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Thor をタスクランナーとして使うために調べたこと

Last updated at Posted at 2016-09-19

はじめに

thor は Ruby で CLI ツールを作るときによく使われる gem で、サブコマンドに対応しているなど、機能が充実しています。

Thor as a Task Runner

最近、thor をタスクランナーとして Rake の代わりに使うこともできる、と知りました。

この記事では、Rake に対するメリットや、thor をタスクランナーとして使うための機能について、調べたことや試したことを載せています。

使い方

下の記事に割とよくまとまっています。

Thorfile

Rakefile に相当するものです。

中身としては、Thor を継承した CLI クラスを記述します。
単純なものだと下のような感じ:

Thorfile
class Foo < Thor
  desc 'foo', 'Say foo'
  def foo
    say 'foo'
  end
end

実行例は以下です。

% thor -T
foo
---
thor foo:foo  # Say foo

% thor foo:foo
foo

#sayThor::Shell::Basic で定義されています。
上の例なら puts でいいのですが、#say だと色を付けたりもできます。
Thor::Shell::Basic の他の機能については、後半でもう少し紹介します。

上のファイルは foo.thor として、カレントディレクトリや lib/tasks/ 以下に置いても動作します。

参考記事

本家の Wiki にいくつか関係する記事があります:

Rake に対する利点

まとめると以下になりそうです:

  • 引数の取り扱いが楽になる。コマンド引数もオプション形式もふつうに使える。
  • 構造化しやすい。ネームスペースを class や module 単位で分割できる。
  • テストコードが書きやすい。

上の記事にもありましたが、Rake のペインポイントとして「タスクに引数を渡したいときにつらい」というのがあるようで、thor ではシンプルに関数引数や、オプションの形で扱えます。

あと、thor であればテストコードが書きやすいとか、構造化しやすいという意見があります。

Rake だと全てのコードがグローバルスコープに置かれるから、名前の競合がつらい、という話も聞いたことがあります。
経験が浅いので、実際どのくらいまずいのか肌感覚ではわかりませんが、タスク用の関数をあちこちに書くようになったら危険なのかな、などと想像しています。
求む知見。

便利な機能

Thor::Actions

コマンド実行やファイル・ディレクトリ操作を提供してくれます。
Thor を継承した class で include して利用します。

よく使いそうだな、と思ったメソッドは #inside#run です。

  • #inside は指定したディレクトリ配下で、ブロックで渡した Ruby コードを実行してくれます。
  • #run はシェルコマンドを実行します。:capture オプションの有無によって、バッククォートまたは system メソッドでコマンドを実行します。

以下に、サンプルコードを示します。

Thorfile
class App < Thor
  include Thor::Actions
  class_option :verbose, aliases: 'v', type: :boolean, default: false

  desc 'work', 'Sample command in workdir'
  def work
    inside 'workdir', verbose: options[:verbose] do
      pwd = run 'pwd', capture: true # `pwd`
      say "PWD: #{pwd}"
      ret = run 'false' # system('false')
      say "RESULT: #{ret}"
    end
  end
end

実行すると、下のようになります。

% thor app:work -v
      inside  workdir
         run    pwd from "./workdir"
  PWD: /home/quiche/my/repos/tutorials/thor/action/workdir
         run    false from "./workdir"
  RESULT: false

その他の使い方については、Thor::Actions の RubyDoc を確認ください。

参考:

Thor::Shell::Basic

端末に対する入出力や、対話操作用の便利な機能を提供してくれます。
便利そうだな、と思ったのは #ask, #yes?, #no?, #say あたり。
#say については上の方でも触れました。

  • #ask は端末にテキストを表示して、ユーザからの入力を受け取ります。
  • #yes?, #no?#ask を wrap して、それぞれ入力が y|yes, n|no なら true, でなければ false となるものです。

サンプルコードを以下に示します:

Thorfile
class App < Thor
  desc 'dialog', 'Sample dialog'
  def dialog name='...'
    say "Hello, #{name}", :bold
    if yes? 'Do you know how useful thor is?', :bold
      say 'Wondeful!', [:magenta, :bold]
    else
      say %(It's a shame.), [:blue, :bold]
    end

    say ''
    answer = ask 'Then, tell me the name of who you fell in love with for the first time:', :bold
    if answer.length.nonzero?
      say "#{answer} ... OK. I remember.", [:magenta, :bold]
    else
      say %(OK. I'll ask you again later), [:blue, :bold]
    end

    say ''
    say 'Bye!', :bold
  end
end

実行すると下のようになります。

% thor app:dialog MyName
Hello, MyName
Do you know how useful thor is? y
Wondeful!

Then, tell me the name of who you fell in love with for the first time: Oh, yes!
Oh, yes! ... OK. I remember.

Bye!

% thor app:dialog
Hello, ...
Do you know how useful thor is? NOOOOO
It's a shame.

Then, tell me the name of who you fell in love with for the first time: 
OK. I'll ask you again later

Bye!

(※本当は色が付いたりします。)

その他詳細については、RubyDoc を参照して下さい。

結びに

試しながら使っているところですが、タスクに柔軟に引数を渡したい場合には使いやすそうです。
成熟度としては Rake や Capistrano ほどではないかもしれませんが、それなりに便利な機能も揃っていると思います。

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