分数の割り算って計算はみんなできるけど「意味はよくわかんない」、という人が意外といるんじゃないかと思っています(そうでない方はすみません・・・)この「分数の割り算の意味」についてちょっと書いてみようと思います。これがイメージできると数式を読むときに意味を理解しやすくなると思っています。
##1. 分数の割り算の操作##
この分数の割り算のオペレーション(分数を逆数にして掛け算にする)、
a \div \frac{b}{c} = a \times \frac{c}{b} = \frac{ac}{b}
という計算自体は問題無いと思います。この計算の「意味」について次項から見ていきます。
##2. 割り算の概念##
ストレートに考えると割り算というのは、例えば$30\div5=6$の場合、30個を5分割すると6個ずつになるというイメージで捉えられます。
この考え方で、次に$30\div (1/5)=150$を当てはめてしまうと、30個を1/5分割すると150個ずつになる、という???な感じになっちゃいますね。
ちょっとアプローチを変えてみます。
同じ、$30\div5=6$ですが、30個あるなかから、5つを1セットと考えて何セットあるか、というと6セットあります。これも同じ$30\div5=6$という計算ですね。
この**「5つを1セットと考えて何セットあるか」がキモです。これは数え方の単位を切り替えている**、と考えることができます。
先ほどの計算に単位を添えてみると、
30個 \div 5 (1セットあたり) = 6セット
となり、30は「個」が単位だったのに6はセットに変わっています。数を数える単位を違うものに変えた、と解釈できます。
もう1つ、次に為替の例を。
1ドル=120円というレートだった時に、102,000円は何ドルか?という計算も割り算で行いますね。
10,2000 円 \div 120 円/ドル = 850 ドル
これも通過の単位を円からドルに変える操作となっています。
102,000円はドルを単位にして、ドル何個分あるか?答えは850個、ということです。
##3. さて分数の割り算の意味は##
ほぼ核心については前項で出てきました。つまり**「割り算は単位の変換」**です。
では、早速ですが、ここにピザが1枚あるとします。
はい、ピザですね、どこからどう見ても1枚のピザですねw
6等分しているので1切れ1/6の大きさです。
この状況で
1 \div \frac{1}{6}
を解釈してみます。
この1切れ(赤ワクで囲ったところ)を単位として考えるのです。
つまり、このピザのホール1枚は1/6に切り分けた1切れを単位として、何切れあるか?ということです。
それを計算式で表すと
ピザ1枚 \div \frac{1}{6}(一切れの大きさ) = 6切れ
になります。
つまり、
「切れ」に変えたので、ピザ1枚は6切れになった、ピザ1枚には6切れ含まれている、ということが
1 \div \frac{1}{6} = 6
の意味だったということになります!
##4. おわりに##
ということで、割り算の意味、特に分数の割り算の意味を説明してみました。分数の割り算とは
1 \div \frac{1}{6} = \frac{1}{1/6}
になるので、つまり分母の意味ですね。で、分母の意味とは、この値で単位を変換せよ!ということと解釈できるのです。
この割り算の意味は単位の変換である、という概念を押さえておくと、統計学を勉強する上でも理解しやすいことがたくさん出てくると思います。例えば、正規分布の標準化で、
X \sim N(\mu, \sigma)
ならば
\frac{(X-\mu)}{\sigma} \sim N(0,1)
というのが出てきますが、この分母に$\sigma$とでてくる意味は、$\sigma$ 1つ分だけ離れていると、それを単位として1としましょうということになっていることが、すっと頭に入ってくるかと思います。
**分母は単位の変換!**です。
ではでは。