6
6

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

More than 5 years have passed since last update.

EC-CUBE で使っている .travis.yml を解説するよ

Posted at

Docker + Travis CI で Codeception CI をしよう に引き続きの Travis CI ネタです。

EC-CUBE3 では、 Travis CI を使用して、ユニットテストを自動化しています。
どんなことをするかは .travis.yml に書かれていますが、コメントも乏しいので解説してみます。

各セクションの解説

git

git:
  submodules: false

現在は、 git submodule を使用していないのですが、 submodule を取得しないよう、念のために false としています。

language

language: php

PHP のテストをしたいので php を指定しています。

cache

cache:
  directories:
    - vendor
    - $HOME/.composer/cache

テストの準備を高速化するため、主に Composer 関連のファイルをキャッシュしています。

php

php:
  - 5.3
  - 5.4
  - 5.5
  - 5.6
  - 7.0
  - 7.1

PHP5.3.29 〜 7.1.x でテストを実行する設定です。
EC-CUBE3系 の最低動作環境は PHP5.3.9 ですが、 Travis CI ではサポートされないバージョンとなってしまいました。

matrix

Build matrix セクションは、PHP のバージョンや環境変数を掛け合わせてテストする設定です。
順番に解説します。

fast_finish

fast_finish: true

いずれかのテストに失敗したら、すぐにテストのジョブを失敗とマークする設定です。

include

  include:
    - php: 7.0.12 # for coverrage
      env: DB=pgsql USER=postgres DBNAME=myapp_test DBPASS=password DBUSER=postgres PHP_SAPI=phpdbg
      sudo: required
      dist: trusty

個別にテストに含める設定を記述します。

ユニットテストの実行後、 Coveralls を使用して、テストカバレッジを計測するための設定です。

phpdbg を使用してカバレッジレポートを出力 するのですが、 Travis CI では Ubuntu Trusty のイメージ を使用する必要があります。 (Precise のイメージは Segmentation fault になってしまいます...

また、ここでは php: 7.0.8 以降を指定する必要があります。PHP7.0.7 のバグのため カバレッジ出力時にエラーとなってしまうため、個別にマイナーバージョンまで指定しています。

exclude


  exclude:
    - php: 5.3
      env: DB=pgsql USER=postgres DBNAME=myapp_test DBPASS=password DBUSER=postgres PHP_SAPI=phpdbg
    - php: 5.4
      env: DB=pgsql USER=postgres DBNAME=myapp_test DBPASS=password DBUSER=postgres PHP_SAPI=phpdbg
    - php: 5.5
      env: DB=pgsql USER=postgres DBNAME=myapp_test DBPASS=password DBUSER=postgres PHP_SAPI=phpdbg
    - php: 5.6
      env: DB=pgsql USER=postgres DBNAME=myapp_test DBPASS=password DBUSER=postgres PHP_SAPI=phpdbg
    - php: 7.0
      env: DB=pgsql USER=postgres DBNAME=myapp_test DBPASS=password DBUSER=postgres PHP_SAPI=phpdbg
    - php: 7.1
      env: DB=pgsql USER=postgres DBNAME=myapp_test DBPASS=password DBUSER=postgres PHP_SAPI=phpdbg

ちょっと長いですが、 include で指定した phpdbg のテストを、各バージョンの PHP で実行しないようにする設定です。

allow_failures

 allow_failures:
    - env: DB=sqlite
    - php: 7.1
    - php: 7.0.12
      env: DB=pgsql USER=postgres DBNAME=myapp_test DBPASS=password DBUSER=postgres PHP_SAPI=phpdbg

ここに記述したテストが失敗しても、ジョブ全体としては失敗と記録しません。
主に、開発用途や、実験的な環境を記述します。
SQLite3, PHP7.1, 前述のカバレッジ出力用のテストを設定しています。

env

env:
  - DB=mysql USER=root DBNAME=myapp_test DBPASS=' ' DBUSER=root
  - DB=pgsql USER=postgres DBNAME=myapp_test DBPASS=password DBUSER=postgres
  - DB=pgsql USER=postgres DBNAME=myapp_test DBPASS=password DBUSER=postgres PHP_SAPI=phpdbg
  - DB=sqlite

.travis.yml で使用する環境変数のバリエーションを記述します。
主にデータベースの接続設定です。

install

install:
  - gem install mime-types -v 2.99.1
  - gem install mailcatcher

テストに使用するミドルウェア等をインストールする設定です。
メールの送受信をテストするための mailcatcher をインストールする設定を記述しています。
gem install mime-types -v 2.99.1 は、 gem の依存関係で mailcatcher のインストールに失敗しないようにする対策です。

before_script

before_script:
  - CODENAME=$(lsb_release -c -s)
  - if [[ $PHP_SAPI != 'phpdbg' ]] || [[ $CODENAME = 'trusty' ]]; then phpenv config-rm xdebug.ini ; fi
  - if [[ $PHP_SAPI = 'phpdbg' ]]; then echo "memory_limit=-1" >> ~/.phpenv/versions/$(phpenv version-name)/etc/conf.d/travis.ini ; fi
  - composer self-update || true
  - composer install --dev --no-interaction -o
  - php ./eccube_install.php $DB none
  - mailcatcher

テスト実行前に、実行するスクリプトです。順番に解説します。

- CODENAME=$(lsb_release -c -s)

trusty の環境か、 precise の環境かを取得します。

- if [[ $PHP_SAPI != 'phpdbg' ]] || [[ $CODENAME = 'trusty' ]]; then phpenv config-rm xdebug.ini ; fi

xdebug を無効化して、テストを高速化します。
おそらく if 文の条件は不要ですが、歴史的な理由で残っています...

  - if [[ $PHP_SAPI = 'phpdbg' ]]; then echo "memory_limit=-1" >> ~/.phpenv/versions/$(phpenv version-name)/etc/conf.d/travis.ini ; fi

phpdbg は、とてもたくさんのメモリを使用するため、 memory_limit=-1 としています。

- composer self-update || true

念のため、 composer を最新化します。

- composer install --dev --no-interaction -o
- php ./eccube_install.php $DB none

composer install の実行後、 EC-CUBE をインストールします。

- mailcatcher

最後に mailcatcher を起動して、準備完了です!

script

script:
  - if [[ $PHP_SAPI = 'phpdbg' ]] && [[ $CODENAME = 'trusty' ]]; then phpdbg -qrr ./vendor/bin/phpunit --coverage-clover=coverage.clover ; fi
  - if [[ $PHP_SAPI != 'phpdbg' ]]; then phpunit ; fi

ユニットテストを実行するスクリプトです。
1行目は、 trusty の環境でのみ実行します。 phpdbg でカバレッジレポートを出力します。
2行目は、 phpdbg 以外の環境で PHPUnit を実行します。
テストの高速化のため、 vendor/bin/phpunit を使用せず、 Travis CI にインストールされた phpunit を実行します。

after_script

after_script:
  - if [[ $PHP_SAPI = 'phpdbg' ]]; then wget https://scrutinizer-ci.com/ocular.phar ; fi
  - if [[ $PHP_SAPI = 'phpdbg' ]]; then php ocular.phar code-coverage:upload --format=php-clover coverage.clover ; fi

テスト実行後、メトリクス計測のため Scrutinizer へレポートを送信します

after_success

after_success:
  - if [[ $PHP_SAPI = 'phpdbg' ]]; then php vendor/bin/coveralls -v -x coverage.clover ; fi

テストに成功した場合のみ、実行します。
phpdbg の環境のみ、 coveralls へカバレッジレポートを送信します。

after_failure

この行 のコメントをはずすと、テストが失敗した時に大量のログを表示してくれます。デバッグ用途には便利ですが、大量すぎて、ブラウザが固まってしまうこともあります。ご利用は計画的に...

まとめ

EC-CUBE3 のリリース当初は、比較的シンプルだった .travis.yml も、徐々に肥大化し、やってることも黒魔術化してきてしまいました。
Travis CI は、大変多機能で、工夫し甲斐があるのですが、頑張りすぎると、引き継ぎなどで苦労しそうです...
今回のアドベントカレンダーは、解説記事をまとめるのに良い機会でしたが、引き継ぎに困らないドキュメントを目指して、日々精進していきたいものです。

6
6
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
6
6

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?