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DWH要件定義整理
DWH(データウェアハウス)は、企業のデータ活用における“中枢神経”です。しかし、多くのプロジェクトでは「ETL と集計をする場所」という表面的な理解に留まり、十分な要件定義が行われないまま構築が進んでしまいます。
本記事では、DWH要件を
役割 → モデリング/ETL → 非機能
という3つの軸で体系的に整理します。
1. DWHの役割と言語化 ― まず“目的”を正しく定義する
DWH要件定義の出発点は「DWHを何のために使うか」を言語化することです。
典型的なDWHの役割:
- 企業横断の公式データ(SSOT)を構築
- 部署ごとの数字のズレをなくす
- 過去データの履歴管理(SCD)
- 横断分析、KPIダッシュボード
- マスター統合
- ログやアプリデータとの接続点
- データ形式の標準化
DWHの役割が曖昧なまま進めると、
- モデルが部門最適に陥る
- 粒度が揃わない
- 横断分析が不可能
- 更新ロジックが複雑化
といった問題が発生します。
“DWHで何を実現するか”を先に定義することで、設計全体の軸が固まります。
2. モデリング/ETL ― “正確性・再現性・整合性”を担保する
DWHの価値はモデリングとETLで決まります。
◆ モデリング要件
- 粒度(レコード単位/イベント単位)
- ファクト/ディメンションの分類
- カーディナリティ(多対多/1対多)の整理
- 正規化/非正規化の判断
- SCD Type2(履歴保持)の方針
- マスターデータの扱い方
- ゴールド層モデルの定義
モデリングは分析やAIの基盤となるため、曖昧にすると後工程で必ず破綻します。
◆ ETL/ELT要件
- 更新元の特定(CRUD・SSOT)
- CDC(差分検知)の有無
- データクレンジングの基準
- ロジックの再現性
- 依存関係
- エラー処理・再実行
- リカバリ方式
DWHにおけるETLは、“公式データを破壊しないための生命線”。
ここを丁寧に定義するほど、長期安定性が高まります。
3. 非機能(性能・コスト・ガバナンス)― DWHの持続性を決める
データ量と利用者が増える DWH では、非機能要件こそが成功の決定打です。
◆ 性能
- クエリ速度
- 同時実行数
- キャッシュ戦略
- ストレージ/コンピュートのスケール方法
◆ コスト
- 従量課金の上限
- ワークロード分離(BI/ETL の分離)
- アクセス頻度に応じたストレージ階層
- スケジューリング最適化
◆ ガバナンス
- 権限モデルの設計
- データ分類(機密・一般)
- カタログ管理(メタデータ)
- 監査ログ
- スキーマ変更ルール
- データ品質(DQM)
- 監視・アラート
これらを設計しないまま運用に突入すると、
“コスト爆発・性能劣化・運用不能”
の三重苦が発生します。
DWHが長く使われるためには、非機能を要件段階で固めることが必須です。
まとめ
- DWHの役割定義:何のために存在するのかを明確にする
- モデリング/ETL要件:正確性と再現性を担保する設計中核
- 非機能要件:性能・コスト・ガバナンスで“持続可能な基盤”を作る
この3つを押さえれば、DWHは単なる集計基盤ではなく、
“企業価値を押し上げる中枢基盤”へ進化します。
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