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LoRaと法律の関係について

Last updated at Posted at 2017-08-09

これまでのお話

  1. LoRaでIoTプラットフォーム(ThingSpeak)にデータを上げる方法
  2. LoRaWANでIoTプラットフォーム(The Things Network)にデータを上げる方法
  3. LoRaにGPSを付けて、会社の周りを歩いてみた(Google Earthで位置情報をプロットする)
  4. 複数のLoRaノードをゲートウェイにアクセスさせるときに気を付けること
  5. LoRa機器の受信強度(RSSI)の取得方法

イントロダクション

LoRaは無線の規格ですが、日本には無線に関わる法律があります。
電波法ですね。

また、電波を使った事業をするには、それに関わる法律もあります。
電気通信事業法です。

とても参考になる情報があったので、今回は電波法・電気通信事業法を意識した使い方を、忘れないうちにまとめておこうかと思います。

電波法について

LPWAで電波法に関連する単語として覚えておく必要のあるものは、特定小電力無線局簡易無線局です。

どちらも920MHz帯の電波を規定する種類ですが、大まかには次のような仕様になっています。(正確なところは参考の資料をご参考ください)

簡易無線局 特定小電力無線局(簡易無線局と重なる範囲) 特定小電力無線局
電波出力 250mW以下 20mW以下 20mW以下
周波数帯 920.5~923.5MHz 920.5~923.5MHz 923.5MHz~928.1MHz
キャリアセンス時間 5ms以上 ①5ms以上②128μs以上 128μs以上
最大送信時間 4秒 ①4秒②400ms(総和360s/h以下) 400ms(総和360s/h以下)
送信後の停止時間 50ms以上 ①50ms以上②2ms以上 2ms以上
無線局登録 必要 不要 不要
他者への貸出 不可 (記述なし) (記述なし)

※特定小電力無線は1mW以下の規定書いてありますが、端折っています。
参考:
総務省資料 920MHz帯を利用した無線システム
IoT黎明期のLPWA事業と法

どちらもLPWAでは使われる規格ではあると思いますが、特定小電力無線局の方がルールが少ないので使いやすいですね。

無線局登録:無線局登録状の取得で、5年毎の更新が必要です。(有料)
他者への貸出:2017/8現在、簡易無線局の利用は自営のみとなっているそうです。

Dragino社製LoRa製品での電波法に合わせた設定

弊社で取り扱っているDragino社製LoRa製品は、特定小電力無線に合わせて使うことができます。

基本的に、LoRaを操作するライブラリにRadioHeadのRH_RF95.hを使用することを想定して記載します。
http://www.airspayce.com/mikem/arduino/RadioHead/RadioHead-1.63.zip

電波出力

下記メソッドで出力の強さを設定します。

// Setup Power,dBm
rf95.setTxPower(13);

単位はdBmで指定するのですが、
13dBm = 19.95mW
となります。

チャネル周波数

チャネル1は920.6MHzです。
一つのチャネルは、中心周波数±100kHzを割り当てるため、周波数帯は920.5MHz~となっています。

// Setup ISM frequency
rf95.setFrequency(920.6);

チャネルは200kHz刻みで存在するので、使いたいチャネルを設定します。
(前出のPDFの資料が参考になります)

キャリアセンス時間

キャリアセンスを簡単に言うと、送信前に指定時間受信モードにすることを言います。
他の通信があるかどうかを確認する処理です。

下記は5msを指定しているところです。(μsは指定できない様です)

rf95.setCADTimeout((unsigned long)5);

最大送信時間

実機での計測ができればベストですが、理論上の送信にかかる時間が計算できます。
LoRa Calculator について記載のある資料

チャネル920.6MHzで、下記の設定としてLoRa Calculator にかけると、400ms以内に送信できるペイロード(実質送信データ)は、55バイトという結果が得られます。

  RH_RF95::ModemConfig config;
  config.reg_1d = 0b01110000 | 0b0100; // Bw125      | Cr4/6
  config.reg_1e = 0b10010000 | 0b0100; // Sf512(SF9) | CRCon
  config.reg_26 = 0b00000000; // default.
  rf95.setModemRegisters(&config);

あくまで理論値なので、計測器で実際の値を確認することをお勧めします。

※2017/12/27修正

60バイト→55バイトに修正しています。
60バイトの時はプリアンブルの指定をツールのデフォルト6シンボルを使ってしまっていました。
ライブラリのデフォルトは、8シンボルなので、その値で再計算したところ55バイトとなりました。

送信後の停止時間

送信直後にdelayをセットして対応します。
下記は50msの待機。

rf95.send(data, strlen((char*)data));//resend data
rf95.waitPacketSent();
delay(50);

電気通信事業法について

こちらで規定しているのは、無線を使った事業をする時に関わる法律なので、LoRaに対して何か設定するという必要はありません。

こちらのサイトに分かりやすく説明されていました。
IoT黎明期のLPWA事業と法
SORACOM Air for LoRaWAN は違法?

詳細は上記サイトにお譲りするとして、私の解釈では、現在のところ次のようなことを行うには届け出電気通信事業者、もしくは登録電気通信事業者とならなけれならないようです。

  1. 自分のLoRaネットワークを利用料を取って使ってもらう
  2. 基地局(ゲートウェイ)をサービスとして提供する(月額で使ってもらうという解釈をしています)
  3. LoRaネットワークを使ったサービスで利益を上げる
  4. 市町村を超えた範囲でゲートウェイを設置する

特に登録電気通信事業者となる場合、有資格者(電気通信主任技術者)を、サービスを提供する各都道府県に配置するという義務があるそうです。

最後に

LoRaを自分の趣味で使う分には何の気兼ねもなく使えるようですが、ビジネスとして成立させるには超えなければならないハードルがあるようです。

大きい企業がLoRaWANを掲げているのはこういう理由があるのだなと思いました。
特に、各都道府県での電気通信主任技術者の配置について。

黎明期のLPWAの世界は、まだまだ法整理が必要だと叫ばれているようなので、ルールの緩和/強化があるかもしれません。
今後の業界の動静が気になるところです。

株式会社オープンウェーブ

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