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伸びるエンジニア、伸びないエンジニア

Last updated at Posted at 2020-09-30

はじめに

同じぐらいの年齢で、同じような環境でも、エンジニアとして1年も働いていると差が出てくる。

それは

プログラミングのセンスだとか、
論理的思考力だとか、
やる気の問題とか、

そういった言葉で片付けられてしまうケースもあるけれど、個人の性格・思考によることも多い。

今日は伸びる/伸びないの一因のひとつである、
『コーチャブル』
『謙虚さ』
『現状維持バイアス』

について解説してみる。

ティーチングとコーチング

コーチャブルについて語る前に、コーチングについて触れておく。

コーチングは、「ティーチングとコーチングの違い」という文脈で語られることが多い。
この違いを知るまでは混同しがちな言葉だが、大きな違いがある。

ティーチング(Teaching)とは、答え・ゴールを教える方法。
コーチング(Coaching)は、答えやゴールを考えさせる方法。

プログラミングをしていると、後輩から

「なぜかエラーで動かないんです」

と質問を受けることは多いのではないだろうか。
その際、あなたは以下の2つのうち、どちらの接し方をするだろうか?

  • 「これはたぶんこういう理由で動かないから、こうすれば直るよ」
  • 「まずはどういうエラーが起きている?」「そのエラーはどこが原因だと思う?」「それはどうやって調べたら分かりそうかな?」

前者がティーチング、後者がコーチングの接し方である。

ティーチングのみだと、教えられる側は教える側に依存してしまう。確かにすぐに答えは得られるし感謝もされるかもしれないが、別のケースには応用が効きづらい。

コーチングを受けることで、自らの頭で考え、解決までのプロセスを体感することで、応用の利く知識が身につく可能性が上がる。

とはいえ、右も左も分からない分野の質問に対しいきなりコーチングされても考える取っ掛かりが無く答えられない。
また、緊急事態の際に悠長にコーチングをやっている場合でないことも多い。
そのため、ティーチングが悪でコーチングが万能、というわけではない。時と場合によって使い分けが必要。

コーチャブルとは

コーチングは確かに効果的なマネジメント手法ではあるが、万能ではない。

イギリスのことわざで
You can lead a horse to water, but you cannot make him drink.(馬を水辺を連れていくことはできるが、水を飲ませることはできない)
というものがある。
要するに、その場に導くことはできても、最終的にそれを受け入れるか、実行するかは本人次第であるということ。

周りからの意見を素直に受け入れるか、自分にできると思えるか、その後行動するか…それら多くの性質をひっくるめて、コーチャブルという言葉がある。

コーチャブルとは、コーチングを受け入れられる姿勢やその人の性質のことを意味します。
例えば「正直さ」「謙虚さ」などがコーチャブルな人物の性質として挙げられます。

引用:コーチャブルな人材とは何か?チームを強くするために大切な資質

一流のスポーツ選手を育て上げたコーチは、果たしてどんな選手でも一流に育て上げるか?というとそうではなく、コーチャブルである選手を選んで育て上げるという話もある。

周囲からのアドバイスや成功例を見て、

「そのやり方は自分に合ってないから参考にならない」
「あの人だから上手くいったんでしょ」
「自分には無理」

と考えてしまう癖があると、コーチャブルな状態とは呼べない。

また、薫陶を受けて、その一瞬は
「確かに大切だな」
と思いつつも、一向に自分の行動に紐付けられない、行動しない場合も、コーチャブルとは呼べない。

この、コーチャブルか否かが、『伸びるか伸びないか』の根底にあることが非常に多い。

謙虚さ

コーチャブルが含有する要素の一つに『謙虚さ』がある。
自らの至らない点を自覚し、素直に受け止め、変化に前向きになること。

「自分は謙虚だ」と思っていても、果たしてそうだろうか。
以下メッセージに「うっ」と痛いところを突かれた感覚になる方も多いのでは。

一見謙虚だが謙虚ではない人間の特徴は、変わるつもりがない。なぜ変わるつもりがないかというと実は今のままの自分でいいとどこかで思っている。それは意欲がないか、過大評価をしているか、体裁の方を成長よりも優先している。口癖は、でも、だけど、が多い。

引用:為末大さんTwitter

現状維持バイアス

人間には現状維持バイアスが働く。

「そもそも変わろうと思えない」
「変わる必要性は分かるけど、勇気が出ない」
「変わるための知識や時間がない」(と思い込んでいる)

等があるが、そもそも人間も元は動物。
狩猟をやっていたような大昔は

  • いつもと違う森に入ったら未知の野生動物に襲われるかもしれない
  • 食べたことのないキノコを食べたら毒で死ぬかもしれない

と、自らのルーチンを崩すことの方がリスクが高く、現状維持をする方が生命を脅かさなかった時代の本能である。

そのため、意識的にせよ無意識的にせよ、変わることを恐れるのは自然なことである。

しかし、現在はVUCA(変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)と呼ばれる激動の時代である。
さらに、その中でも特に移り変わりの激しい、IT業界・エンジニアという職種を選んだのであれば、変化を恐れて現状維持をすることは、緩やかな死に向かっているということ。

目の前に命の危機が迫っていると回避しようとするが、この変化は本当に緩やかな死なので、現状維持バイアスが勝り、「自分には必要ない」「自分にはできない」という理由を、必死に作ってしまう。

新たな挑戦の機会が舞い込んでも、コーチャブルでないと「これは自分に合わない方法だ」と決めつけてしまう。
他に何も行動を起こさず「自分に合った勉強方法」を、半年・1年探し続けて、大きく成長できた人を私は見たことがない。
とりあえずあらゆることに手を出して、その中で見つけていく方が圧倒的に近道となるはず。

最後に

伸び悩みに関して、プログラミングのセンス等を言い訳にしがち。
確かにプログラミングに対する素質・適正というものは存在するというのが私の考えではあるものの、そのレイヤーの話をする以前の問題であることも多いのではないだろうか。

経験を重ねていくと、今までの経験が挑戦の邪魔をしたり、後輩から学ぶ謙虚な姿勢がどんどん失われやすい。
傲慢になっていないか?謙虚でコーチャブルな状態か?を、常に自問自答していきたい。

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