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@kasoorimethi

Salesforce と kintone 間で顧客データを同期する方法 (Java - JPA使用)

Last updated at Posted at 2017-05-19

Salesforce と kintone 間で顧客データを同期する方法として、CDataドライバーを利用したWindowsフォームアプリケーション(C#/ADO.NET)によるものを別記事でご紹介しました。
CDataドライバーは、ADO.NETのみならず様々なテクノロジーで提供されています。今回は、Salesforce と kintone 間で顧客データを同期するアプリケーションの Java による例をご紹介したいと思います。

000_構成図.png

このアプリケーションの概要は次の通りです。

  • JDK 8
  • JPA を利用
  • JavaFX によるデスクトップアプリケーション
  • Eclipse 4.6
  • Salesforce および kintone からデータを読み込む
  • インポートしたい行を選択して、Salesforce から kintone へデータをインポートする

それでは、このサンプルアプリケーションの開発手順を見ていきます。

ソースコード

このサンプルアプリケーションのソースコードはこちらからどうぞ。

CData製品のインストール

CData Software をインストールします。今回必要になるのは、次の2つです。

開発環境の準備

Eclipse 4.6 を使用します。以下の機能を Eclipse にインストールしておいてください。

  • Dali Java 永続化ツール - EclipseLink JPA サポート
  • Dali Java 永続化ツール - JPA サポート
  • e(fx)clipse - IDE

※ サイトのロケーションは http://download.eclipse.org/releases/neon 、http://download.eclipse.org/efxclipse/updates-released/2.4.0/site を使用

また、[ウィンドウ]->[設定]->[Java永続化]->[JPA]->[エラー/警告] で、[プロジェクト]のセクションを開き、「複数の永続化単位」の設定を「無視」にしておきます。

プロジェクト作成

新規プロジェクトを作成します。JavaFX Project を選択します。

001_プロジェクト作成.png

デフォルトのまま順次「次へ」ボタンをクリックしていきます。最後のダイアログでは、「言語」に"FXML"、「Root-Type」に"javax.scene.layout.AnchorPane"、「ファイル名」に"MainPane"、「Controller Name」に"MainPaneController"を指定し、完了ボタンをクリックします。

002_プロジェクト作成2.png

プロジェクトが作成されたら、プロジェクトを右クリックしてプロパティを開き、プロジェクト・ファセットで「ファセット・フォームへ変換...」をクリックします。プロジェクト・ファセット「JPA」にチェックを入れ、「より詳しい構成が必要...」リンクから次画面へ進みます。

003_1_プロジェクト作成3_ファセット_より詳しい構成が必要.png

JPAファセットのウィザードで、「ライブラリーをダウンロード...」ボタンをクリックします。

003_2_プロジェクト作成3_ファセット_JPAファセット.png

EclipseLink 2.5.2 を選択し、次へボタンをクリックします。

003_3_プロジェクト作成3_ファセット_ライブラリのダウンロード.png

ライセンス受諾チェックを入れ、完了ボタンをクリックします。
これによりワークスペースに EclipseLink がダウンロードされ、ユーザライブラリとして使用可能になります。

003_4_プロジェクト作成3_ファセット_ライブラリのダウンロード_ライセンス.png

[JPA実装]のユーザー・ライブラリで「EclipseLink 2.5.2」を選択し、「注釈付きクラスを自動的に発見」を選択してOKボタンをクリックします。

003_5_プロジェクト作成3_ファセット_ライブラリのダウンロード後.png

JDBCドライバーの登録

Eclipse に JDBC ドライバーを登録します。
[ウィンドウ]->[設定]->[データ管理]->[接続]->[ドライバー定義] を開き、追加ボタンをクリックします。
汎用JDBCドライバーを選択し、ドライバー名を "CData Salesforce Driver" とします。

008_2_テーブルからエンティティ_SF_接続プロファイル_ドライバー.png

「Jarリスト」タブを開きjarファイルを指定します。CData製品のインストール先/lib/cdata.jdbc.salesforce.jar を選択します。
次に「プロパティー」タブを開き、ドライバークラスと接続URLを設定します。それぞれ以下の値を設定します。

  • ドライバークラス：cdata.jdbc.salesforce.SalesforceDriver
  • 接続 URL：jdbc:salesforce:User=<ユーザ名>;Password=<パスワード>;Security Token=<セキュリティトークン>;

011_テーブルからエンティティ_SF_接続プロファイル_ドライバー4.png

kintone のドライバーも同様に登録します。ドライバークラス名や接続URLについては、マニュアルに記載があります。

データベース接続の作成

先程登録したJDBCドライバーを使用して、データベース接続を作成します。
ビュー「データ・ソース・エクスプローラ」を開きます。データベース接続を右クリックして「新規」を選択します。
接続プロファイル・タイプで汎用JDBCを選択し、名前を "CData Salesforce JDBC" とし、次へボタンをクリックします。

007_2_テーブルからエンティティ_SF_接続プロファイル.png

ドライバーは、先程作成した CData Salesforce Driver を選択します。
「データベース」はここではSAMPLEのままでかまいません。「ユーザー名」にユーザ名を入力し、完了ボタンをクリックします。

012_テーブルからエンティティ_SF_接続プロファイル_ドライバー5.png

同様にして、kintone のデータベース接続も作成します。

エンティティクラスの生成

Eclipse の機能を使用して、テーブル情報からエンティティクラスを生成します。

プロジェクトのプロパティからJPAを開き、接続に "CData Salesforce JDBC" を指定し、「接続からデフォルト・カタログを上書き」「接続からデフォルト・スキーマをオーバーライド」にチェックを入れ、それぞれ "CData" と "Salesforce" を選択してOKボタンをクリックします。

013_テーブルからエンティティ_SF_プロジェクトのプロパティ_デフォルトカタログ.png

次にプロジェクトを右クリック->新規で「その他」を選択し、[JPA]->[テーブルから JPAエンティティー]を選択して次へボタンをクリックします。
カスタム・エンティティーの生成ダイアログが開くので、「接続」で "CData Salesforce JDBC"、「スキーマ」で "Salesforce" を選択します。すると「テーブル」に Salesforce のオブジェクトの一覧が表示されます。
「Account」にチェックを入れ、次へボタンをクリックします。
※なおここで時間がかかる場合がありますが、そのまま待っていれば次の画面が表示されます。

015_テーブルからエンティティ_SF_エンティティ作成_テーブル選択.png

「クラス名」が "Account" になっていることを確認し、完了ボタンをクリックします。

015_テーブルからエンティティ_SF_エンティティ作成_作成.png

これで Account(取引先) のエンティティクラスが生成されました。
同様にして Contact(取引先責任者) のエンティティクラスも生成します。

kintone の顧客リストのエンティティクラスも同様に作成しますが、プロジェクトのJPAプロパティで接続、カタログ、スキーマを kintone のものに設定してから実施します。

013_2_テーブルからエンティティ_KT_プロジェクトのプロパティ_デフォルトカタログ.png

kintone の顧客リストのエンティティクラスも同様に作成します。

016_テーブルからエンティティ_KT_エンティティ作成.png

ここまでで3つのエンティティクラスが作成されました。
プロジェクトのJPAプロパティの接続等を未設定に戻しておきます。

017_テーブルからエンティティ_プロジェクトのプロパティ_戻し.png

永続化ユニットの定義

META-INF/persistence.xml を開き、以下を記述します。<Salesforceの接続URL> と <kintoneの接続URL> にはそれぞれJDBCドライバーの登録時に設定したものを指定します。

<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
<persistence version="2.1" xmlns="http://xmlns.jcp.org/xml/ns/persistence" xmlns:xsi="http://www.w3.org/2001/XMLSchema-instance" xsi:schemaLocation="http://xmlns.jcp.org/xml/ns/persistence http://xmlns.jcp.org/xml/ns/persistence/persistence_2_1.xsd">
    <persistence-unit name="salesforce" transaction-type="RESOURCE_LOCAL">
        <class>application.Contact</class>
        <class>application.Account</class>
        <properties>
            <property name="eclipselink.jdbc.native-sql" value="true"/>
            <property name="javax.persistence.jdbc.url" value="<Salesforceの接続URL>"/>
            <property name="javax.persistence.jdbc.driver" value="cdata.jdbc.salesforce.SalesforceDriver"/>
        </properties>
    </persistence-unit>
    <persistence-unit name="kintone" transaction-type="RESOURCE_LOCAL">
        <class>application.顧客リスト</class>
        <properties>
            <property name="eclipselink.jdbc.native-sql" value="true"/>
            <property name="javax.persistence.jdbc.url" value="<kintoneの接続URL>"/>
            <property name="javax.persistence.jdbc.driver" value="cdata.jdbc.kintone.KintoneDriver"/>
        </properties>
    </persistence-unit>
</persistence>

処理の実装

エンティティクラス Contact の修正

Salesforce 側はContact(取引先責任者)が処理対象のオブジェクトですが、一部の項目はAccount(取引先)から取得したいものがあるため、Contactクラスを修正してAccountの項目を取得できるようにします。以下のコードを追加します。

    @JoinColumn(name="AccountId", referencedColumnName="Id")
    private Account account;

    public String getAccountName() {

        if (account == null) {
            return "";
        }

        return account.getName();
    }

    public String getAccountAddress() {

        if (account == null) {
            return "";
        }

        return account.getBillingState() + account.getBillingCity() + account.getBillingStreet();
    }

    public String getAccountBillingPostalCode() {

        if (account == null) {
            return "";
        }

        return account.getBillingPostalCode();
    }

MainPaneControllerの初期化

application/MainPaneController.java を開きます。空の実装になっているので、以下の初期化コードを入れます。
※適宜import文を追加します。

public class MainPaneController implements Initializable {

    @FXML
    private TableView<Contact> salesforceTable;

    @FXML
    private TableView<顧客リスト> kintoneTable;

    @Override
    public void initialize(URL location, ResourceBundle resources) {

        salesforceTable.getSelectionModel().setSelectionMode(SelectionMode.MULTIPLE);
        kintoneTable.getSelectionModel().setSelectionMode(SelectionMode.MULTIPLE);

        EntityManager em = Persistence.createEntityManagerFactory("kintone").createEntityManager();
        kintoneTable.getItems().addAll(em.createNamedQuery("顧客リスト.findAll", 顧客リスト.class).getResultList());

        em = Persistence.createEntityManagerFactory("salesforce").createEntityManager();
        salesforceTable.getItems().addAll(em.createNamedQuery("Contact.findAll", Contact.class).getResultList());
    }
}

インポート処理

インポート処理を実装します。以下のメソッドを追加します。

    @FXML
    private void importOnClick(MouseEvent event) {

        EntityManager em = Persistence.createEntityManagerFactory("kintone").createEntityManager();

        em.getTransaction().begin();

        for (Contact contact : salesforceTable.getSelectionModel().getSelectedItems()) {

            顧客リスト kintoneItem = kintoneTable.getItems().stream()
                .filter(o -> o.getメールアドレス().equals(contact.getEmail()))
                .findFirst()
                .orElse(new 顧客リスト());

            kintoneItem.setメールアドレス(contact.getEmail());
            kintoneItem.set会社名(contact.getAccountName());
            kintoneItem.set住所(contact.getAccountAddress());
            kintoneItem.set担当者名(contact.getName());
            kintoneItem.set部署名(Optional.ofNullable(contact.getDepartment()).orElse(""));
            kintoneItem.set郵便番号_数字のみ_(Optional.ofNullable(contact.getAccountBillingPostalCode()).orElse(""));
            kintoneItem.setTel_数字のみ_(contact.getPhone());
            kintoneItem.setFax_数字のみ_(contact.getFax());
            kintoneItem.set備考("");
            kintoneItem.set経度("");
            kintoneItem.set緯度("");

            if (kintoneItem.getRecordId() == 0) {
                em.persist(kintoneItem);
            }
        }

        em.getTransaction().commit();

        kintoneTable.getItems().clear();
        kintoneTable.getItems().addAll(em.createNamedQuery("顧客リスト.findAll", 顧客リスト.class).getResultList());
    }

c#版と同じく、メールアドレスをキーとして、Salesforce側のデータをkintone側に設定しています。
CDataドライバーを使用することにより、Salesforceおよびkintoneのデータをデータベーステーブルとして扱えるようになるため、このようにJPAを通した管理を行うこともできます。

画面の作成

最後に画面を作成します。application/MainPane.fxmlを開き、以下のコードを実装します。

<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>

<?import javafx.scene.control.Button?>
<?import javafx.scene.control.TableColumn?>
<?import javafx.scene.control.TableView?>
<?import javafx.scene.control.cell.PropertyValueFactory?>
<?import javafx.scene.layout.AnchorPane?>

<AnchorPane prefHeight="660.0" prefWidth="1200.0" xmlns="http://javafx.com/javafx/8.0.102" xmlns:fx="http://javafx.com/fxml/1" fx:controller="application.MainPaneController">
   <children>
      <TableView fx:id="salesforceTable" layoutX="14.0" layoutY="53.0" prefHeight="600.0" prefWidth="485.0">
        <columns>
          <TableColumn prefWidth="150.0" text="担当者名">
            <cellValueFactory><PropertyValueFactory property="name" /></cellValueFactory>
          </TableColumn>
          <TableColumn prefWidth="150.0" text="メールアドレス">
            <cellValueFactory><PropertyValueFactory property="email" /></cellValueFactory>
          </TableColumn>
          <TableColumn prefWidth="150.0" resizable="false" sortable="false" text="会社名">
            <cellValueFactory><PropertyValueFactory property="accountName" /></cellValueFactory>
          </TableColumn>
          <TableColumn prefWidth="150.0" text="部署名">
            <cellValueFactory><PropertyValueFactory property="department" /></cellValueFactory>
          </TableColumn>
          <TableColumn prefWidth="150.0" text="住所">
            <cellValueFactory><PropertyValueFactory property="accountAddress" /></cellValueFactory>
          </TableColumn>
        </columns>
      </TableView>
      <Button layoutX="542.0" layoutY="263.0" mnemonicParsing="false" onMouseClicked="#importOnClick" prefHeight="35.0" prefWidth="116.0" text="インポート" />
      <TableView fx:id="kintoneTable" layoutX="696.0" layoutY="53.0" prefHeight="600.0" prefWidth="485.0">
        <columns>
          <TableColumn editable="false" prefWidth="75.0" sortable="false" text="レコード番号">
            <cellValueFactory><PropertyValueFactory property="レコード番号" /></cellValueFactory>
          </TableColumn>
          <TableColumn editable="false" prefWidth="150.0" sortable="false" text="担当者名">
            <cellValueFactory><PropertyValueFactory property="担当者名" /></cellValueFactory>
          </TableColumn>
          <TableColumn editable="false" prefWidth="150.0" sortable="false" text="メールアドレス">
            <cellValueFactory><PropertyValueFactory property="メールアドレス" /></cellValueFactory>
          </TableColumn>
          <TableColumn editable="false" prefWidth="150.0" sortable="false" text="会社名">
            <cellValueFactory><PropertyValueFactory property="会社名" /></cellValueFactory>
          </TableColumn>
          <TableColumn editable="false" prefWidth="100.0" sortable="false" text="部署名">
            <cellValueFactory><PropertyValueFactory property="部署名" /></cellValueFactory>
          </TableColumn>
          <TableColumn editable="false" prefWidth="150.0" sortable="false" text="住所">
            <cellValueFactory><PropertyValueFactory property="住所" /></cellValueFactory>
          </TableColumn>
        </columns>
      </TableView>
   </children>
</AnchorPane>

ウィンドウのサイズを設定します。application/Main.java を開き、Sceneのサイズを変更します。

Scene scene = new Scene(root, 1200, 660);

実装は以上です。

実行

実行構成を作成します。[実行]->[実行構成]を開き、「Javaアプリケーション」を右クリックして「新規」を選択します。
クラスパスタブを開き、CDataのJDBCドライバーを2つ指定し、実行ボタンをクリックします。

018_実行構成.png

実行すると、テーブルビューにSalesforceとkintoneのデータが表示されたウィンドウが立ち上がります。

019_実行直後.png

データ移行したい行を選択して「インポート」ボタンをクリックすると、選択したデータが kintone に登録されます。

020_移行後.png

021_移行後kintone.png

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