6
6

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

More than 5 years have passed since last update.

Vim 8.0 Advent Calendar 21 日目 新しい組み込み変数

Posted at

この記事は Vim 8.0 Advent Calendar の 21 日目の記事です。

今回は新しく追加された組み込み変数を紹介します。

タイプを表す定数

type() 関数を使うと、変数のタイプを得ることができます。ここで得られる値は数値で、各タイプに数値が割り当てられています。
ある変数が特定のタイプであるかどうかを判定したい場合、今までは以下のようにしていました。

" 以下の例では変数 var が文字列かどうかを判定しています。

" 文字列の type の値は 1 なので、これと比較して判定します。
if type(var) == 1
endif

" マジックナンバーを避けるため、以下のようにすることが多いです。
if type(var) == type('')
endif

この方法には、以下のような問題がありました。

  • 若干トリッキーで、慣れないと理解しづらいコードになります。
  • type() 関数を余計に呼ぶため、オーバーヘッドがあります。
  • 関数参照の場合は type(function('type')) のようになり、長い上に function() 関数に渡す関数名が人によってバラバラで統一感がありません。
  • 新しく追加された job 型などの値は気軽に生成できません。

そこで、type() 関数の戻り値を表す定数が新たに追加されました。以下の表が定数の一覧です。

定数 定数の値 型の値の例
数値 v:t_number 0 10
文字列 v:t_string 1 'foo'
関数参照 v:t_func 2 function('type')
リスト v:t_list 3 [0, 1, 2]
辞書 v:t_dict 4 {'one': 1}
浮動小数点数 v:t_float 5 1.23
真偽値 v:t_bool 6 v:true v:false
特殊値 v:t_none 7 v:null v:none
ジョブ v:t_job 8 job_start(cmd)
チャンネル v:t_channel 9 ch_open(host)

v:completed_item

補完された対象を表す変数です。
以前までは、CompleteDone イベントにより補完の完了を知ることはできましたが、どの候補が選択されたかを知ることができませんでした。新しく追加されたこの変数を参照することで、どの候補が選択されたのかわかります。
選択された候補は辞書です。詳しい構造については :help complete-items で説明されています。補完に失敗した場合は空の辞書になります。

v:hlsearch

検索による強調表示が行われているかを表す変数です。
検索のハイライトは 'hlsearch' オプションをオンにして検索を行うことで行われますが、:nohlsearch Ex コマンドを使うことで、一時的にハイライトを無効にできます。このとき 'hlsearch' オプションの値はそのままなので、ハイライトが行われているのか、:nohlsearch Ex コマンドで消されているのかが今まではわかりませんでした。
v:hlsearch 変数は、ハイライトが行われている時は 1、行われていない時は 0 になります。
また、値を書き換えることでハイライトの状態を変更できます。ただし、'hlsearch' オプションがオフの場合はハイライトを有効にできないため、1 を入れても値は 0 のままです。エラーも発生しません。
また、関数の呼び出しは、最後に使用された検索パターンを保存して呼び出し終了後にリストアします。つまり関数内でこの変数を書き換えても、関数の終了時に復元されてしまうので注意してください。

v:progpath

Vim を起動した際のコマンドを示す文字列です。つまり、Vim コマンド自身のコマンドライン引数の 0 番目です。
システムに複数の Vim がある場合に、どの Vim で起動されたかのヒントになります。Vim 内から別の Vim を起動して処理を行いたい場合などに便利です。

echo exepath(v:progpath)

コマンドが相対パスでカレントディレクトリが移動した場合や、$PATH が変更された場合など、確実に起動した Vim が得られるわけではない点に注意してください。

v:vim_did_enter

Vim が起動して、VimEnter イベントが発生する直前までは 0 です。VimEnter イベントが発生する直前に 1 になります。
似たような値に has('vim_starting') があります。こちらの値は逆で、起動中は 1、起動後は 0 になります。値が変わるタイミングは v:vim_did_enter と同じです。両者は完全に代替可能です。
ではなぜこの変数が追加されたのかと言うと、実はこれを追加した際、Bram さんは has('vim_starting') の存在を完全に忘れていました。あとで指摘された際、この変数の追加をリバートすることも検討したようです。
しかし、has() 関数は基本的に Vim のコンパイル時に組み込まれている機能を調べるためのもので、一部の例外を除き Vim 実行中に値が変化しないこと、そのような慣習のため、Vim が起動中かどうかを調べる方法が has() 関数にあることはユーザーにとってわかりづらいことなどを Gary さんに指摘され、残すことになったようです。

6
6
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
6
6

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?