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RaspberryPi3 64bitモード ベアメタルをJTAGデバッグする

Last updated at Posted at 2017-04-22

今回目指す環境

[Raspberry Pi 3] ⇔ [JTAGデバッガ] ⇔ [WindowsPC]

Raspberry Pi上ではベアメタルプログラムを動作させる。
OpneOCD + GDBを用いたフリーな環境を構築する。
WindowsでOpenOCD + GDBを動作させてデバッグを行う。

必要なもの

  • Raspberry Pi 3 一式
  • JTAGデバッガ
    JTAGデバッガとしてARM-USB-TINY-Hを用いる。5000円程度で購入可能なもの。
    https://www.olimex.com/Products/ARM/JTAG/ARM-USB-TINY-H/
  • JTAG - Rpi3接続用の線材
  • Windowsマシン
    実際のJTAGデバッグはWindows PCで行う。
  • Linuxマシン
    OpenOCDのビルドにUbuntu14.04を用いた。
    Windows上のMinGWやCygwinでもビルドできそうだが未確認。

ハードの接続

Raspberry Piのピン配置

基板のGPIOピンの位置

Raspberry Pi 2用の情報だが、Raspberry Pi 3と同じらしい。
https://www.raspberrypi.org/documentation/usage/gpio-plus-and-raspi2/README.md

GPIOピンのファンクション切り替え

Raspberry Piでは、レジスタ設定することで、それぞれのGPIOピンの機能を個別に切り替えることができる。
以下はRaspberry Pi 1用の情報だが参考になる。
GPIO22~27をALT4に切り替えてJTAGを接続する。
https://www.raspberrypi.org/documentation/hardware/raspberrypi/bcm2835/BCM2835-ARM-Peripherals.pdf

ARM-USB-TINY-Hのピン配置

https://www.olimex.com/Products/ARM/JTAG/_resources/ARM-USB-TINY_and_TINY_H_manual.pdf
ARM-USB-TINY-H本体のコネクタ面にLEDが付いている
コネクタ面のLEDが下になるように以下のピン配置を見る

pin signal name pin signal name
1 VREF 2 VREF
3 TTRST_N 4 GND
5 TTDI 6 GND
7 TTMS 8 GND
9 TTCK 10 GND
11 TRTCK 12 GND
13 TTDO 14 GND
15 TSRST_N 16 GND
17 NOT CONNECTED 18 GND
19 TARGET SUPPLY 20 GND

         ○ LED側

Raspberry Pi 3 と ARM-USB-TINY-H の接続

接続はしっかり確認すること。間違えると壊れる可能性大。

RPi3信号名 結線 ARM-USB-TINY-H信号名
3.3v <-> VREF
Ground <-> GND
GPIO22 <-> TSRTS_N
GPIO26 <-> TTDI
GPIO27 <-> TTMS
GPIO25 <-> TTCK
GPIO23 <-> TRTCK
GPIO24 <-> TTDO

以下の写真のようにピン同士を直接つないだ。
本当は、専用コネクタ&ケーブルを用意しておくほうが便利かつ安全。
なお、テスト用にGPIO16にLEDをつないでいる。
rp3_jtag.jpg

ソフトの用意

OpenOCD

Ubuntu上でWindows用のOpenOCDをビルドする。
MinGWやCygwinでもビルドできそうだが未確認。

以下をインストールしておく
sudo apt-get install mingw-w64 automake libtool libudev-dev

openocdをビルドするにはlibusbライブラリが必要となる。
libusbをビルド&インストールしておく。
git clone git://git.libusb.org/libusb.git (2017/10/7 アクセスできなくなったため修正)
git clone https://github.com/libusb/libusb.git
cd ./libusb/
./autogen.sh
./configure --host=i686-w64-mingw32
make
sudo make install

raspberry pi 3 AArch64用のOpneOCDを作ってくれている方がいるので、それを利用させてもらった。
(2017/10/7 複数コアを停止した際に再開できなくなる問題あり)
git clone https://github.com/daniel-k/openocd.git openocd-armv8
cd openocd-armv8
git checkout armv8
./bootstrap
./configure --host=i686-w64-mingw32 --enable-ftdi
make

以下をWindows側に持ってくる
- openocd-armv8/src/openocd.exe
- openocd-armv8/tcl以下一式
試しにWindowsのコマンドプロンプト(or cygwin)でopenocd.exeを実行してみる。
libusbxxx.dllがないというようなエラーが出たら、別途入手してpathを通しておく。

GDB

LinaroのWindows用のGCCを用いる。
AArch64ベアメタル向けtoolchainにGDBが含まれている。
https://www.linaro.org/downloads/

Raspberry Piで動かすプログラム

Raspberry Piは電源ON直後は、全ピンの機能がGPIOになっている。
JTAGを使用するには、ピンの機能をJTAGに切り替えなければならない。
GPIO22~27をALT4に切り替える。

サンプルプログラムを以下に置いた。(2017/10/7)
https://github.com/YujiToshinaga/RPi64BareMetal/tree/master/JtagCon

ドライバインストール

http://zadig.akeo.ie/
Zadigを使用して"ARM-USB-OCD-H (Interface 0)"のデバイスにWinUSBを適用する。
"Interface 1"には適用してはいけない。
とりあえず、"Interface 1"のドライバはインストールしなくて良い。

JTAGデバッグ動作

OpenOCDによるデバッグ

OpenOCDの起動

Windows側でターミナル等で以下を実行する
openocd.exe -f tcl/interface/ftdi/olimex-arm-usb-tiny-h.cfg -f tcl/target/rpi3.cfg
大量にエラーが出力されるが特に問題なくJTAGデバッグできる。
あらかじめRPi側のキャッシュ、MMU等の設定を正しくしておけばエラーなく接続できた。

telnetでOpenOCDの設定

別のターミナルを開きtelnetでOpenOCDに接続
% telnet localhost 4444
以下コマンドでコア一覧(4コアの状態)が表示される
> targets
おそらく最初はコア3に接続中なので、以下コマンドでコア0に切り替える
> targets rpi3.cpu
GDBに接続するために、コア0を止めておく
> halt

よく使うコマンド例

コマンド例 説明
targets 全コアの状態を表示する
targets rpi3.cpu1 コア1に切り替える
halt コアを動作を停止する
resume コアの動作を開始する
reg レジスタの内容を表示する
reg x1 0x5f5f x1レジスタに0x5f5fを書き込む
reg pc 0x200 0x200番地にジャンプする
bp 0x1000 4 hw 0x1000番地にブレークポイントを設定する
rbp 0x1000 0x1000番地のブレークポイントを削除する
mdw 0x400 0x400番地をワードサイズ分表示する
mww 0x400 0x5f5f 0x400番地にワードサイズ分0x5f5fを書き込む
load_image test.bin 0x0 0x0番地にtest.binを展開する(test.binのパスはopenocd.exeの場所が基準となる)

GDBによるデバッグ

aarch64-elf-gdb.exe xxx.axf
> target remote localhost 3333
あとはGDBコマンドでデバッグ可能になるはず

↓コアのレジスタを表示した様子
telnet.jpg

↓gdbでデバッグする様子
gdb.jpg

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