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機械学習を用いた、業務改善最前線を追え!海外事例で見る、"Machine Re engineering" とは?

Last updated at Posted at 2016-08-11

はじめに

なんでこんな記事を書こうとしたかというと、機械学習の活用例って日本でほとんど情報が入ってこないんですよねぇ、、

で、仲良い先輩に機械学習の業務改善に関する事例を調べてーと言われたので、せっかくなのでまとめることにした。

ちなみに表題にある Machine Re engineering とは、機械学習を用いた業務の自動化による改善のこと。日本語に訳すとなんなんだろう。範囲はだいぶ狭いけど、マーケティングオートメーションとかは割とこの領域かもしれない。

実際のMachine Re-engineering はもっと範囲の広い話で、ビジネスプロセス全体を指す。クライアントとのメールのやり取りとか、日本ではあまり知られてない単語だけど、**チャーン(churn)**防止とかも機械学習用いると、圧倒的に改善できたりする。もうちょっと詳しく、改善できる範囲についてまとめてみる。

ちなみに運営しているブログはこちら:努力1mm

機械学習で改善できる範囲とは?

機械学習を用いた業務改善では、大別して以下の3つの領域で改善をすることができる。

  • コスト削減
  • CRM
  • 売上高最大化

いくつか具体例を使って見ていくことにする。紹介する例としては以下の4つ。

  1. カナダの銀行の音声照合による事例
  2. Londonのスタートアップによる、「ドキュメント作成の自動化」
  3. サンフランシスコベンチャーによる製造プロセスにおける、アラートの検知
  4. 賄賂・インサイダー取り引きを事前に検知する人工知能

などなど。どれも割とびっくりした内容があったのでそれをまとめてみる。

カナダに籍を置くNuanceって銀行

カナダにあるNuanceっていう銀行が、人の声紋を認識する音声照合を使って、1人あたりの対応時間を40秒も削減した事例。

音声照合での生体認証を導入

手順としてはこんな感じ。

  1. お問い合わせの電話がかかってくる
  2. 自然な会話の中から、音声照合
  3. 本人確認をこの音声称号で済ませる

その成果は?

1人あたり40秒くらい対応時間が減少したとか。自然な会話の中で音声照合を済ませて、気付いたら本人確認がなくなってるってすごく嬉しい。あのやりとりすごくめんどくさいんだよなぁ。。

日本でこれが可能なのか

音声照合は言語ではなく、人間の声紋をしっかり認識できるかどうかの問題なので、これはできない理由はないはず。音声認識っていう話だったら、日本語でやるのはなかなか難しいはずなんだけど(言語構造的な問題、日本語の優秀な音声認識サーバーは存在していないなど)。

ドキュメント化、データ入力(Arria : Londonに拠点を置くスタートアップ)

日頃よくあるドキュメント作成とか、データ入力。こういう単純作業に死ぬほど時間を取られると、1日が30時間あっても十分じゃない。しかも、こういう無駄で単調な作業は、かなりやる気も削がれる。できればやりたくない。

レポートの自動作成をする手助けをする

レポートの自動作成をする手助けをしてくれるやつ。自動作成といっても、完全に自動で文章が書きあがる訳ではない。この機械学習を利用したサービスは、自分の書いたテキストの編集をしてくれると思ってた方がいい。

具体的になにをしてくれるのか

バラバラで箇条書きにしたような文章を入力データとして、一個の完成度の高いドキュメントを書き上げる。箇条書きにした文章を入力としては、ちゃんとした一個のドキュメントを作ってくれるんだとか。顧客の業種の幅は広く、ヘルスケア企業から、ファイナンス、石油会社なども含まれる。結構ドキュメント化の多い大企業なんかだとすごく歓迎されるサービスなのかな。

どれくらい生産性があがるのか

生産性は25%くらい上昇したらしい。身近な数値に置き換えると、レポート作成のタスクの時間を40時間/月削減することに成功している。1日あたり2時間くらいフリーな時間ができるくらい。これはすごい。

日本でもできるのか

これまた日本語で、ラテン語系と同じクオリティで完成するとは思っちゃいけないはず。日本語は文章的なルールが崩壊しているので、文章を組み立てるのとかはすごく苦手だっていう話をよく聞くので。。

品質管理における問題解決 ( Sight Machine )

品質管理っていうよりもちゃんと言うならば、製造プロセスをしっかりと監視する必要がある。大きな倉庫でお互いの部署同士が連絡を取れない、そんな状況で部門横断的にアラートが鳴ったとしたら、原因究明には時間がかかってもしょうがない。

そんな悩みを抱えるあなたに!諦めないで、あなたにはSight Machine があるじゃない!あっという間にアラートの原因を特定、しかも**「アラートが鳴る前に、やばいところを教えてくれる」**機能までついてるとあったら素晴らしい。

アラートの原因追求

製造業の現場とかだと、1つの品質の問題の問題によって、何百ものアラートを同時に引き起こされる。そのいくつものアラートの根源になる問題を特定するのには通常非常に時間がかかるし、なんなら製造のプロセスを止める必要さえ出てきたりする。

Sight Machineはそのアラートパターンを学習して、問題を特定する手助けをするんだとか。しかし、次はもっとすごい。

アラートが出そうなものを、事前に感知する

さらに問題が出現する前に起こった事例のパターンも学習して、このままエラーが出そうなことを知らせることもできるらしい。そして前もって、エラーが発生する箇所を対処することで被害を最小限に留める。まぁよくあるパターンの機械学習ってやつなんだろうけど、これを実際の現場でやるってのはすごいなぁ。僕の好きなコマツのIoT事例の進化版みたいな感じ。

シンガポール最大の銀行による汚職防止作戦:DBS

知ってる人は多いと思うけど、以前にもまとめたようにシンガポールは人工知能大国。国ぐるみで人工知能を導入して、未来の社会の実験室にしてみよう、みたいなことを大臣が言っているような国。自分的には、このシンガポールみたいな国はすごくかっこいいと思う。保守的であるよりも、ドラスティックに未来だけを求める感じ、素敵。

賄賂やインサイダー情報の漏洩などの不正を犯しそうな人を事前判定

銀行の業務は結構直に色々な人の欲望に関わる。インサイダー情報だったら事前に知れればこっそりボロ儲けできちゃうし、銀行からの融資を受けられるかどうかであれば直に会社の存続に関わってくる。こういう感じのところではもちろん、きな臭い話は存在するみたい。

やってること

emailや社内での行動、ミーティングでの行動を元に学習させて、「汚職をしそうな人」を検出する人工知能。

銀行に関わる不正に関しては、前から検知する試みはあったみたい。そうなんだけど従来のやり方は、「詐欺・利回り」とかの外的要因についての研究だったとか。つまり会社ではなくて、第3者の機関が人工知能を使って市場を監視していたみたい。

DBSの例は結構有名なはずなんだけど、その上記の内容がその理由。社内の不正検出について活用された事例としては珍しいらしい。

日本でこんな例はでてくるのかなぁ。。

データ分析を始めるには、多額の初期投資が必要だったりする。データの分析をしたことがある人なら分かると思うけど、データの収集、クレンジングとかには死ぬほど時間がかかるし、専門家じゃないとできないくらい面倒臭くて難しい。しかも失敗するかもしれない。データ分析でいつも正しい結果が得られる訳がない。日本で機械学習を活用した成功例で話題に上がっているものはほとんど見ない。

そのような決断を日本の企業ができるのかなぁー、、と思うとすごくこう心が暗くなったりする。企業はできるかもしれないけど、その「機械にまかせよう」っていう素敵で合理的な無責任さを良しとしない社会も存在するような気がする。

僕は学ぶことが大好きで結構真剣にやったりしてる。だからこそその分感情を持つ人間の限界を感じる。感情が判断を鈍らせる人間である限り、100%合理的で理想的な行動をするなんて不可能だ。機械に任せて生産性を上げて暇を作って、趣味に時間を費やせるような世の中であるほうが素敵だなぁと思う。

運営しているブログはこちら:海外の最新事例でみる、Machine Re-enginereeing(マシン・リエンジニアリング)

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