frac{s}{r} \\ \sin\frac{s}{r} \end{array}\right) \\
1回微分すると
\dot{p(s)} = \left(
\begin{array}{c} -\sin\frac{s}{r} \\ \cos\frac{s}{r} \end{array}\right) \\
$||\dot{p(s)}|| = 1$ より、$s$ が弧長パラメータになっていることが確かめられた。
2回微分すると、
\ddot{p(s)} = -\frac{1}{r} \left(
\begin{array}{c} \cos\frac{s}{r} \\ \sin\frac{s}{r} \end{array}\right) \\
$||\ddot{p(s)}||$ は半径の逆数となっている。これを曲率と定める。
\kappa(s) = ||\ddot{p(s)}|| = \frac{1}{r}
二次曲線
y = \frac{1}{2}ax^2
パラメータ表示すると
p(t) = \left(\begin{array}{c}t \\ (1/2)at^2\end{array}\right)
2回微分は
\ddot{p(t)} = \left(\begin{array}{c}0 \\ a\end{array}\right)
原点における曲率は
\kappa(0) = ||\ddot{p(0)}|| = a
※ (注意)原点以外の点では $||\dot{p(t)}||\neq 1$のため $t$ が弧長パラメータではなく、原点以外では単純に2回微分しても曲率は求まらない。
一般化
y = f(x)
ただし $f$ は原点に接する滑らかな曲線であるとする。正確に言うと、$f(0) = f'(0) = 0$ であり、$f$ は2回以上微分可能とする。テイラー展開すると
\begin{array}{ll}
f(x) &= f(0) + f'(0)x + \frac{1}{2}f''(0)x^2 + O(x^3) \\
&= \frac{1}{2}f''(0)x^2 + O(x^3)
\end{array}
二次曲線の結果と見比べると、原点における曲率は
\kappa(0) = f''(0)
曲面
二次曲面(1)
f(x, y) = \frac{1}{2}(x\ \ y)\left(\begin{array}{cc}a&0 \\ 0&c\end{array}\right)\left(\begin{array}{c}x\\y\end{array}\right)
2回微分を計算すると
\frac{\partial^2 f}{\partial x^2} = a,\quad
\frac{\partial^2 f}{\partial y^2} = c,\quad
\frac{\partial^2 f}{\partial x\partial y} = 0
$a$ はx方向の曲率、$c$ はy方向の曲率。
二次曲面(2)
f(x, y) = \frac{1}{2}(x\ \ y)\left(\begin{array}{cc}a&b \\ b&c\end{array}\right)\left(\begin{array}{c}x\\y\end{array}\right)
ここで直交行列 $P$ による座標変換を考える。
\left(\begin{array}{c}x \\ y\end{array}\right) =
P\left(\begin{array}{c}x' \\ y'\end{array}\right)
適用すると、
f(x', y') = \frac{1}{2}(x'\ \ y')P^T\left(\begin{array}{cc}a&b \\ b&c\end{array}\right)P\left(\begin{array}{c}x'\\y'\end{array}\right)
$P$ をうまく選ぶと、対称行列は直交行列で対角化することが出来る。
f(x', y') = \frac{1}{2}(x'\ \ y')\left(\begin{array}{cc}a'&0 \\ 0&c'\end{array}\right)\left(\begin{array}{c}x'\\y'\end{array}\right)
これで二次曲面(1)と同じ形になった。
$a', c'$ は固有値であり、固有ベクトルの方向の曲率を表す。
平均曲率とガウス曲率
平均曲率:
H = \frac{1}{2}(a' + c') = \frac{1}{2}\mathrm{tr}\left(\begin{array}{cc}a&b \\ b&c\end{array}\right)
ガウス曲率:
K = a'c' = \det\left(\begin{array}{cc}a&b \\ b&c\end{array}\right)
一般に、行列のトレースと行列式は直交行列による座標変換に対して不変であるため上式が成り立つ。
上記2つの曲率は、座標系のとり方に依存しない曲面そのものが持つ「曲がり方」を表しているといえる。
以降では特にガウス曲率 $K$ に着目して議論を進めていく。
一般化
z = f(x, y)
ただし $f$ は原点に接する滑らかな曲面であるとする。正確には、$f(0, 0) = f_x(0, 0) = f_y(0, 0) = 0$ であり、$f$ は2回以上微分可能であるとする。(※ 添字は偏微分を表す。例えば $f_x$ は $x$ による1階の偏微分。)
テイラー展開すると
f(x, y) =
\frac{1}{2}(x\ \ y)\left(\begin{array}{cc}
f_{xx}(0, 0) & f_{xy}(0, 0) \\
f_{yx}(0, 0) & f_{yy}(0, 0)
\end{array}\right)\left(\begin{array}{c}x\\y\end{array}\right) + O(\cdots)
$x, y$ を $dx, dy$ に置き換えた下記の表式を第2基本形式と呼ぶ。
\mathrm{II}=
(dx\ \ dy)\left(\begin{array}{cc}
f_{xx} & f_{xy} \\
f_{yx} & f_{yy}
\end{array}\right)\left(\begin{array}{c}dx\\dy\end{array}\right)
※ ここでは先に第2基本形式が出てきてしまったが、もちろん第1基本形式というものもある。名前の通り、第1基本形式のほうがより基本的(?)である。この先では、第2基本形式によって定義されたはずのガウス曲率が、何故か(?)第1基本形式で決まってしまうことを見ていくことになる。(もちろん証明されているのだから「何故か」ということはないのだけれど、自分で式を展開してみてもやっぱりどこか不思議な感じがする)
上式に出てくる行列はHesse行列と呼ばれ、下記の記号で表すこととする。
H_f=\left(\begin{array}{cc}
f_{xx} & f_{xy} \\
f_{yx} & f_{yy}
\end{array}\right)
二次曲面の式と見比べると、ガウス曲率は
K=\det(H_f) = f_{xx}f_{yy} - f_{xy}f_{yx}
パラメータ表示された曲面
今までは $z=f(x, y)$ の形式で書ける曲面の原点周りの曲率について調べてきた。ここからは更に一般化して、パラメータ表示された曲面の任意の点における曲率を調べていく。
パラメータ $u, v$ を使って3次元空間中の曲面は次のように表すことが出来る。
p(u, v) = \left(x(u, v), y(u, v), z(u, v)\right)
この曲面上の点 $(u, v)$ における接平面は次の2つのベクトルによって張られる。
p_u = \frac{\partial p}{\partial u}, \quad p_v = \frac{\partial p}{\partial v}
接平面の法線ベクトルは
e = \frac{p_u\times p_v}{||p_u \times p_v||}
3つのベクトル $p_u, p_v, e$ は独立であり、1つの座標系をなしている(ただし正規直交系とは限らない)。$(u, v)$ の周りの曲面をこの座標系を使って書き表すことを考える。
f(u', v') = e(u, v)\cdot\left(p(u + u', v + v') - p(u, v)\right)
ここで $u', v'$ は $(u, v)$ からの移動分である。この関数では $u, v$ は定数として止めており、$u', v'$ を変数と考えていることに注意。
この関数のヘッセ行列は次式となる。
H_f=\left(\begin{array}{cc}
f_{u'u'} & f_{u'v'} \\
f_{u'v'} & f_{v'v'}
\end{array}\right) =
\left(\begin{array}{cc}
e\cdot p_{u'u'} & e\cdot p_{u'v'} \\
e\cdot p_{u'v'} & e\cdot p_{v'v'}
\end{array}\right) =
\left(\begin{array}{cc}
e\cdot p_{uu} & e\cdot p_{uv} \\
e\cdot p_{uv} & e\cdot p_{vv}
\end{array}\right)
従って第2基本形式は
\mathrm{II} =
(du\ \ dv)\left(\begin{array}{cc}
e\cdot p_{uu} & e\cdot p_{uv} \\
e\cdot p_{uv} & e\cdot p_{vv}
\end{array}\right)\left(\begin{array}{c}du\\dv\end{array}\right)
ただし座標系が正規直交系ではないため、この時点ではガウス曲率 $K$ は単純に $\det(H_f)$ と考えることは出来ないことに注意。