この記事は Geek Women Advent Calendar 2016 の20日目の記事です。
はじめに
11月3日に行われたGeek Woman Japan 2016に参加した際にAdvent Calenderをするからエントリーよろしく!と主催メンバーから告知があって、その日に軽〜い気持ちでAdvent Calenderにエントリーしてみたものの、さて何を書こう?と思い、ネタ探しをしていたのですが・・・
ガチンコ技術的なネタを書くのもいいけど、せっかく「女性」というくくりのAdvent Calenderなので女子っぽいことを書きたいよね・・と思いまして。
ということで、自分がインフラエンジニアであることと、女性であるという観点からクラウドを利用するにあたってのうれしいポイントを「クラウドに恋した理由」として書くことにしました。
※途中「女子」という言葉を乱発するかもですが、あくまでも「男子トイレ」、「女子トイレ」といったラベリング程度の意味合いです。
本来の「女子」という言葉に「若い女の子」という意味合いなんてなかったんだYO!と吠えてみるテスト。
バックグラウンド的な
私のエンジニア歴としては大学卒業以降10数年間に渡り、主にインフラエンジニアとして「お客様企業のシステムを作る」立場、「自社のシステムを作る・運用する」立場の両方を経験しており、現在は事業会社の情シス部門でインフラ担当をしています。
2014年にクラウドを自社で利用するインフラ環境として利用することになり、それまではオンプレ一辺倒だった自分がクラウドを利用して、今ではオンプレで構築するなんて信じらんない!というほどになっています。
そうまでなった、いわばクラウドに恋をした理由を述べていきたいと思います。
ただし、あえて「女子目線」で書くため、クラウド導入のメリットとしてよく言われる「スピード」、「コスト」、「キャパシティ」、「アジリティ」といった部分には触れません。
ちなみに自社ではAWSを利用していますが、AzureやGCP、Bluemixなどのクラウドサービスにも当てはまると思います。
インフラ女子がクラウドに恋した7つの理由
その1 重くない!
サーバって重いですよね。
Juniper SRX200シリーズとかCatalyst 2000〜3000シリーズぐらいの1U(=44.45mm)タイプのNW機器ぐらいなら普通に持てるしラッキングも普通にできるけど、サーバとなると1Uサーバでも私には十分重いです・・・。
まだ頑張って下から20Uぐらいの高さまでならなんとかひとりでも・・・とはなるけどそれ以上の高さになると「あたしゃ重量上げの選手か!!」と思うぐらいに腕がプルプル・・・というかそんなんでラックレールにサーバをはめられません・・・。。
ちなみに1UサイズであってもUPSはマジで無理。1センチも持ち上げられない。。
そうなると誰か他の男性に手伝ってもらったり、ラッキングサービスを追加発注したり・・・自分が力持ちだったらそんなことしなくても済むのにね。
これがクラウドならボタンポチポチ(Infrastructure as a Codeという手もあります)でサーバが作れる!
その2 サーバを組み立てなくていい!
ここ3年ぐらいは物理サーバを購入していないので最近はどうなっているのかはわかりませんが、少なくとも当時はサーバを購入する際に完成品ではなく、CPUやらマザーボードやらのパーツが個別に届いて、サーバを自分で組み立てて・・・という作業がありました。(主に費用の節約目的)
国産メーカーだと完成品を送ってくるのですが、外資系メーカーでカスタマイズ構成で注文をした場合は、完成品を送ってもらうこともできるのですが、自分で組み立てるパターンの方が安いのでそうしていたことがありました。
その当時でもドライバー要らずでパチンパチンと留め具を留めて・・・と結構簡単に組み立てられます。
でもね、ある日やってしまったんです。。。
パーツを一通り組んだ後、フタをしてラッキングする前に動作確認として簡易的にモニタとキーボードを繋いで電源をいれるのですが、電源を入れた瞬間に・・・・火花バチバチ煙ぶしゅうううううううううう。。。。。
メモリとメモリスロットが・・・・・orz
言い訳をさせていただきますと、静電気は逃していたし、挿す向きも合っていました。
えぇ、ちゃんと合っていました。。。合ってたんだよぉぉぉぉぉ。。。。。
でもね、、、ちゃんとカチッというまで挿していたつもりなのに半挿しだったんですね。。。。
自分の挿し込みが甘くてパーツを無駄にしてしまったことと、さらにいえばボヤ騒ぎまで起こしてしまって、それ以来はPCの組み立てであってもメモリは私にとって鬼門です。。。
そしてその後、サーバの組み立ては私の仕事ではなくなりました。。(外されたとも言う)
これがクラウドならボタンポチポチ(Infrastructure as a Codeという手もあります)でサーバが作れる!
大事なことなので2回目。
その3 立ちっぱなし作業不要!
ようやく、サーバのラッキングが終わったとしましょう。
そこからOSのインストールや各種ミドルウェアのインストールや設定作業が始まるわけです。
データセンターによっては椅子や机が用意されているところもあるかもしれませんが、だいたいラックに搭載しているKVMモニタって人が立って作業をするのにちょうどいいぐらいの高さに設置されますよね。
だいたい下から22Uあたり(高さ1メートルぐらい)の位置?
そして、インストール作業って結構「待ち」の時間があるんですよね。
サーバ1台2台ぐらいであれば待ち時間中は休憩したりもするのですが、これが10台以上を五月雨方式でインストールとなるとずっと立ちっぱなし。。
データセンター内ではスリッパに履き替えるところが多いとはいえ、現場によってはオフィス内にサーバルームを設置しているところでは土足で入ることもあります。
「お客様の現場に赴く」立場としてそういう作業をする場合はやはりスーツで行くので、ヒールの靴(低いものを選んではいるけれど)で行くわけでして・・・(オフィス内にサーバルームが・・という現場って業種によっては結構あるんですよ)
物理環境でのインストール・セットアップ作業って最低でも半日以上、台数によっては3日間ぐらいかかったりとかもあるので、ふくらはぎがパンパンになるし、つま先も痛いんですよね。
これがクラウドならボタンポチポチ(Infrastructure as a Codeという手もあります)でサーバが作れる!
大事なことなので3回目。
その4 寒くない!
データセンターネタが続くのですが・・・寒いんですよね。
冷えは女子の大敵!!
各種機器がちょうどいいぐらいの温度に合わせるので人間が快適かどうかなんてまったく気にしていません。
最近のデータセンターでは冷房よりもエアフローを重視して、室温自体はそこまで低くないところが増えてきていますが、私が新米だった頃はまだまだ冷房ガンガンなところは多かったです。
ひどいところ(いや、サーバにとっては超快適なんだけど)エアコンをサーバルームに2基設置して、風は最強かつ温度は16度(多分MIN温度)に設定しているサーバルームがあり、冬場はまだ外気温の方が低いので良いのですが、夏場だと外気温との差が激しすぎて体が変な感じになることもありました。
仕事によっては1ヶ月サーバルームでなんだかんだ作業をする・・・なんてこともあり、女子特有のインシデント発生期間とかは冷えると余計に痛くなるので、痛み止めが効かないレベルの腹痛との戦いとかもあったりするわけです。
これがクラウドならボタンポチポチ(Infrastructure as a Codeという手もあります)でサーバが作れる!
大事なことなので4回目。まだまだいくよっ。
その5 乾燥しない!
最近のデータセンターではエアフローが・・と理由その4で書きましたが、そうなると寒さは耐えられるものの、風がビュービューなんですよね。
位置によってはずっと風が当たって、風が当たり続けることによって体温が奪われていくのもそうですが、顔が乾燥しまくる。。。
冬とかの、ただでも乾燥している時期にそういうところでずっといるとカピカピになっちゃうんですよね。
特に指紋認証をしてマシンルームに入るようなデータセンターだと、手が乾燥していると指紋認証が通らないこともあって、どうしても指紋認証が通らずマシンルーム内に閉じ込められたりとかもあります。
そしてそういう時期はだいたい唇がガッサガサ。。。
これがクラウドならボタンポチポチ(Infrastructure as a Codeという手もあります)でサーバが作れる!
飽きてきたかもしれないけれど、最後まで言い続けますよっ。
その6 スカートを履ける!
実は社会人になってから、今の会社でクラウド担当するまでスカートをあまり履かない人生でした。
データセンター作業で高い所で何かをする際に脚立や椅子に登ったり、それすらもない場合は機器に干渉しない範囲でラック内の足場になりそうなところに足を引っ掛けて、それこそボルダリングみたいな状態で登ったり・・・そして登るだけでなく、潜ったりもあります。
そうなると、スカートだといろいろなところが気になっちゃうので、だったらパンツで・・・となるのです。
長らく、パンツで過ごしていたので私服でもスカートを購入することもなく・・で、きたのですが、あるときハタと気がつくのです。
「女子っぽい格好をしたい」・・・orz
これがクラウドならボタンポチポチ(Infrastructure as a Codeという手もあります)でサーバが作れる!
ラックに登ったりもしなくていい!!
おかげさまで、冬は寒いのでパンツが多いですが、暖かい時期は好きな服を(会社の服装規定範囲内で)着られるようになりました。
その7 ネイルもできる!
たまにね、LANケーブルを作ってたんです。
はい、意味わかんないという人も多いかもしれませんが、10センチのLANケーブルがほしいけどそんな長さのLANケーブルなんて売ってない→じゃあ作るか、ということがあるのです。
たまーに、諸々の理由でそういうことがあります。
最近はカテゴリ7とか出てきているようですね。
ちなみにカテゴリ6になるととたんに作るのが難しくなります。
LANケーブルの外皮を剥がすと、中に色々な色の細いケーブルがあるのですが、差込口のところで並べる順番とかがあるわけです。
1個でも順番を間違えると、LANケーブルとして意味をなさなくなるのです。
そして、その際に爪が長いといろいろやりづらいんですよね。
ネイルって、最近はショート丈のネイルでも可愛いデザインのものが多くありますが、やっぱりちょっと長めの爪のほうがネイルとしては映えると思うんです。
そして、いろいろと手作業をする上で爪が長いと作業しにくかったり、時には怪我しそうになったりとかもあります。
これがクラウドならボタンポチポチ(Infrastructure as a Codeという手もあります)でサーバが作れる!
物理じゃなくなるだけで気にしなくても良いことが増える!
まとめ
上記で挙げたクラウドに恋した理由ですが「オレだってデータセンター作業ツライぞ!」という男性の声もあがるかもしれません。
でも、一般的な男性並みに力持ちな女性というのもそうそういないと思うんですよね。
なので、これらを全部総合すると、インフラ女子がインフラ男子と対等に仕事を遂行できる、ということにもつながると思うのです。
普段は仕事における男女差について意識することはあまりないのですが、特に理由1と2で挙げたようなことは「自分にはできない」、「努力では埋められない男女の身体的な違い」という点でインフラエンジニアとして劣っているような気持ちになったこともあります。
オンプレの現場の女性インフラエンジニアの方でサーバの持ち上げ方のコツをみつけたり、機器選定を工夫している事例もありますが、クラウドの場合はそもそもそんなことすらも気にしなくて良い、という利点があります。
ダイバーシティというと、女性が子供を産んでも復帰しやすい職場づくりや男性の育児休暇取得などの福利厚生的な面に目が行きがちですが、クラウドを利用することによって「会社に所属すること」だけではなく「仕事を遂行する」という面での男女の性差を気にしなくても良くなる、ということにもつながるのではと思うのです。
さらにいうと絶対数の少ない女性エンジニアのなかでも更に少ない女性インフラエンジニアの数が増えるきっかけになるのでは、女性視点で「インフラエンジニア」という職種に対して、重いものを持つ、とかデータセンター作業って辛そう、とかそういうイメージがあるから、インフラをやりたがる女子があまりいないのかな、なんてことを思うこともあるため、性差を気にせずに仕事をすることができるようになれば、インフラやりたい!という女子も増えるのかなー、、なんていうと大げさかな?と思いつつもそんな世の中になると良いなと思います。
さいごに
IT系の勉強会への参加歴はもうすぐ3年程度になりますが、ここ1年ほどでは女性エンジニア向けの勉強会が増えてきて活発になっていると思います。
女性のITエンジニアは少ないと言われている中で、こうやって女性が気軽に参加できる勉強会が増えてきていることは喜ばしいことだと思います。
男性からすると「なんでわざわざ女子専用の勉強会なんてやるんだ、逆差別ではないのか」、「女子ばっかりで固まって何が楽しいの?」と思うかもしれません。
私自身の経験でもあるのですが、はじめてAWSの勉強会に参加した際に、参加者がほぼ男性で女性は自分を含めて3名ぐらい、という状況で、さらにいうとAWSに対してもEC2が仮想サーバである、ぐらいの知識しかなかったため、発表している内容もちんぷんかんぷんだし、男性ばっかりだしでビビってしまって懇親会にも出ずに逃げ帰ってしまった、という過去があります。
男性の方たちにもわかりやすく説明してみるとすれば、男性が原宿とかにある流行りのスイーツを出すカフェに入るような感じとでもいいましょうか。
彼女や女友達と一緒であれば普通に入れるけど、ひとりで入ると結構居心地が良くないのでは?なんて思います。
だから、あらかじめ「女性向けですよ」という勉強会を開催して、少しでも参加する女性が増えて、技術習得だけではなく横のつながりが広がっていけば良いなと思います。
自分自身は男女関係ない勉強会の運営をしていて、でもやはり男性の比率が高いので、もっと女性の参加者も増えてほしいなと思いつつも、女子向けの勉強会に出てみて、少しでも勉強会参加への心理的ハードルを下げられて、男女関係なく開催している勉強会にも気軽に参加してもらえたらいいな、と思います。
さいごに、これを読んで「私もクラウド使いたい!」と思ったそこの女子!提案するときには上記の理由よりも「スピード」とか「コスト」とかの理由を提案書に盛り込むほうが良いと思いますw