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うまくいきそうにない技術

Last updated at Posted at 2016-11-15

###うまくいきそうにない技術
(例示は後知恵になっていることをお許しください)
ソフトウェア技術に限らず、周辺の技術を含めた考察になっています。
ハードウェアについて記載している内容でも、読み手の側で、ソフトウェア開発に当てはまる部分がないか、読み替えてください。

  • 原理的な部分に課題を山ほど抱えている技術

    • しかも、その課題について、改善のアイディアがない。
  • 「実用的か、将来性があるか(=将来性があると信じられるか)」よりも独自性を重視している技術

    • 技術開発において、独自性というのは結果だと思う。独自性を目的として技術開発をすることはない。
    • 「ファンタジーとしての技術」:こういうのができたらいいなという理想・コンセプトだけを提示しているだけで、裏づけになる技術的な要素が存在していない(もしくは少なすぎる)。
    • 組織内の政治的な理由により開発されている技術
  • 「パラメータが変われば手法も変わらざるをえない」ことを無視した技術開発

  • 不安定性を抱え込んだ技術

    • 克服できない不安定性を抱えつづけた技術は、たとえライバルの技術が成功しなくても、成功することはないのではなかろうか。
  • 既存技術のよさを取り込むことのできない技術。

  • 関連分野での技術の進展を取り入れることができない技術

    • アナログのハイビジョンはそのような技術にある時点でなってしまったのではなかろうか。
  • チップや部品の進歩を反映できない技術

    • 画像計測・画像認識技術では、CPUのクロック速度の高速化はもはや期待できない。それ以外のマルチコアの利用や、SIMD命令の利用や、GPGPUの利用、FPGAの利用などがある。それらのうち、何を選択すべきかは、重要な判断となる。
  • 保守性の悪い技術

    • 保守性の低下している技術は、改良をすることもできない。改良しえたとしても改良の開発速度は著しく低下してしている。
    • 従来は入手可能であった部品が入手できなくなれば、従来は保守性の良かった技術が保守性の悪い技術になってしまうことがある。
    • 早い段階で機械語を用いた最適化をすることは、保守性の悪い技術に突入することになる。ARM用の機械語を含むコードに最適化されてしまったアルゴリズムを理解し、GPGPUを使う実装に置き換えることは、極めて困難(=ほとんど不可能)である。
  • 「既存技術の改良の積み重ねがいかに大きいのか」を理解しない技術開発

    • 既存技術が世の中の役にたっていて利益をうみだしていて、その利益が新たな開発・改良を継続できる状況のすごさを知ろう。今の時点で、GaAs/AlGaAsや超伝導を使って今のSi以上のCPUを作れると考えますか。
  • 要因の切り分けができない技術

    • 行き詰まったときに、要因の切り分けができない技術は、要因ごとに別々に原因の解析や対策を施すことができなくなる。
    • 分業によって開発速度を加速することができない。

あなたの関わっていく技術が、うまくいく技術でありますように。

追記:

  • 改良を加えるだけのフィードバックループを回すための周期がとても長すぎる技術分野

    • 核融合、高速増殖炉、火星有人探査
  • 技術者の個人的な損得を考えたときに割りの合わない技術分野

    • 使用済み核燃料の技術
    • うまくいっても「あたりまえ」、何かあるとペナルティとみなされている技術分野
      • 割があわないので、技術者がよりつかなくなります。セキュリティの分野はこういった扱いを受けやすいようです。
  • あまりにも多くの人がそれぞれの目論見で一貫性なく構築してしまう技術開発

    • 矛盾する要因を内部に抱え込んでしまうので、破綻を引き起こしてしまう。
  • 原理的に100%がありえない技術分野で、100%に限りなく近い精度でだけうまくいく前提での設計を持ち込んでしまった技術。

    • それを避けるため:車載用の人検出技術では、それぞれの方式によって限界はある。誤検出での緊急ブレーキと、わずかばかりの未検出とのトレードオフとがある。その限界を問題としなくて済むような製品設計にしているようだ。
  • 必要な条件が多すぎる技術(2018年7月追記)

    • 例:以下の順序で制御方法は簡単なものから難しいものになってしまいます。
      • 符号の±だけで判定して良い方式
      • 値の単調増加を仮定して判定すればよい方式
      • 値が1次式で表されることを仮定して判定する方式
      • 値が比例であること(=1次式の切片が0)であることを仮定して判定する方式
      • 値が比例であって、しかもその係数が一定していることを仮定して判定する方式
      • 値が比例であって、しかもその精度が広い領域にわたって確保されることを仮定して判定する方式

   ですから、必要な前提の少ないやりかたで、間違った答を返すことのない方式を選ぶことです。

付記(2022.06)

  • その技術によって利益を得る人が、その技術の開発者だけであるような技術
    技術は、それを用いることで社会にとって得があるようなものでなければ技術とは呼べない。
     技術を創り出して売り出しているときに、それを利用する側になんらかの利益がなければ、使う理由がない。
     例:プラズマディスプレイの方式が事実上1社だけになってしまった時点で、その技術に関わることで利益を得る関係者はなくなってしまった。ある技術方式を開発するとき、さまざまなビジネスパートナーがあって技術が成立している。部品の技術・加工技術・素材の技術、そういったものに関わってくださるパートナーの利益があって方式 の開発ができる。液晶ディスプレイ用の開発に社の資源を投入するか、プラズマディスプレイの開発に社の資源を投入するかとい状況になったときに、よほどの理由がなければ、多数の会社が開発している方式に専念するのは当然にことだろう。
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