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マルチプラットフォームでIME対応させたいメモ

Last updated at Posted at 2015-12-07

プログラマになったからには、死ぬまで一度はOSやコンパイラやインタプリタや検索エンジンやブラウザを作りたいと夢見ると思います。中でも人気の夢がエディタです。エディタを作るからにはIMEをきちんと取り扱えないといけません。

・・・というのはどうでもよくて、OpenGLを使ったマルチプラットフォームのアプリケーションを作るフレームワークとしては、現在はglfwが事実上の標準になっています。どうも日本語変換には対応していないっぽいので、色々調べ始めました。IME沼です。

Windows

我らが石本さんが色々なコードに対して日本語入力パッチを送られているのでそれを見ているのですが、imm32というAPI群があるんですね!

TFS

で、いろいろ調べていたのですが、音声入力などにも対応するためにできた、TFSというのが現在は標準っぽいです。

変換中の文字列: Compositionと呼ぶ

変換前後の文字列も一緒にTSFに送る。これは再変換や読み上げのようなアクセシビリティから使われるっぽい。

英語の記事。

どうも、TSF関連はVistaの時代にいっぱいサンプルが作られたっぽくて、ステップバイステップのサンプルのリンクとかも見つかるんだけど、今の時代はもう破棄されて見られないのが多いっぽい。TSF冬の時代。

やっぱりIMM32

どうもレッドモンドの人たちは直接このAPIを触ってほしくないように思えました。.netなら、ラップされてIMM32しか対応しないIMEにも対応したwindow.forms.input.InputMethodを使うようで。後は、一般的にコンポジションの文字列を非表示にする用途(ゲーム)用に、DirectXのGXUIというのも提供されています。コードは非公開。完璧な対応というと次のようになるけど、一朝一夕じゃ無理。

主要なライブラリ、みんなIMMでやんの。

ついでの実験結果で、WM_IME_COMPOSITIONで、lparamがGCS_COMPSTRのイベントで、return TRUE(上流に流さないで握りつぶす)をすると、コンポジションウインドウが非表示になるっぽい。やった!

Mac OS X

IMKitというのがある。でもこれはIMEを作る人用のものなので、関係ない。

アプリケーション側は以下のプロトコルを実装するっぽい。

なお、NSTextInputというのは古いインタフェースなので、その単語が出てくるページからは逃げること。

  • 以下のPull Requestで対応する?後で試す→試して、変換ウインドウの表示位置を少し直したら?とコメントした
    https://github.com/glfw/glfw/pull/643
    簡易な実装。っぽい。インライン変換などの対応はない。まあ、もろもろやるにはAPIの追加は必要だしな。

  • Mac OS XのCocoa版GTK+で日本語入力を行うためのgtkimmodule(GtkIMCocoa)の開発
    http://www.clear-code.com/blog/2013/3/14.html

変換中の文字列: Marked Textと呼ぶ。NSTextInputClientプロトコルのsetMarkedTextメソッド(これはMac OSが呼び出す。アプリ側は、このメソッドの中身を定義して、引数で渡ってきたデータを自前でローカル変数に入れたり、画面に表示したりする)で、変換中文字列は取得できる。基本はこのsetMarkedTextの様子だけを見ておけば良さそうな気がする。「あいうえお」と入れてスペースを押した後にカーソルで変換範囲を移動してみた様子。

2015-12-07 14:58:51.207 events[43639:507] setMarkedText: あいう{
    NSUnderline = 2;
    NSUnderlineColor = "NSCalibratedWhiteColorSpace 0 1";
}エオ{
    NSUnderline = 1;
    NSUnderlineColor = "NSCalibratedWhiteColorSpace 0.17 1";
} selectedRange={0, 3} replacementRange: {9223372036854775807, 0}

replacementRangeはよく分からん。再変換用?selectedRangeは選択中の範囲(始点と長さ)を持っている。最初の引数の文字列は属性付き文字列になっていて、NSUnderline=2が今カーソルがある位置の単語っぽい。これを分解してコールバックでglfwを使っているアプリケーションに渡して、適切にフォーマットして見せてあげれば良さそう。↑のパッチが当たれば、入力文字列が一文字ずつ分解されてコールバックで渡ってくることは確認済み。

変換前後の文字列も一緒にNSTextInputClientに送る。これは再変換や辞書、読み上げのようなアクセシビリティから使われるっぽい。Windowsと同じ。

Macはキーボードが2種ではなくてたくさんあるのと、ASCII入力可能・不可能というグループでキーボード情報が取得できるので、最終的にこのようなコードになった。OFFの時はASCII入力可能の先頭に設定し、ONの時は全グループの先頭から順番に探索し、asciiの先頭でないものを選んでいます。asciiの先頭以外にもないかどうかのチェックが必要かは様子見。

NSArray* asciiInputSources = CFBridgingRelease(TISCreateASCIICapableInputSourceList());
TISInputSourceRef asciiSource = (__bridge TISInputSourceRef)([asciiInputSources firstObject]);                          
if (active) {
    NSArray* allInputSources = CFBridgingRelease(TISCreateInputSourceList(NULL, false));
    NSString* asciiSourceID = (__bridge NSString *)(TISGetInputSourceProperty(asciiSource, kTISPropertyInputSourceID)); 
    int i;
    int count = [allInputSources count];                                                                                
    for (i = 0; i < count; i++) {
        TISInputSourceRef source = (__bridge TISInputSourceRef)([allInputSources objectAtIndex: i]);
        NSString* sourceID = (__bridge NSString *)(TISGetInputSourceProperty(source, kTISPropertyInputSourceID));       
        if ([asciiSourceID compare: sourceID] != NSOrderedSame) {                                                       
            TISSelectInputSource(source);                                                                               
            break;                                                                                                      
        }                                                                                                               
    }
} else {
    if (asciiSource) {
        TISSelectInputSource(asciiSource);                                                                              
    }                                                                                                                   
}                                                                                                                       

IMEの入力のリセットは以下の様なコードにした。QtやGTKや数多くのコードがこれとほぼおなじコードなんだけど、なぜか動かない。

NSTextInputContext *context = [NSTextInputContext currentInputContext];                                                 
[context discardMarkedText];
[window->ns.view unmarkText];   

これ、じっくり理解しておきたい
https://developer.apple.com/library/mac/documentation/TextFonts/Conceptual/CocoaTextArchitecture/TextEditing/TextEditing.html

X Window

fcitxが事実上の標準っぽい。Ubuntu Linuxも最新の15.10から、fcitx-mozcが標準で使えるようになったようです。Arch LinuxやMint Linuxもよくfcitxの話が出てきます。ymotongpooからのタレコミによると、「Google IMEもibusもうあかんわってことになってfctixのサポートに切り替えました」とのこと。FedoraはiBusなんですかね?

fcitxの話をぐぐっても、OSの設定の話ばかり出てきてアプリケーション側でどう使うか、という話は殆ど出てこないのですが、下記の超わかりやすいコードを見るとUNIXドメインソケットでアクセスできるようです。

APIドキュメントはこちら。R5/R6とあるのがやっかい?

編集中の文字列はPreeditと呼んでいる?

...と、fcitxについていいろいろ調べていたんですが、どうもLinux版のglfwはXIMでの日本語入力はすでにできる模様。

fcitxはアプリケーションとの接続のインタフェースはいくつか持っていて、GTK+とQtは専用のものを用意しています(リポジトリに入っている)。それ以外のX WindowのアプリとのインタフェースはXIM経由でつなぎます。

つうか、mattnだった。

松明を持って未開の地を歩いているつもりでも、我々の先にはmattnの足跡がすでに残っている(golang的寓話)

XIMに関してはここが詳しい

なお、アプリ側では何もしないという初期化のされ方をしている。↑のページで説明されている、ルートウィンドウ型である。Preeditも、変換ウインドウも、XIM側で面倒を見る、という方式。on-the-spotでやるには、この起動オプションだけを指定してあげれば良さそう。編集を頑張る(glfwWindowHintで指定?)時に、XIMPreeditNotingの代わりにXIMPreeditCallbacksを設定して、コールバック関数(新規追加)を設定すればおk.あとはStatus領域というか変換ウインドウの場所の設定さえわかればなんとかなりそう。ただ、検索しても「候補ウインドウの場所指定分からねえよ」というページばかりで設定の仕方が良くわからない。

...と思ったけど、やっぱり、WaylandやMir用のコードでは対応してないし、まるっとfcitx直アクセスが良いのでは?というコメントをもらいました(from moriyoshi)。とはいえ、いきなりフル機能は大変なので、まずは簡単でも対応させる方向で。

今のコードはルートウィンドウ型なので、コールバックを登録すれば編集中の情報は取得できる。やっかいなのは文字コードがマルチバイト単位で来たり、バイト単位で来たりいろいろある点。後はフィードバック(見た目の属性 - MacのAttributedと同じ)の解釈。このあたりを読めば大丈夫そう。

表示位置は、ここのコードを参考にすると変更できそう。

ブラウザ

沼です。

ブラウザごとの違いは新しい情報が知りたい。IME APIがみんなで使えたら楽になりそう。

フレームワーク側の対応

glfw側に最大公約数的なAPIを追加するにはどんなのがあればいいのか案

  • IME変換中のコールバック

  • 変換に使う周辺テキストをIMEに通知(TFSのコンテキストを読んだ変換対応)

  • 再変換処理をIMEに依頼

  • 変換候補ウインドウの表示位置の通知

  • IME起動とか終了

  • GTK+のAPIが参考になりそう。
    https://developer.gnome.org/gtk3/stable/GtkIMContext.html

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