Elixirとかのsigilじゃなくて、EPUBエディタの方のSigilをOS Xでビルドする方法です。
まあ下記を読めばいいだけですが、実際に試してみたということで。
- Sigil: RunningFromSource (https://code.google.com/p/sigil/wiki/RunningFromSource)
CMakeの準備
Sigilはマルチプラットフォーム対応のため、ビルドもマルチプラットフォームになっているわけですが、そのためにCMakeを使っています。
OS XでCMakeをインストールするにはHomebrewかMacPortsを使うのが早そうです。お使いの方を使ってインストールしてください。
# Homebrewの場合はこちら
$ brew install cmake
# MacPortsの場合はこちら
$ sudo port install cmake
Qtの準備
SigilにはQt5.xが必要です。インストールしていない場合、まずはQtをインストールします。
QtのインストールはHomebrewとかを使ってもいいのですが、本家のサイトからダウンロードしてもOKです。ダウンロードページは以下。
- Download Qt (http://qt-project.org/downloads)
OS Xの場合、このページにある「Qt 5.2.1 for Mac (378 MB) (Info)」というリンクからインストーラをダウンロードします。ダウンロード後、実行するとインストールできます。インストールするパスは適当に選べるので、あとでそれを指定できるよう記録しておきます。ここではとりあえず/Users/foo/Qt5.2.1
ということにしておきます(/Users以下に入るのは微妙かもと思ったけどデフォルトがこうなっていて、試したところ特にこれで困らなかったのでこのままにしておきます)。
Sigilのソースの入手とビルド
ソースはgithubにあるので、そこからgit cloneして持ってきます。
$ git clone https://github.com/user-none/Sigil.git
あとは、INSTALL.txtにしたがって実行します。
$ mkdir build
$ cd build
$ cmake -DFORCE_BUNDLED_COPIES=1 -DCMAKE_BUILD_TYPE=Release -DCMAKE_PREFIX_PATH=/Users/foo/Qt5.2.1/5.2.1/clang_64/lib/cmake ..
$ make
気をつけるところは上記のQtのパスを指定する所くらいですね。
makeが終わると、build/bin/Sigil.app ができるので、これを実行するとビルドしたSigilが起動します。
余談
以下余談なので読まなくていいです。
これを書いた動機はもちろん下記の件にあります。
- http://sigildev.blogspot.jp/2014/02/sigils-spiritual-successor.html
- http://densho.hatenablog.com/entry/inactive-sigil
朝から世の中はクローズドなエディタ(念のため書いておくとAtomのことです)で盛り上がってるのを微妙な気持ちで横目にしつつ、それなりに知名度の高いFLOSSなEPUBエディタが活発じゃないからということでフェードアウトしていくニュースを読むのはとても悲しいわけです。いやまあEPUB3はまともに作れないので日本語環境では難があるので素人にも玄人にもお勧めできないというのは分かりますが(とはいえ日本語でも技術書とかは横書き一択なので別にEPUB2でも困らないという話もありますが)、だからといってそこで直接の代替アプリがあるわけでもないのに「使わない」という選択肢しか選べないのなら、いったいぜんたい何のために私たちはオープンソースソフトウェアを使っているのかという話になるわけですよ。なんていうか、私たちがこんなんだから自由じゃないエディタに一喜一憂しないといけないわけですよ。だめじゃん。だめだめじゃん。
というわけで、せめてビルドくらいはしてみようということで試してみた結果がこの記事です。別にビルドしたくらいで何かが変わるわけでもないのですが、一歩一歩の積み重ねによってしか大きな成果が生まれないというのも、特にFLOSS界隈ではごく日常的に見かける風景です。ただでさえ電子出版界隈はごく一部しかオープンにならない気がして仕方ないので、そんな息苦しい風土をちょっとずつでも変えていければ、という願いを込めて、この記事を書きました。