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Test::Moreをワンライナーで普段使い

Last updated at Posted at 2015-03-10

Perlでテストを書くときに使われるTest::Moreは「Perlを学ぶとき、真っ先に覚えたいモジュール」の一つです。でも意外に使い慣れてなかったりします。

  1. Test::Moreを使ってテストを書くべき。
  2. Test::Moreはテストを書くときぐらいしか使わない。
  3. テストを書くためだけに、Test::Moreを覚えるのは億劫。

見事にテストを書くこと自体ネガティブになっちゃいますね。ネガティブ・サイクルが回っちゃいますね。このままだとTest::Moreを覚えずにprintf()頼りのテストばかり書いたり、もしかしたらテストも書かないまま一生グルグル回っちゃいます。

まだあります。条件1のところで「でもTest::Moreを使ってテストを書くべきだよ!」と強く言われて一回は書いたとしましょう。その時は多少なりTest::Moreを覚えたんです。でも条件2:テストを書くときぐらいしか使わないから忘れちゃって、条件3':テストを書くためだけに、Test::Moreを思い出すの億劫になります。帰ってきたネガティブ・サイクルです。

Test::Moreを普段使いして、条件2を壊しちゃいましょう。「Perlを学ぶとき、真っ先に覚えたいモジュール」でも、簡単なお試しコードを書くときに使おうよと勧めています。ここでは追加で、コマンドラインから直接perlコードを動かしてみるワンライナー(One Liner)でも、Test::Moreを使うことをお勧めします。

ワンライナーでモジュールを使うまで

perlコマンド実行時に-eスイッチをつけると、スクリプトファイルではなく、コマンドライン上で直接コードを書いて実行させることができます。ワンライナーと呼ばれます。例えば「substr('abcde', 2, 1)を実行したら、2文字目と3文字目、どちらが返ってくるんだっけ?」と思ったら、次のようにして実行することができます。

c:\> perl -e "print substr('abcde', 2, 1);"
c

ワンライナーでモジュールを使うこともできます。例えば、Webコンテンツを取得するのに役立つLWP::UserAgentを使ってみましょう。コード内でuseしてもいいのですが、-Mスイッチを使うのが一般的です。

c:\> perl -MLWP::UserAgent -e "print LWP::UserAgent->new->get('http://example.com/');"
HTTP::Response=HASH(0x2418214)

おや、オブジェクトが返ってきたみたいですね。でもこの中身を見ないと、どんなコンテンツを取得できたのかとか、成功したのか失敗したのかもよくわかりません。そんな時はまずData::Dumperですね。ワンライナーでも使えます。LWP::UserAgentとの併用もできます。-Mスイッチを二つ並べるのです。

c:\> perl -MData::Dumper -MLWP::UserAgent -e "print Dumper( LWP::UserAgent->new->get('http://example.com/') );"
$VAR1 = bless( {
  '_content' => 'Can\'t connect to example.com:80 (10060)

LWP::Protocol::http::Socket: connect: 10060 at C:/strawberry/perl/vendor/lib/LWP/Protocol/http.pm line 51.
',
  '_rc' => 500,
  (略)
}, 'HTTP::Response' );

接続に失敗した、といったデータが格納されているようです(例示専用のドメイン名の'example.com'にアクセスしようとすればそうなります)。どうでしょう。-Mスイッチと-eスイッチを使うワンライナーには馴染めたでしょうか?

perl -M使用するモジュール名 -e "実行したいコード"

ワンライナーでTest::Moreを使う

Test::Moreも、他のモジュールと同じように使えます。

perl -MTest::More -e "実行したいコード"

Test::Moreのいろいろな命令を使ってみましょう。

print代わりにdiagを使う

Test::Moreにはprint文のように(正確にはprint STDERRのように)使えるdiagという命令があります。まずsubstrの実行結果を確かめたワンライナーを思い出しましょう。

c:\> perl -e "print substr('abcde', 2, 1)"
c

printの代わりにTest::Moreのdiagを使うと、次のようになります。

c:\> perl -e -MTest::More "diag substr('abcde', 2, 1)"
# c

ほぼ同じように使えますね。diagの出力は、行頭に「# 」が入っていて、スクリプト内でprintなどしているときには区別がつきやすくなります。もう一つ、出力対象が未定義値の時はundefが出力されます。これは「空文字列かundefか」が区別できて便利です。

c:\>perl -MTest::More -e "diag undef"
# undef

Dumper代わりにexplainを使う

Data::DumperのDumper命令のように、リファレンスを文字列に変換してくれるexplainという命令があります。Dumperを使った例は以下でした。

c:\> perl -MData::Dumper -MLWP::UserAgent -e "print Dumper( LWP::UserAgent->new->get('http://example.com/') );"
$VAR1 = bless( {
  '_content' => 'Can\'t connect to example.com:80 (10060)

LWP::Protocol::http::Socket: connect: 10060 at C:/strawberry/perl/vendor/lib/LWP/Protocol/http.pm line 51.
',
  '_rc' => 500,
  (略)
}, 'HTTP::Response' );

Test::Moreのexplainを使うと、次のようになります。

C:\>perl -MTest::More -MLWP::UserAgent -e "diag explain( LWP::UserAgent->new->get('http://example.com/') );"
# bless( {
#   '_content' => 'Can\'t connect to example.com:80 (10060)
#
# LWP::Protocol::http::Socket: connect: 10060 at C:/strawberry/perl/vendor/lib/LWP/Protocol/http.pm line 51.
# ',
#   '_headers' => bless( {
#       (略)
# }, 'HTTP::Response' )

ほぼ同様の出力が得られてますね。explainでは、キーがアルファベット順で出力されていたり、$VAR1 = が省略されていたり、インデントが調整されていたりと少し見た目が整えられています。

isで期待している値になるか確かめる

substr('abcde', 2, 1)を実行した時に「2文字目が返って来るか」までワンライナーで確認させようと思ったら、次のようになるでしょう。

c:\> perl -e "$_ = substr('abcde', 2, 1); if ($_ eq 'b') { print 'ok' } else { print 'not ok' }"
not ok

Test::Moreであれば、isという命令を使えます。

C:\> perl -MTest::More -e "is(substr('abcde', 2, 1) , 'b')"
not ok 1
#   Failed test at -e line 1.
#          got: 'c'
#     expected: 'b'
# Tests were run but no plan was declared and done_testing() was not seen.

Test::Moreのisを使うと、結果に加えて、not okの時は実際の値(got)と期待していた値(expected)も出力してくれます。結果がokの時にはこれらは出力されないのもよい感じです。isの逆で、値が異なることを確かめるためのisntという命令もあります。

likeで正規表現にマッチするか確かめる

たとえば今日が週末かどうか、確かめてみましょう。sat|sunという正規表現を使えばよさそうです。

C:\> perl -e "$_ = localtime; if ($_ =~ /sun|sat/i) { print 'ok' } else { print 'not ok' }"
not ok

Test::Moreには、この正規表現とマッチするかを調べるためのlikeという命令があります。

C:\> perl -MTest::More -e "$_ = localtime; like($_, qr/fri/i)"
not ok 1
#   Failed test at -e line 1.
#                   'Fri Mar  6 19:38:13 2015'
#     doesn't match '(?^i:sat|sun)'
# Tests were run but no plan was declared and done_testing() was not seen.

週末ではなかったことと、localtimeの出力(は金曜日だったこと)が分かります。likeの逆で、値が正規表現にマッチしないことを確かめるためのunlikeという命令もあります。

is_deeplyで配列や連想配列などが一致するか確かめる

配列リファレンスや連想配列(ハッシュ)リファレンスの中を、再帰的に比較してくれるis_deeplyという命令もあります。例えば、まず次のようなワンライナーを考えましょう。第一引数を名、第二引数を姓として、連想配列リファレンスにしています。diagprintのようなもの、explainはData::DumperのDumperのようなものでした。

C:\> perl -MTest::More -e "$_ = {'FirstName' => $ARGV[0], 'LastName' => $ARGV[1]}; diag explain($_)"

実際に引数をつけて実行すると、次のようになります。

C:\> perl -MTest::More -e "$_ = {'FirstName' => $ARGV[0], 'LastName' => $ARGV[1]}; diag explain($_)" Makio Tsukamoto
# {
#   'FirstName' => 'Makio',
#   'LastName' => 'Tsukamoto'
# }

例えば名(LastName)だけが期待する値と一致するか確認するのならば、isで充分です。

C:\> perl -MTest::More -e "$_ = {'FirstName' => $ARGV[0], 'LastName' => $ARGV[1]}; is($_->{'FirstName'}, 'Makio')" Makio Tsukamoto
ok 1

全データを確認するとなると、isがどんどん並んでいくことになります。そんな時はis_deeplyです。

C:\>perl -MTest::More -e "$_ = {'FirstName' => $ARGV[0], 'LastName' => $ARGV[1]}; is_deeply($_, {'FirstName' => 'Makio', 'LastName' => 'Tsukamoto'})" Makio Tsukamoto
ok 1

もちろん、not okの時は、詳細も出力されます。

C:\> perl -MTest::More -e "$_ = {'FirstName' => $ARGV[0], 'LastName' => $ARGV[1]}; is_deeply($_, {'FirstName' => 'Larry', 'LastName' => 'Wall'})" Makio Tsukamoto
not ok 1
#   Failed test at -e line 1.
#     Structures begin differing at:
#          $got->{FirstName} = 'Makio'
#     $expected->{FirstName} = 'Larry'

そのほかのTest::Moreの命令を調べる

もうTest::Moreをワンライナーで使うことには慣れたでしょうか?これらの他に役立つ命令があるか気になり始めたでしょうか?もしそうだったら、そろそろTest::Moreのドキュメントを眺めてもいいころです。少し旧い版が元ですが、perldoc.jpコミュニティによる和訳もあります。

まとめ

Test::Moreは簡単なお試しコードを書くときにはもちろん、コマンドラインからのワンライナーでも使えるモジュールです。explainis_deeplyなどの命令は間違いなく便利ですし、他の命令も、使わない場合より便利かどうかはともかく、使うのが手間とか不便ということはありません。

Test::Moreを使い慣れて、その出力を見慣れておくと、テストを書くのはずっと気楽なことになるでしょう。テストを書くと、スクリプトやアプリケーションをメンテナンスし続け、更新していくことが少し気楽になります。

命令は、必要になったものから一つずつ覚えていけばよいと思います。ぜひテストのときだけではなく、Test::Moreを普段使いしてみてください。

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