CEDEC2016の人工知能の未来へ -全脳アーキテクチャ、ディープラーニングを用いた人工生命、ゲームAI -を聴いて、講演の最後に説明のあったVRと人工知能の関係が興味深かったので色々調べてみました。
##VRの入力インターフェース
VRの入力方法の例として、以下の3点があげられます。
- 音声:聴覚
- ジェスチャー:触覚
- 視点:視覚
この3つの入力方法は、人間の聴覚、触覚、視覚といった五感に大きく関わる動作です。こういった知覚によって入力を行う分、より自然な形の入力を行うことができます。
こういった入力方法は、 ナチュラルユーザーインターフェース と呼ばれ、注目が高まっています。
###ナチュラルユーザーインターフェースとは?
NUI(Natural User Interface )
人間にとってより自然な・直感的な動作で操作可能な仕組みや方法のこと。
引用 BINARY
とりあえず、VRにおけるNUIは、「コントローラーほどの気軽さはなく、精度の向上に期待する」とのことでした。
もちろん、人間にとって「自然」で「直感的」とは、機械にとっては自然でも直感的でもありません。
人間の常識や簡単な知識をシステムに学習させる必要がでてきます。
例:何をしゃべっているのかを認識する、体の位置を認識する、何を見ているのかを認識する。
人工知能の研究自体、「絶賛研究中!」なので今は技術に合わせたゲームデザインにとどまっているようです。
精度もそうですが、入力する人がどんな人物(喋り方、年齢、服装)等を人工知能が見極めて入力フォームが口調を変えてくる、といった人間がより人間らしい対応から入力ができても面白いなーと感じました。(こういう所も含めてNUIなのかは謎)
##VRのキャラクター
従来のゲームより、VRに出てくるキャラクターの「そこにいる」感は圧倒的に高いです。
ゲームだとわかっていても、キャラクターに微笑まれると微笑んでしまうし、手を振られたら振り返したりする人もいるようです。
こういったキャラクターと人間との関わりを ヒューマンエージェントインタラクション と呼びます。
###ヒューマンエージェントインタラクションとは?
HAI(Human-Agent Interaction)
人間、擬似エージェント、ロボットが接する状況で起こる問題を解決する研究分野。
人間ーロボットだけでなく、人間ー人間の関係をロボットが介するとどうなるか、も含めた研究分野らしいです。(マツコロイド思い出した)
こっちはNUIの時と違って、「キャラクターがより人間に近いのが正解」とは限らないように思います。むしろ、相手がロボットだから、美少女キャラクターだから、人間だから、でユーザーの対応が変わってきそうですね。
より、コンテンツに合わせたキャラクター作りが必須に思えました。
##VRのコンテンツ
人の知覚、体感に大きく関わってくるVRだからこそ
コンテンツの感じ方も人によって極端に違います。
講演であげられた例:ホラーゲームの場合
体験者A「めっちゃ恐かった」
体験者B「ぜんぜん恐くなかった」
→ユーザーの心拍数を元に恐がらせるタイミングを制御して、人に合わせた恐怖体験を提供するといい
また面白いことに、実際に起きていないことですら体験してる感覚に陥る場合もあります。
サマーレッスンで話題になった「女の子と自分が至近距離になった時に、ホストは女の子の息づかいを感じ、普通の大学生は息づかいを感じなかった」ことがそれにあたります。
こういった現象を クロスモーダル現象 といいます。
###クロスモーダル現象とは?
仮想体験によって実際には怒っていない感覚を得る現象。
VRコンテンツをよりリアルにするには、コンテンツの対象となるユーザーが体験したことのあるものをどれだけ盛り込めるかも鍵となりそうです。
単純にVRの中でキャラクターと遊ぶだけでは、ユーザーによっては従来のゲームと変わらないものとなってしまいます。
例えば、コーヒーを持ったり(香り、熱を錯覚させる)、砂埃をまいたり(におい、不快感を錯覚させる)、よりユーザーの身近にある五感を刺激するものを少しずつ配置することで、リアルに近いコンテンツを提供できるのではないかと思いました。
ただ、記憶がなければリアルに感じないかというと全ての人がそういうわけではないようです。妄想力で補えるパターンもあるようなので、意外にVRは女性向けなのかもしれません。