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「売れるサービス」を作るために調べたことメモ①

Last updated at Posted at 2016-01-11

はじめに

ここに残しているメモは以下の本を自分なりにまとめたものです。

アントレ.jpg
「アントレプレナーの教科書」

RunningLean.jpg
「RunningLean」

Lean顧客開発.jpg
「Lean顧客開発」

ここ2年ほど、②や③の本に書かれている「リーンな開発手法」を業務で実践してきましたので、一度まとめておこうと思いました。
著作権の問題があるので表現は変えています。
内容をしっかりと知りたい方は買って読んでみてください。

売れるサービスを早く作るために実践した「リーン」な開発手法

ここ2年ほど実践してきたリーンな開発手法とは、「リーン・スタートアップ」に代表される開発手法です。
この手法は、前提として「最初の案は失敗する」という考え方があります。なので、「早く失敗を重ねることで、ムダをなく成功に近づけよう」というアプローチです。

そのために、
 ・サービスのお客さんになりそうな人の声を徹底的に聞いて、初期段階で案を変更しまくるということ。
 ・お客さんの「お金を出しても解決したい課題」が見つかるまでは、サービスの完成版なんて作らんよということ。
 ・できるだけお金と時間はかけないし、チームは数人で回すよということ。

で、この3冊にはそれをどう具体的に実践するかが書かれています。

では早速まとめたいと思いますが、その前に、リーンではない方法の何がいけないのか、そのデメリットについてさらっとまとめておきます。

・リーンではない方法のデメリット

おそらく最も利用されている方法が、会議を重ね(場合によってはグループインタビューし、)そこでまとまった案で完成版を作る方法です。
①の本ではこれを「製品開発モデル」と呼んでいます。

このモデルは、顧客もはっきりとわかっている既存市場でしか通用しないということが書かれています。なぜか?
新規市場にとって最大のリスクは「顧客や市場の開発」にもかかわらず、顧客や市場の開発ができるのは、製品の出荷以降だということです。

製品開発モデルがどういう流れはこんな感じ。
 「企画」〜「製品開発」〜「テスト/ベータ版出荷」〜「出荷」

・「企画」

事業のビジョンを決め、製品ニーズを取り巻く課題を決めたら、顧客インタビュー、グループインタビューを数回行い、流通チャネル検討、競合調査、差別化要素を決めたら財務モデルを作る。
つまりこの段階で最初から最後までの大枠が出来てしまいます。

・「製品開発」

製品開発部隊:出荷に向けて完成版の製品開発を開始 →出荷日と開発コストを見積もる。
マーケティング部隊:事業計画定義 →顧客リストをピックアップ、対象顧客層へグループインタビュー。
そして大抵この時期に営業の責任者を採用するとのこと。
この時点で、かけなくてもいいお金がかかり始めます

・「テスト/ベータ版出荷」〜「出荷」

営業部隊の大規模化とノルマ発生。
マーケ部隊は販売前に大規模PRキャンペーン開始、展示会、セミナー、広告、メール、記者会見など。
爆発的な資金投下を行います。

…要するに今までの手法は、市場に受け入れられるかどうかも分からないものにめっちゃ時間とお金をかけているということです。
売れるかどうかわからないものに、いきなりお金と時間をかけて製品やサービスを作り始めいます。
このリスクの高さがデメリットです。

知りたいこと

そもそも僕がこの本を読んでいる目的というか、知りたいことは、
「売れる製品やサービスを効率的に作る方法」です。
もうこれだけ。

で、本を読んで分かったのは、売れるものを作るためには「売れる製品やサービスの 土台となるプラン作り」ができればいいのと、
もう一つは「その情報をもとに最低限のプロダクトを作って、売れるか検証すればいい」ということです。

ただし、ここで作るプランはあくまで”仮説”です。
仮説は実証されないと価値がない(→多分売れない)ので、最小限プロダクトを作る前にも徹底的に検証します。

検証するためにすることは以下4つ
・サービスの土台となるプランを作る
・顧客を見つける(サービス作る前から)
・プランの検証と洗練をする
・土台となるプランを決定する
 
→できたら、必要な最小限のプロダクトを作ります。

「本当に売れるのか?」を検証するわけです。

それではこれらついて、3冊に書いてあることをまとめたいと思います!

・サービスの土台となるプランを作る

①アントレプレナーの教科書ではどう書かれているか

後に書く「Leanキャンバス」の9項目+
・出荷スケジュール
・顧客が日々どんな行動をとっているか
・顧客をとりまく組織と相関関係
・顧客のサービスを利用する際の投資対効果を正当化すること
・市場タイプの仮説
特に市場タイプ仮説は四つ分けて詳細に書かれています。それぞれの市場によってアプローチは異なります。
・新規市場か、既存市場か、既存ニッチ市場か、既存低価格市場か。
新規市場なら、
 ・その周辺の市場は何か、
 ・どの市場から流入があるのか。
 ・その市場規模はどれほどのサイズか?
 ・市場への認知に時間がかかるので、いくら、どれくらいの期間かけることができるのか?
既存市場なら
 ・競合のダイアグラムを作り、
 ・誰がこの市場を牽引しているのか?
 ・競合が投じているマーケティングのコストはどれほどの規模か?
 ・何年で市場の何%を獲得したいか?
などなど。
①のアントレプレナーの教科書はざっとこんな感じです。
ちなみにこの本はビジネス向けに書かれた本なので、コンシューマ向けに比べ、お堅いターゲット層に通用するノウハウが詰まっています。文が読みにくいのが難点ですがオススメです。

②「RunningLean」ではどう書かれているか

・Leanキャンバス

Leanキャンバスは詳しくはググっていただければいくらでも出てきます。
GMOペパボさんがCCライセンスでLeanキャンバスのこれまでのバージョンをまとめているので利用するといいと思います。(RunningLeanではver2.1を利用)
LC2.1.png

This work is licensed under the Creative Commons Attribution-Share Alike 3.0 Unported License. To view a copy of this license, visit: http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/ or send a letter to Creative Commons, 171 Second Street, Suite 300, San Francisco, California, 94105, USA.
(※URLの最後にdeed.jaをつけるとライセンス内容を日本語で見れます)

サービスの全体像をA4サイズの紙一枚でかけるほどコンパクトなのが特徴で、最初は15分でまとめるようにするといいんだとか。

Leanキャバスの内容はざっと以下の9項目です。

1:顧客の課題

課題を書きます。上位1〜3つまで。
製品に直接お金を払ってもらう製品なら、「お金を出してでも解決したい課題」ってことになります。

2:顧客のセグメント

具体的にどんな人達か、ということです。
業種や職種や立場、年齢や性別などです。

僕らのチームでは
『”2”は●●をするときに××なために”1”ができないという課題がある』
みたいな文を作ることがあります。
1は顧客の課題、2は顧客のセグメントです。
この方法だとキャンバスの最も重要な二つを同時に作れるし、人にも伝えやすくて便利です。

3:独自の価値提案(UVP)

UVP:Unique Value Proposition
独自の価値提案、言い方を変えると「あなたの製品が他とは違った価値がある理由」です。
イメージしやすく言えば、サービスのTOPページの最初に目につく場所に載せることができる文です。1行〜2行で表現できる文が好ましいようです。
これは、機能を示すのではなく、利点を強調することが重要です。
お客さんはあなたの製品に興味があるわけではなく、お客さんは自分の課題を解決できるかに興味があるからです。
なので、最も重要な課題からUVPを作るのが良いようです。
RuninngLeanでは「UVPの方程式」も書かれているので興味のある方は本を見てみるといいと思います。

4:ソリューション

「どうやって課題を解決するの?」ってことです。
作っているものが製品であれば製品そのものになったりします。
また、課題を複数挙げているのであれば、それらを解決する必要があります。

5:チャネル

どうやって売るか?その経路のことです。
まずはユーザーの目にとまるまでの経路。
そして買うまでの経路です。
アプリであればストアの広告だったりfacebookの広告だったり。
Web上で物を売るのだったらGoogleの検索時の広告だったり。
本には「アントレプレナーの教科書の『顧客発見』のプロセスを行う」って書いてますね。アントレ(略)には「スタートアップが失敗するのは顧客への経路が作れないこと」とまで言っているので、重要です!

6、7:収益の流れ、コスト構造

言葉の説明は省きます。
ただ、価格は顧客を決定する力があるので注意が必要とのこと。
例えば500mlペットボトルの水に300円の価格を付けたら、と想像してみると分かりやすいと思います。顧客は裕福な層になりそうですよね。

8:主要指標

顧客がこのサービスを気に入っている、喜んでいることを、どうやって知るか?
その指標となるものです。
RunningLeanでは「海賊指標」の五つをこの指標にすることを紹介しています。

9:圧倒的優位性

長年事業をやってきたことによる顧客基盤とか、ブランド力とか、特許とか。
他者が入る余地が極めて難しい差別要因となる要素です。
最初のうちは埋めるのが難しい、埋められないので空欄で進めても良さそうです。

ざっとRunningLeanはこんな感じです。
RunnningLeanは「企画書をどれだけスピーディーにコンパクトにまとめるか」他より本よりすぐれていると感じます。
ちなみにですが、「リーン・スターアトアップ」も読みましたが読まなくても実践できると思います。

③Lean顧客開発ではどう書かれているか

プランの作り方みたいなものはこの本には書かれていません。なので省略。
顧客をどうやって見つけるか、どうやってヒアリングするか、顧客の課題をどうやって特定するか、どうやって最小限プロダクトを作るか?などが中心に描かれています。

・顧客を見つける

先に書いておくと、この「顧客を見つける」のフェーズは本っ当に大変です。
基本的には知らない人に会って話を聞くわけですから、チームメンバーにも負担が大きいです。
「いやいや、いきなり知らん人に会ってそんな話するなんて、抵抗あるよ」というわけです。そりゃそうですよね。
その上ターゲットに会うのがそもそも困難です。
そして、①〜③に書かれていることをやればすぐにうまくいくわけではありません。なので最後に自分たちで工夫した経験などを追加して書いておきます。

①アントレプレナーの教科書ではどう書かれているか

●何人に会うのか?

・仮説検証できる50の顧客リスト
 ターゲットに少しでも適合しそうな人ならどんぴしゃな人じゃなくていい。
 とにかく時間を割いて話を聞いてくれる人。
↑※ちなみに、「少なくとも50人に会うべき」という意味ではないと思います。
顧客発見の確認のフェーズでは「少なくとも10〜20人に話をしたはず」と言っているので、目安はそのくらいでしょう。

●どうやって会うのか?

・友人以外にも、あなたが考えうる全ての情報源(←何じゃそりゃ…)
・顧客から顧客への連鎖を作る
 →「あなたの知り合いで(このような話ができる)最もすごい人は誰ですか?」を聞いて紹介にしてもらえるようにつなげる。
 →つなげてもらえるよう「紹介のストーリー」を慎重に準備しとく。
 →この時「新製品について話がしたい」など言うべきじゃない
 これで1/10くらいは約束に結びつくらしい!
・展示会やカンファレンスにいって有識者を見つける

②RunningLeanではどう書かれているか

あまり詳しく書かれてないので省略。
アントレプレナーの教科書に書かれてることに大体含まれてます。

③Lean顧客開発ではどう書かれているか

●何人に会うのか?

仮説をNGと判断するには5人、
(仮説からパターンが見え)パターンから最小限プロダクトの開発開始するのに10人
なのでまとめると、一つの仮説に対し、10人強に話を聞けば次に進むのか、NGか判断できるとしてます。

●どうやって会うのか?

・身近なひとを紹介してもらう
・見込み客がすでにいる場所に行く
・インターネットで
 LinkdIn 、Quora、(←日本だと別のサービス探す必要あります)Twitterなどのオンラインで
 ランディングページを作り、AdWords広告を出す

④実績が出た方法

・友人や仕事仲間に話を聞く(←すぐに底付きます)
・(既存の製品を持っていれば)既存のお客さんにヒアリングする。
Coffee Meetingでミーティングを立てる
・Coffee Meetingである程度ミーティングの実績ができたら、お客さんになりそうな人を探して直接ミーティングリクエストを送る。
・(既存製品があれば、無料トライアルなどのメニューを作り)PlayStoreのアプリページに掲載されているメールアドレスにDMを送る。←無料トライアルで製品使っていいからヒアリングさせて、という感じ。
・展示会やカンファレンスに出店する(プロトタイプでデモを用意)

知り合いに話を聞くのはさほど難しくないのですが、知らない人に話を聞くのは難しいです。
そのためには会ってみたいと思わせることが必要だと思います。
勉強会などを開いてる方、ブログを継続的に書いている方、SNSで情報発信をしている方などはフォロワーが沢山いる方もいると思います。
フォロワーに話が聞ける方、人脈を多く持つ方は顧客開発に向いているかもしれません。

今回は以上です
「検証し、洗練する」、「サービスで解決する課題を決定する」は次の回にします。
(1/18週に公開する予定)

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