皆さん、空耳英語をご存知ですか?空耳英語とは、英語のように聞こえる日本語のことです。例えば、「掘った芋いじるな」という日本語が「What time is it now?」という英語に聞こえる、という噂話を皆さんも聞いたことがあるかもしれません。私は子供の頃にこの噂話を聞いて、「日本語っぽく発音したら絶対に通じないだろ…」と思ったように記憶しています。外資系のIT企業に勤めている今、いつでも外人相手に試すチャンスはあるのですが、面と向かって試す勇気がありません。そこで、Watson APIを使って空耳英語が期待通りに解釈されるか、検証してみました。
Watson APIとは
Watson APIとは、IBMのBluemixというクラウド・プラットフォーム上で提供される、コグニティブ・コンピューティングのAPIです。WebやモバイルなどのアプリケーションからWatson APIを呼び出すと、簡単にコグニティブ・コンピューティングの機能を利用すことができます。Bluemixのアカウント(30日間無料)を作成すれば、誰でも利用することができます!今回は、テキストを自然言語に変換するText to Speech Serviceと、自然言語をテキストに変換するSpeech to Text Serviceを利用します。
空耳英語を検証してみよう!
検証方法は、下の図を参照してください。まず「空耳英語」だと言われている日本語のテキストをText to Speech Serviceに入力し、日本語の音声ファイルを出力します。次に、日本語の音声ファイルをSpeech to Text Serviceに英語の音声として解釈させ、英語のテキストを出力します。「掘った芋いじるな」という日本語のテキストが「What time is it now?」という英語のテキストに変換されれば、空耳英語として認定することにします。
こちらが今回の検証のために作成した空耳英語変換ツールのUIです。果たして「掘った芋いじるな」は「What time is it now?」に変換されるのでしょうか?では早速日本語テキストを入力してみましょう!
「掘った芋いじるな」を入力して、「英語に変換」ボタンを押すと…どきどき
というわけで、Watson APIには「掘った芋いじるな」は「What time is it now?」とは聞こえなかったようです。やっぱり無理がありますよね。しかし、「yeah we do not」という英語も無理があるような…ちなみに、Speech to Text Serviceは英語のテキストとともに、その出力の確信度も返してくれるのですが、確信度は0.553という値でした(0が最低で1が最高)。Watson APIも、自信がなかった模様。
せっかくなので、ネット上で見つけたその他の空耳英語を検証してみました。
- 「湯飲み」 → 「You know me」
空耳英語認定! - 「愛の湯」 → 「I know you」
空耳英語認定! - 「あに(兄)、移住」 → 「I need you」
惜しい! - 「知らんぷり」 → 「Sit down, please」
確かに、「simply」に聞こえるかも。 - 「いつも会いたい」 → 「It's my tie」
これも惜しい! - 「わっかんないぜー?」 → 「What can I say?」
全然ダメ!
この他、いろいろ試してみましたが、期待通りに変換されたのは「湯飲み」と「愛の湯」だけでした。やはり空耳英語には無理があるようですね。それっぽく聞こえるように発音すれば、変換率は上がるのかもしれませんが、Watson APIのText to Speech Serviceが出力する日本語の音声ファイルでは難しいようです。
#おわりに
今回作成した空耳英語変換ツールのコードをこちらに公開します。Bluemixのアカウントを持っていれば、このボタンをクリックするだけでこのアプリをBluemix上に起動することができます。皆さんも、ぜひこのツールを使ってネット上に落ちている空耳英語を検証してみてください!