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最近DCDCコンバータを作った自分が参考にした設計の方法(Tech Web)

Last updated at Posted at 2015-12-20

この記事は高知工科大 Advent Calendar 2015の20日目の記事です。

はじめに

最近DCDCコンバータを製作する機会があり、その際に勉強したパワーICで有名なROHMさんの技術資料
Tech Web」から分かる降圧型DCDCコンバータの設計について話していきたいです。

(ROHMのサイトを見たらだいたいわかるので、TechWebの紹介サイトと思ってくださったほうが合ってるかも・・・)。

概要

Tech WebのDCDCコンバータの設計編、評価編を見て実際に設計した時にしたことをまとめます。

設計

1.電源ICの種類

一口に降圧型コンバータと言っても、制御の方式や動作のモードなどで様々な効果を持っています。
詳しくはTech Webの「スイッチング・レギュレータの種類」以降を読んでいただければわかると思いますが、一部を簡単な表を以下にまとめておきます。

DCDCコンバータの下側の部品の種類で決まる同期方式

同期方式 下段のスイッチの種類 良い点 悪い点
同期整流 トランジスタ 比較的高効率 回路複雑
非同期整流 ダイオード 回路簡単 効率比較的低い

同期整流型で軽負荷時の逆流を防ぐ下側スイッチの動作モード

動作モード 下段のスイッチの動作 良い点 悪い点
不連続モード  0A付近になるとスイッチOFF ノイズ除去が楽 リップル増
PFM方式切り替え 軽負荷時にPFM制御 軽負荷でも効率維持 ノイズフィルタ設計難

フィードバックの方式

モード 特徴 良い点 悪い点
電圧モード 出力電圧をフィードバック ノイズ耐性高 設計面倒
電流モード インダクタ電流フィードバック 負荷応答特性が電圧モードより高速 ノイズに弱い
ヒステリシス 出力電圧リップルと基準電圧を比較 過渡応答極めて高速 ジッターが大きい

スイッチング周波数

周波数帯 外付けのCとL スイッチングロス リップル 過渡応答
高周波 小さくなる 大きくなる(数%) 小さくなる
低周波 大きくなる 小さくなる(数%) 大きくなる

2.電源ICの部品選定

1の内容を元にほしい電源のスペックにふさわしいICを選ぶ必要があります。

ICのメーカーさんでは、

あたりがよく聞くと思います。
それぞれの企業のサイトでは、部品の検索を行うページがあると思いますので、活用すると参考になります。

しかし、企業のページでは他社との比較がしづらい、車載用などの高度な用途向けの商品も交じる場合もあるので、
基本的には「Digi-key」「Mouser」などの電子部品の通販で検索をかけると良いでしょう。
今回の私の要求は、DC入力10V以下、DC出力6V5AのDCDCコンバータであり、
使用したICはROHMではなく、TIの「LMR14050」を選びました。ROHMさんごめんなさい。次は必ず買います。

3.コイル・インダクタの選定

インダクタの選定

インダクタはDCDCコンバータの中で非常に重要なので、しっかりやりましょう。
ここには簡単な流れだけ書いておきます。

  1. 必要なインダクタンスを計算
  2. インダクタに流れる最大電流を計算する(出力電流+1/2リップル電流)
  3. 計算したL値(または近似)で、インダクタ飽和電流が計算した最大電流(or最大スイッチ電流)以上のインダクタを選ぶ

インダクタは、大きいほどリップルを打ち消す事ができますが、フィードバックの影響を考える必要があります。

重要:インダクタの定格電流を絶対に超えてはいけない
インダクタには2種類の定格電流があります(参考文献:村田製作所さんのページ)
一つは温度上昇による定格、もう一つはインダクタンスの値の変化による定格です。
温度の方は発熱すれば事故の原因に直結することは分かるとは思います。これは重要です。しかし、知らなかったら大変なことになるのがインダクタンスの変化のほうです。

村田製作所さんのページを見たなら一目瞭然ですが(詳しい説明は省きます)、電流の大きさによってインダクタンスが下がってきます。この値によってはコンバータの制御が不安定になったり、回路の故障の原因にもつながります。

インダクタの定格はマージンをもって設計しましょう。

出力コンデンサ

コンデンサは平滑化を行うため、これも回路内で重要な意味を持ちます。
まずは出力コンデンサの選定の要素を示します。

  1. 定格電圧
    コンデンサにだって耐圧はあります。そもそもここを守っていなければ、平滑化どころか回路全体の故障につながります。リップル電圧の最大値を確認・計算して 選びましょう。
  2. リップル定格電流
    入力の最大電圧と出力電圧、インダクタの値とスイッチング周波数から求める事ができます。詳しい式はここから。
  3. ESR(等価直列抵抗)
    コンデンサのデータシートを確認する必要があります。LCRメータなどがあれば即測定できます。

入力コンデンサ

入力コンデンサはスイッチの前にあるので、出力コンデンサに比べて大きな電流が流れます。
その点に注意したうえで、以下のことに注意してください。

  1. 定格電圧
    これは出力コンデンサ同様、最大の入力電圧より高いものを選びましょう。 容量を大きくすると入力リップル電圧は小さくなります。
  2. リップル定格電流及びリップル発熱特性
    ここに書いている入力コンデンサに流れるリップル電流の実効値を求めて、その値からふさわしいコンデンサを探しましょう。
  3. 温度特性とDCバイアス特性 セラミックコンデンサの温度特性については、コンデンサの規格のCLASS2(高誘電率系)でEAI記号X5R(-55~+85℃、静電容量変化率 ±15%)やX7R (-55~+125℃、静電容量変化率 ±15%)(詳しくはここ)を選べば十分だと思います。
    DCバイアス特性は厄介です。 セラミックコンデンサの容量はここに書かれているように、サイズにもよりますがDCの電圧を掛けると容量が減少する傾向にあります。サイズが小さくなるほどその値は顕著で、10uFのものが1.5uFにまで減少する場合があります。
    ここを表記の容量のみで行うと、ノイズの原因にもなるので、しっかりコンデンサのデータシートを確認することをおすすめします。大きいものが変化が少ない傾向であることは覚えておいたほうがいいと思います。

まとめ

ここまでのことが最低限分かるとそれっぽいものが出来上がるかも・・・。
やっぱりROHMさんの「Tech Web
を読むともっと分かる事が多いと思います。
今回選んだICで作ったDCDCコンバータは、次か次の次くらいに詳しく書きたいと思います。
みんなもDCDCコンバータを作ってみよう!!

明日は、12/7以降6日目とか言うマジ○チ日程で走っている白瀬蒼さんです。ヤバソ・・・楽しみです。

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