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コミュニケーションAdvent Calendar 2015

Day 12

目的志向型コミュニケーションについて

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#はじめに

この記事では、目的志向型コミュニケーションについて話します。目的志向型コミュニケーションは、私がいま勝手に作った言葉です。目的志向型コミュニケーションは、仕事をする上で目的のないコミュニケーションは存在しないという信念に根ざしており、会議・会話・メールなどを通じた対話において、話し手と聞き手は対話の目的を常に追求し続けるべきであるという考えです。

目的志向型コミュニケーションについて深く考えるようになったのは、大学院を出てからそれなりに大きな会社で働くことになり、忙しい人や、様々な事情(法律とか)で直接話ができない人とコミュニケーションを取ることが劇的に増えたからです。
こういった人たちに、伝えたいことを素早く正確に伝えるにはどうすれば良いかを、真剣に考えなければならなくなりました。

この記事での「コミュニケーション」という言葉は、雑談や飲み会のような目的を必要としないものではなくて、仕事上、ある目標を達成するために必要な対話を指すことにします。

#そのコミュニケーションの目的はなにか?

仕事における他人とのコミュニケーションには、例えば、立ち話、メール、会議など様々な形態があり、加えて何らかの目的があるはずです。
これらのすべてに共通して重要なのは、「いま、私(たち)は何を目的にコミュニケーションしているのか?」です。目的としてありうるのは、情報を周知したい、質問の回答が欲しい、決め事がある、などでしょう。
なぜ目的が重要かと言うと、目的を達成できなければ、コミュニケーションをしていた時間がまるまる無駄だったことになるからです。特に、忙しい人(偉い人)を相手にしようと思うと、数日に一度に15分とか立ち話で数分しか時間が取れないなかで、目的を達成することが求められるようになります。

#目的が明らかでないコミュニケーションの例

Aさんはサーバー管理者の1人で、利用者からの窓口担当になっているとします。

利用者「APIサーバーに障害が発生しているようなんですが?」
Aさん『では、サーバーのアドレスとリクエストIDを教えて下さい』
〜〜5分後〜〜
利用者「情報をメールしました。」
〜〜5分後〜〜
Aさん「XXが止まっていて、障害が発生しているようですね。」
利用者「それよりも早く復旧して欲しいのですが・・・?」

現実世界でも、利用者さんの最初の一言のような曖昧なクエリが飛んでくることはよくあります。これを読んでいるあなたは、Aさんのような行動を常に取ってしまうことはほとんどないと思います。でも、入社したばかりの時や、すごく疲れている時に上記のような回りくどいコミュニケーションを取ってしまった記憶はあるんじゃないでしょうか?

この例で良くないのは、利用者の目的が明らかでないまま、Aさんが反射的な返答をしている点にあります。

利用者「APIサーバーに障害が発生しているようなんですが?」

これは閉じた質問です。聞き手は「はい」または「いいえ」で答えれば良いと思い、Aさんは障害が起きているかどうか調べようとします。
しかし、最後に利用者の目的が違うところにあることがわかります。

利用者「それよりも早く復旧して欲しいのですが・・・?」

利用者のコミュニケーションの目的は、「障害が起きているか答えて欲しい」ではなくて、「障害を復旧して欲しかった」です。

#目的志向型コミュニケーションの実践

例のような、悪いコミュニケーションのパターンに陥らないようにするためには、2つの方法があると考えています。

  1. 利用者(話し手)がコミュニケーションの目的を正しく伝える
  2. Aさん(聞き手)がコミュニケーションの目的を具体化する

どちらを実践すべきかは、あなたがどちらの立場であるかで決まります。
あなたが話し手の立場であれば、1.を実践しましょう。例の話出しを次のように変えるだけで、目的が明確になります。

利用者「api3 サーバーに障害が発生しているようなので、調べて復旧して欲しいのですが?」

これで、聞き手への期待(コミュニケーションの目的)が明確になりました。ここまで言われたら聞き手は、復旧の可否を答えざるを得なくなります。

逆に、あなたが聞き手の立場であれば、2.を実践しましょう。

利用者「APIサーバーに障害が発生しているようなんですが?」
Aさん 「私は何をするべきですか?」

2.のような、聞き手の方から目的を明確化していくパターンは、1.と比べると非常に難しいです。
なぜならば、話し手の想定・期待から外れないようにしながら、質問に対して質問で返す必要があるからです。話し手の想定・期待を外してしまうと、話し手からすると、話の腰を折られた・無視されたと感じてしまいます。

話し手が腰が折られたように感じる聞き返しとしては、次のような返し方があるでしょう。

利用者「APIサーバーに障害が発生しているようなんですが?」
Aさん 「そんなことはないと思うので、クライアントのログを見てくれませんか?」

#おわりに

この記事では、自分なりに考えている目的志向型コミュニケーションという考え方について初めて文章にしてみました。

例を挙げて長々と書いてみましたが、結局のところ重要なのは、「聞き手への期待はなにであるか?」を常に考えつづけてコミュニケーションに臨むという一点です。

この文章を書くにあたっては、以下の本を参考にしています。と、言っても最後に読んだのは大学院生の時なのですが。

「理科系の作文技術」 http://www.amazon.co.jp/dp/4121006240

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