37
48

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

More than 5 years have passed since last update.

MySQL (MariaDB) データベース定義の差分を取得する方法

Posted at

MySQL または MariaDB で2つのデータベースの定義がどう異なるのか、調べたいことってありますよね?

mysqldump を使って diff で差分を取得することをまず考えるかもしれませんが、もしその差分をなくす、つまり一方に行った変更を他方に反映したい場合に、まさかそこから手動で ALTER TABLE 文を書こうなんてエンジニアはいないと思います。

そんなわけで mysqldiff コマンドの出番です。

mysqldiff コマンドについて

mysqldiff は Python で実装された Oracle 公式の MySQL 向けユーティリティツール群である MySQL Utilities に含まれるツールのひとつです。2つの異なるデータベースを比較し、その差分を出力することができます。

Perl製のツール MySQL::Diff について

mysqldiff で検索すると同じ目的を持った Perl 製のツール MySQL::Diff が存在することがわかります。……というよりもどちらもコマンド名が mysqldiff であるため、別々のツールであるとは極めてわかりにくい状態です。

どちらを使ってもよい、と言いたいところですが MySQL::Diff を使ってみたところ「外部キー制約を伴うテーブルを正しく解釈できない」というバグがあることがわかりました。MySQL Utilities の方を使った方が無難です。

MySQL Utilities インストール手順

公式サイトから各種OS/ディストリビューション向けのパッケージをダウンロードし、インストールすることができますが、OS X の場合、罠が待っています。

もちろん OS X 向けにも dmg でインストーラが配布されているのですが、なぜか OS X 10.9 Mavericks までしかサポートされていません。Yosemite や El Capitan を使っている場合はその他の方法を使う必要があります。ここではその手順を解説します。

1. MySQL Connector/Python をインストール

MySQL Utilities は MySQL Connector/Python に依存するため、まずはこちらをインストールします。

Python 製のツールと言うことで pip を使ってインストールすることをまず考えたのですが pip でインストールできるバージョンが古い上にそもそもなぜかエラーがでてインストールできません。

ありがたいことに MySQL Connector/Python のソースコードは GitHub で公開されているので、それを使ってインストールします。

$ git clone git@github.com:mysql/mysql-connector-python.git
$ cd mysql-connector-python
$ python ./setup.py build
$ python ./setup.py install

2. MySQL Utilities をインストール

こちらも GitHub から手動でインストールします。

$ git clone git@github.com:mysql/mysql-utilities.git
$ cd mysql-utilities
$ python ./setup.py build
$ python ./setup.py install

インストール手順は以上です。

mysqldiff コマンドの使い方

基本のコマンド

基本的な使い方は次の通りです。詳しい使い方やオプションについては mysqldiff --help コマンドで確認してください。

$ mysqldiff \
  --server1=username:password@hostname \
  --difftype=sql \
  --changes-for=server1 \
  --force \
  db1:db2
  • --server1 で接続情報を指定します。
  • --difftype で差分の出力方法を指定します。sql を指定した場合は ALTER TABLE 文が出力されます。その他に unified, context, differ を指定することができます。
  • --changes-for で比較の向きを指定します。「ALTER TABLE 文の反映先」だと考えるとわかりやすいです。
  • --force を指定し、すべての差分を出力させます。指定しない場合、最初の差分が見つかった時点で処理が中断されます。

前半の2つは公式マニュアルでも最初に触れられており問題ないのですが、重要なのが後半2つです。

--force を指定しない場合、次のようなエラーメッセージが表示され、差分は出力されません。

# WARNING: Using a password on the command line interface can be insecure.
# server1 on localhost: ... connected.
# Comparing `db1` to `db2`                                         [FAIL]
# Object definitions differ. (--changes-for=server1)
#

--- `db1`
+++ `db2`
@@ -1 +1 @@
-CREATE DATABASE `db1` /*!40100 DEFAULT CHARACTER SET utf8mb4 */
+CREATE DATABASE `db2` /*!40100 DEFAULT CHARACTER SET utf8mb4 */
Compare failed. One or more differences found.

「1つかそれ以上の違いが見つかったので比較に失敗したよ!」とのたまいやがります。何のためのツールなのかと小一時間問い詰めたい気分になりますが、ここはそっと --force を指定してやるのが紳士のやり方です。

また mysqldiff --help を見る限り --changes-for を指定しない場合は --changes-for=server1 を指定した場合と同じ挙動になるはずですが、指定しない場合次のような警告メッセージが表示される場合があります。

# WARNING: The tables structure is the same, but the columns order is different. Use --change-for to take the order into account.

これが --changes-for=server1 を明示的に指定すると表示されなくなります。自分がなにをしているのかわかりやすくするためにも、明示した方がよさそうです。

2つのデータベースが異なるサーバーにある場合

--server2 オプションに後者のデータベースがあるサーバーへの接続情報を指定します。

$ mysqldiff \
  --server1=db1_username:db1_password@db1_hostname \
  --server2=db2_username:db2_password@db2_hostname \
  --difftype=sql \
  --changes-for=server1 \
  --force \
  db1:db2

テーブルを指定する場合

データベース名に続けてテーブル名を指定することもできます。その場合、異なるテーブル名を持つテーブル間の差分を取得することも可能です。

$ mysqldiff \
  --server1=username:password@hostname \
  --difftype=sql \
  --changes-for=server1 \
  --force \
  db1.table1:db2.table2

注意事項

1. 実行時のユーザー権限について

mysqldiff を実行するときに指定する MySQL のユーザーは次の権限を持っている必要があります。

  • 比較対象とするデータベースへの SELECT 権限
  • mysql データベースへの SELECT 権限

これらの権限が不足している場合、コマンドはエラーとなり差分は出力されません。

2. テーブル単位の過不足があっても表示されない

テーブル名を指定せず、データベース単位の比較を行う際に「一方のデータベースにのみ存在する TABLE や VIEW」がある場合、その差分は表示されず、次のようなメッセージが表示されるのみとなります。

# WARNING: Objects in server1.db2 but not in server1.db1:
#         VIEW: foo
#        TABLE: bar

まとめ

  • Perl の MySQL::Diff は使わずに Oracle 公式の MySQL Utilities を使おう。
  • OS X の場合は GitHub からソースコードを持ってきてインストールしよう。
  • --force--changes-for を指定しよう。

参考にしたサイトなど

37
48
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
37
48

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?