Chefを使ってWebLogic Serverの基本ドメインを作ってみた

概要

Chefを使ってWebLogic Serverのサイレント・インストールを行いました。

• Chefを使ってWebLogic Serverをサイレント・インストールしてみた

WebLogicはインストールした後に、WebLogic Server ドメインという論理的な管理グループを作成する必要があります。
このWebLogic ServerドメインをChefを使って作成してみます。

WebLogic Server ドメイン

マニュアルでは次の箇所にWebLogic Server ドメインについて記載があります。

• Oracle® Fusion Middleware Oracle WebLogic Serverの理解: WebLogic Serverドメイン

WebLogic Server ドメインは論理的な管理グループとお伝えしましたが、その管理対象に含まれる要素は以下のものがあります。

• サーバ
  • 管理サーバ：ドメインに必ず１つ必要なドメインの設定を管理するサーバ
  • 管理対象サーバ：アプリケーションやサービスをホストするサーバであり、管理サーバから設定を取得
• マシン：ハードウェアの境界（ノードマネージャを使用する場合は必須）
• クラスタ：アプリケーションに可用性と拡張性を提供するサーバの論理的なグループ

このWebLogic Server ドメインは論理的な単位なので、どのように区分するかは制限がありません。
基本的には、運用ポリシーやルール、サービスレベルが同じアプリケーションやサーバは同一のドメインに含めるようにします。

Chefを使ってやりたい事

Chefを使って１ドメイン中に１管理サーバのみの最もシンプルなWebLogic Server ドメインを作成します。

今回作成するRecipe

• WLSTのスクリプト・モードでWebLogic Server ドメインを作成します。
  • 使用するドメイン・テンプレートは「Basic WebLogic Server Domain Template」
  • ドメイン構成は１サーバインスタンス（管理サーバ）/１マシン

Recipe. WebLogic Server ドメインの作成

以下の３種類のファイルを作成します。
- Recipe
- Template
- Attribute

Templateでは、WebLogic Server ドメイン作成用のWLSTスクリプトを用意します。

• Template

以下の箇所でドメイン・テンプレート「Basic WebLogic Server Domain」を適用しています。

templates/default/create_domain.py.erb

selectTemplate('Basic WebLogic Server Domain', '12.2.1.0')
loadTemplates()

以下の箇所で管理サーバのポートを指定しています。

templates/default/create_domain.py.erb

cd('Servers/AdminServer')
set('ListenAddress','')
set('ListenPort', 7001)
create('AdminServer','SSL')
cd('SSL/AdminServer')
set('Enabled', 'True')
set('ListenPort', 7002)

そして以下の箇所で管理ユーザとパスワードの指定を行います。

templates/default/create_domain.py.erb

cd('/')
cd('Security/base_domain/User/<%= node['weblogic-domain']['admin_user'] %>')
cmo.setPassword('<%= node['weblogic-domain']['admin_password'] %>')

WebLogic Serverは起動時に開発者モードとプロダクションモードの異なる起動サーバモードがあります。
以下で、起動モードを設定します。Attributeで開発者モード(dev)を設定しています。

templates/default/create_domain.py.erb

setOption('ServerStartMode', '<%= node['weblogic-domain']['startmode'] %>')

最後にドメイン構成情報を書き込みます

templates/default/create_domain.py.erb

writeDomain('<%= node['weblogic-domain']['domain_home'] %>/<%= node['weblogic-domain']['domain_name'] %>')
closeTemplate()

• Attribute

Attributeでは各デフォルト値を設定しています。

• default['weblogic-domain']['startmode']
  • WLSTスクリプトのServerStartModeの設定
    • (参考)Oracle® Fusion Middleware WebLogic Server WLSTコマンド・リファレンス

attributes/default.rb

default['weblogic-domain']['startmode'] = 'dev'
# default['weblogic-domain']['startmode'] = 'prod'

• ['weblogic-domain']['domain_home']
• ['weblogic-domain']['domain_name']
  • WebLogic Server ドメインの構成場所とドメインの名前を指定

attributes/default.rb

default['weblogic-domain']['domain_home'] = '/u01/app/oracle/config/domains'
default['weblogic-domain']['domain_name'] = 'mydomain'

• Recipe

RecipeではWLSTをスクリプト・モードで実行しています。
-(参考)スクリプト・モード

recipes/create.rb

execute "wlst.sh create_#{node['weblogic-domain']['domain_name']}_domain.py" do
  environment "CONFIG_JVM_ARGS" => "-Djava.security.egd=file:/dev/./urandom"
  command <<-EOH
    . #{node['weblogic-domain']['wls_home']}/server/bin/setWLSEnv.sh
    #{node['weblogic-domain']['oracle_common']}/common/bin/wlst.sh #{node['weblogic-domain']['response_file_dir']}/create_#{node['weblogic-domain']['domain_name']}_domain.py
  EOH
  user node['weblogic-domain']['user']
  group node['weblogic-domain']['group']
  action :run
  creates "#{node['weblogic-domain']['domain_home']}/#{node['weblogic-domain']['domain_name']}/bin"
end

• WLS_HOME/server/bin/setWLSEnv.shで、必要な環境変数を設定しています。
• ORACLE_HOME/oracle_common/common/bin/wlst.sh WLSTスクリプトファイル(xxx.py)で、WLSTをスクリプト・モードとして実行しています。

Chefの実行イメージ

まとめ

WebLogic Serverの導入は構成ウィザードを用いたGUIによる対話的な操作と、今回利用したWLSTスクリプトによるサイレント実行が可能です。
WLSTスクリプトはドメイン構成情報をテンプレート化しているので、Chefと組み合わせての環境の冪等性を担保するInfrastructure as Codeとして便利に利用できます。

• 今回のレシピ：https://github.com/shinyay/chef-oracle-weblogic-domain/tree/publish_20160615
  • WebLogic Server ドメインを作成するCookbookです。