2015年も終わりが近いので、今年のHaxe界隈の出来事を簡単に振り返ります。
Ludum Dare 32のCompo部門で1位、2位、3位(4月)
Ludum Dareは世界的なゲーム制作イベントで、48時間で1人でゲームを作るCompo部門と、72時間でチームでゲームを作るJam部門があります。第32回のテーマは「An Unconventional Weapon(型破りな兵器)」。提出されたゲーム数はなんと2821個で過去最大の数でした。
そんな中、Compo部門の総合成績1位、2位、3位、5位がHaxeで制作されたゲームという結果になりました。
1位. BED✰HOGG
2位. Badass Inc
3位. Alien Crab in the Ghostmaze
5位. Trigonoweapon
1人で素早くゲームを作る用途では、Haxeはかなり強いのがうかがえます。Ludum Dareについては、Haxe Roundupでまとめが投稿されているので、Haxeでの作品を知りたい場合はそちらでみることができます。
The Haxe Ludum Dare 32 Roundup
The Haxe Ludum Dare 33 Roundup(8月開催)
Compo部門の作品はすべてソースコードが公開されているので、各ゲームエンジンのサンプルコードとしても見れるのがうれしいところです。
Haxe 3.2リリース(5月)
Haxe3.2がリリースされました。内容については別に記事を書いているのでこちらをどうぞ。
個人的な感想としては、マクロの新機能が便利です。addGlobalMetadata
はよく使います。
WWX2015(5月)
パリで、Haxeの国際カンファレンスが開催されました。
こちらでビデオが公開されてます。
ビデオレコーダのTiVo社なども発表をしていて、発表スライドをGithubにも公開しています。
イベントに合わせて、Haxelibのサイトが新しくなったりしました。
関数のアロー式のGithubのissueがやたら盛り上がる(6月)
GithubのIssueに関数のラムダ式の構文の追加のリクエストが来ました。
Haxeは関数型っぽい側面もあるんですが、関数式の構文が長いのでそこに不満をもっている人は結構多いらしく、100件くらいの賛同レスが来てます。
しかし、Haxe創始者のNicolasは「関数型のファンが100個の+1を投稿したところで、ほとんどのHaxeユーザーがその機能を望んでるって意味じゃないよ」という趣旨の発言をしていて、乗り気じゃないのがうかがえます。なのでたぶん実装されないです。残念。
Evoland 2リリース(9月)
Nicolas率いるShiro Gamesの最新作です。
その裏側の技術については、先述のWWXで発表がされています。
静的なゲームデータベースのツールとしてCastleDBを、ゲームフレームワークとしてHeapsを紹介しています。
Haxeでシェーダーを書いてAGALとGLSLに出力するhxslなどは、なかなか興味深いです。
Haxe Foundationが最高経営責任者の募集を始める(11月)
その経緯については以下に詳しく書かれています。
内容を非常にざっくりとまとめると、
Haxeは技術的な観点では成功しているものの、コミュニケーションや組織など失敗している点がいくつかある。
Haxeはゲーム開発者の界隈には強いが、Haxe自体はもっと広い用途をもっている。一方で、Nicolasはゲーム開発者でありその他の領域にどうやってマーケティングすべきかわかりかねている。また、Nicolasはマネジメントよりもゲーム開発や新しい技術に興味があり、Shiro GamesもあるのでHaxe Foundationのためにフルタイムで働くこともできていない。
不足している部分を補って、Haxeを次のステップに進めるためにフルタイムで働けるCEOを探すことにした。
といった話のようです。かなり省略して書いたので、ちゃんと内容を知りたい人は原文をよんでください。
個人的な感想
機能面も足りなかった部分が補われてきて、ゲームについては事例も増えてきました。ActionScriptの代替としての正当な進化を遂げている感じがします。
とはいえ現状、サーバーサイドのフレームワークや、Mac向けのIDEなど、まだもの足りなく感じるところもあります。
今年のHaxe FoundationのCEOの募集というのは、サーバーサイドなどの分野にもいい影響がありそうで期待感のあるニュースでした。
IDEについても、今年はHaxeのIDE向け機能の強化や、Visual Studio Codeのオープンソース化などがあり、来年以降は発展の見込みがありそうかなと思うのでぜひぜひ注目したいところです。