序文
さて、この記事が公開されるのはそう、12/24。クリスマスイブである。
私といえば毎年この日は友人が捕まらなければ、塩を舐めながら日本酒を飲むだけの夜を過ごしていた。
サンタだって気を使って話しかけてこないだろう。
去年についても御多分に漏れず以下のようなツイートをクリスマス前にしていたログが確認できた。
これを不憫と言わず何と言おう。
何が悲しくて乳首にワセリンを塗るかどうかを必死に考えなければいけなかったのか。クリスマス前に必死に検討した末、以下のような結果になった。
解決してしまった。クリスマスイブ前に乳首の問題を。おそらく統計を取れば世の中的に一番乳首が磨耗される日が来る前にこの課題に対するソリューションを得られたのは良かった。だがしかし、結局クリスマスイブ当日もワセリンを乳首に塗ってランニングしただけのメリークリスマスだった。
あの頃はランナーズハイにも似た独りもんのテンションがあったからなんとかやり過ごせたが、今振り返るとものすごい恥ずかしい。大学院まで出て千葉から出てきて、東京でビッグになってやる!と言った息子は**「クリスマスイブは中野の自宅で乳首にワセリン塗ってます」**なんて口が裂けても言えない。ご先祖様も絶句であろう。
あれから一年、私は今クリスマスに彼女と行くお店をozmallで探している。この記事では最近ドラマ「逃げ恥」でも話題のエンジニアと呼ばれる我らのような人間が、どういう思考プロセスをへて彼女を作ったか、またどういった手法が適していたかを共有するものである。自分自身、またいろんな人のpairsコンサルをしていく上で培った知識を共有します。
*会社、その他私の所属する団体とは一切関係ないプライベートな意見と考察なので、その辺をご留意いただいて読んでいただければと思います。
彼女を作ろう
しかし彼女とは何だろう。ないなら自分で用意する>作ろう>実装となってしまうのはエンジニアの性、しかし必要なアーキテクチャも必要なミドルウェアもわからない。こんな時はグーグル先生。
いやだめだ。調べてもわからなかった、理解のアプローチを変えよう。
やはりダメだ。やはり自分で定義して、それに対してアプローチしていくのがいい。開発するときも設計してから実装するし同じだろう。まずは明確な言語化とそれに対しての達成条件を設けた。
「彼女」の定義しよう
散々悩んだ結果こうである。
幾度のゲシュタルト崩壊を経てなんとか納得のいく形になった。
これにはもちろん人によって意見はあると思うが、自分の過去の経験や東京カレンダーから考えればこれが最も腑に落ちる文章だ。都合や相性のイイ人と効率的にたくさん会うことをとりあえずの目標とおいた。
そのためにとった手段は以下であった。
「彼女」を獲得しよう
手法として考えるならばやはり既存と新規に分けられるだろう。
既存の手段
ここでいう既存はすでに試したものや、自分の環境・知り合いから彼女を作るアプローチだ。パッと思いつくものとして
- 職場・友人の中から見つける
- 地元などよく行く場所で見つける
しかし、そんな素敵な人がすでに自分の周りにいるのであれば、乳首にワセリンを塗ったりしてない。いいなと思っても相手がそうでないことが多い。
新規の手段
これは新しく知り合いを作りそこから彼女となる人を見つけるものだ。パッと思いつくものだと以下のような手段があるだろう。
- 知人の紹介
- 合コン
合コンには行ったことがある。知人に紹介もしてもらったこともある。しかし
- お酒飲めない女性はちょっと・・・
- 複数人だと集中できない・・・
- 相手の趣味・嗜好が探らないとわからない・・・
- 相手がどうやら塩顔が好きらしい・・・
などなど多くの課題が見つかり、なかなか相手を見極めたり、仲良くなることができなかった。実力不足も甚だしい。
そこで出てくるミスマッチという課題
ではこういった課題をどのようにして私たちは解決していくべきなんだろうか。
答えはとても簡単だ。
A.お互いの好みがマッチすればいい
そう。当たり前のことだがこれが実はとても大事なのだ。「なんとなくいいな〜」じゃなくて言葉にできるレベルで「この人のここがいい、これは彼女にしたい」と完璧に明言化できていることが必要なのだ。しかし今持っている手段ではこの課題を解決できない。
そこでpairsである。
狭いインターネット業界、一度は聞いたことがあるだろう。オンラインデーティングサービスとして、もはや市民権どころか制空権を得ようという勢いで成長を続けるwebサービス。
クリーンなUIや品質の高いアプリケーション、的確なマネタイズモデルによって出会い系というネガティブなものを払拭し、健全な男女の出会いを実現する革新的なサービスだ。
(一応述べておくと僕は1円もpairsからもらってない。むしろがっつり課金してたのでお金を落としている側だ。経験を生かして数々の男性をpairsに送り込み、コンバージョンさせているので、ステッカーの一枚でも欲しいところだ。)
手段としての採択理由
今回彼女を見つけるという手段としてpairsが適していると考えた理由はいくつかある。以下に挙げたような手法としての優位性もあるが、サービス設計がそもそも「マッチング」に主眼を置いてあるため、私の抱えていた「ミスマッチ」という課題への解決策として最善だと考えたためだ。
- Facebook登録かつそこに「友達数10人以上のみ利用可能」などの制限があるクリーンさ
- 使いやすいUI
- 無料でお試しできる
- 利用者が多い(すでに360万人を超えている)
- 思ったより安い(月4000円くらい、ワセリン10個分くらい)
気になっていたサクラの問題や価格面でもIR情報などを読み、なんだか大丈夫そうだと納得ののちとりあえず会員登録をして始めてみた。
pairsを始めてみよう
とりあえず始めてみる。プロフィールや写真もそれとなく書き、コミュニティも気になるものに入り、「ひとこと」もみんなが書いているようなのを書いてみた。
しかしはじめて1ヶ月。誰とも会っていない自分がいた。おかしい。実におかしい。騙されているのではないかとも思い出した。自分のパフォーマンスとはこんなもんか!!自己評価が音を立てて崩れ、自分の顔の横にいいね数が見えた。「20いいね」という自信を失うにはいささか多くも、自信を得るにはあまりに少ないその数字を見ながら、あることに気づいた。
「伸ばすべき数値ならばボトルネックがあるはずだ」
ボトルネックを特定する
幸いインフラエンジニアの経験がある私はシステムのパフォーマンス測定や、ボトルネック特定の知見があり。今回はその知見をもとに改善を試みた。
まずは可視化である。彼女が出来るまでの流れ、関連する数値と層を整理した。
こうしてみるとアーキテクチャというより数値の関連性的にはKPIツリーに近い。各レイヤの簡単な説明はこうだ。
Interest Layer
- 自身のプロフィール画像に関心を持ってもらう層
- タイムラインに表示される数やそのクリック数がある
Communication Layer
- お互いのマッチングが成立しメッセージでコミュニケーションをとる層
- とても大事
Real Layer
- LINEに移動してからのリアルな生活に関わる層
- もうここまできたら後には引けない
具体的な数値はわからない部分もあったので推測だが、これでやることがはっきりした。
改善する
ボトルネックの理解のため、可視化によりまずはInterest Layerの改善=興味を持ってもらうことが大事だと気付き、改善を実施した。問題が明確になると、どんどん手法が思いつくし、アプローチも出てくる。
興味を持ってもらうためにまず理解する
相手のインサイトを深く考える必要がある。まずpairsでは男性の情報にたどり着くには幾つかの動線がある。タイムラインとコミュニティだ。前者はある程度絞り込まれた検索条件の中で男性が表示される。もう一方はコミュニティに属する男性が表示される。
女性はどのように男性を見ているのだろうか??そう考え知り合いの女性に協力をしてもらい定性的な調査を実施した。結果として**「女性はリスト形式でタイムライン」を見ている**という知見が得られた。
上記がpairsで見ることのできるタイムラインの2形式。
男性はグリッドで見ている。つまり見ているポイントが違うということだ。当たり前のことだが非常に重要なことである。リスト形式では見える情報や写真の見え方が異なる。
興味を持ってもらえる要素を学ぶ
pairsは自分以外の男性のプロフィールを見れる機能がある。参考にするプロフィールを見れる機能がありランダムに何人かの男性のプロフィールが見れるのだ。見てみると自分より年収のレンジがいくつも上の人や、高級車にまたがっている人や、スポーツをやっている人。。。クリスマスに乳首にワセリンを塗っていそうな人などどこにもいない。
しかしやはりモテそうな人、いいね数の高い人には幾つかの共通点がある。
プロフィールのリニューアル
上記知見を持ってプロフィールをリニューアルした。主にいいねの獲得数を上げるための改善を幾つか実施した。改善といえばエンジニアなら誰でも思いつくワードがある。
そう、アジャイルだ。イテレーションを繰り返して短い期間で改善をも回す、これもpairsでは非常に重要なことだ。今回改善プロジェクトのスプリントは2週間、スプリントレビューと振り返りを適切に行いいくつかの改善施策を実施した。以下にその中で有効だったものを記す。
写真
まずはいわずもがな写真である。ここが体感として50%くらいを占めている気がする。試した画像は以下のようなものだ。
- 右側に大きいビール、左側に顔写真
- フクロウカフェに行ったときのフクロウ持ってドヤ顔の写真
- 熱海の美術館のアートの前で写っている全体像の写真
- ジョジョポーズ決めている腰から上の写真
- ベトナムでホーチミン像の前にいるインスタ加工した写真
結果として一番イイねを獲得できたのは「3. 熱海の美術館のアートの前で写っている全体像の写真」だ。ビールの写真が「一緒に飲めそう」で「顔も良く見える」のでイイねがつくと思ったが違った。
ここで思い出して欲しいのは 「女性はリスト形式でタイムラインを見ている」 ということ。リスト形式では大きく画像が表示されるため顔が大きすぎてしまうとその印象に大きく作用されて他の情報への関心が下がる傾向にあると考えられる。
そこで顔の情報はなるべく出しつつも大きくアピールしないことだ。もちろんイケメンであれば顔押しで問題ない。でもそんな人はこの記事を読んでないはずなので、顔は出しすぎるな!大事なのは雰囲気だ。
「おしゃれっぽいことをしている」「ちゃんとしてそう」「イイ人そう」これら全て雰囲気だ。その雰囲気を演出するのに必要なアイテムが場所やもの、人以外の要素なのだ。
ただだからと言って、ブルーボトルコーヒーの画像を上げておけばイイだけではない。顔がわかることは重要だ。プロフィール画像の2,3枚目は近影含め顔がわかりやすいものを置いておこう。いくら隠しても結局会えばわかることなので、正直にいこう。
つまり・・・
「顔だけで判断されないように、写っているものや場所で関心をつかむ。サブ写真にはちゃんと顔がわかるものを!!」
ひとこと
多くのパターンは「Facebook見て始めました!!」「はじめまして!」とかなんですが。これは完全にアンチパターンです。その情報に何の価値があるというのでしょうか
書くべきことは2種類
- 「写真では読み取りきれない補足の情報」
- 「注意をひく嗜好」
のどちらかです。例えば社員がベトナムにいる写真だと、雰囲気は出せるのですがそこから外国だとわかる人は少ないので、「ホーチミンで出張をしていました」を設定する。または「趣味は美味しいお店をさがすことです!」など、プロフィール文に書かれていることを追記する。
女性の目線は写真->ひとことなことが多い為、ひとことに説明が書いてあればその写真に対する印象を適切に伝えるのに役立つ。
つまり。
「ひとことには写真の説明や注意をひく嗜好を書く」
プロフィール文
プロフィール文はタイムラインからユーザーのページへ遷移しなければ見ることができません。また下部に配置されているため、見てくれている女性の高い関心を期待できます。ここで書くべきことは
-
安全な人間であること
- 勤務地、職種
- pairsをやっている理由
- 会うきっかけになるようなこと
- 純粋に好きなもの
またここでイイねを押してもらうだけでなく、のちのちメッセージをする時に話の種になるようなことや、誘う口実になるような要素を入れてください。
* 安全な人間であること
女性にとってオンラインで男性と出会うことは大きなリスクを伴います、またリスクだけでなく「インターネットで男性と会う」ということに対する心理的な障壁もあります。これに対してクリーンであることやリアルでは忙しくて出会いがないことなどをアピールしてpairsをやっている自分に対して必要のない違和感などを抱かれないようにしましょう。
* 会うきっかけになるようなこと
いざネットで話の合う人が見つかったからといって会いたいと思うでしょうか?何かきっかけや理由を探すはずです、例えば**「行ってみたいお店がある」**など。
いきなり映画やその他アクティビティに誘うことは、男性女性どちらにとってもハードルが高いので「私たちは別にやましい気持ちで会うのではなく、共通で行きたいお店があるから会うんだ」のような免罪符を作ってください。
* 純粋に好きなもの
目的は「自分と相性のイイ人=恋人」を作ることなので、ちゃんと相手が自分が好きなことにどう思うか?を知りましょう。
コミュニティ
会話のきっかけや、出会うきっかけになるようなもの+相手の入っているコミュニティにはいることが重要です。相手の好みがそこにはありますし、話のきっかけになるようなものも多いです。
これはシンプルです。
いいなと思ったら、その人の入っているコミュニティで興味のあるものに入る
いいね!の押し方
先に「男性はグリッド形式でタイムラインを見る」と書いたんですが、最初に意識して欲しいことがあります。はじめてpairsをやりはじめた非モテならこう思うでしょう・・・
「うお。めっちゃ女の子いるやんけ!ウヒョー!!めっちゃ比較しちゃうぞうひうひ」
グリッドで見ることが悪だとは言いません。しかし、見ているということは見られているということ。
かの偉人、ニーチェは言いました。
見ることや比較することばかりでなく、見られていること、それを改善することを忘れないでください。
よく知り合いがpairsを始めて「ダメだったわー」とか言っているんですがだいたいこれです。もっと必死になってください。
という心構えを持ちつつ、いいね!の押し方を説明します。
ポイントは以下。
いいね!するときに見るところ
一番大事なのはアクティブな女性にしぼること。
最終ログインが1ヶ月前などの人はそもそもサービスへの期待値がかなり下がっているので、いいね!を返してくれる可能性が低いです。
また写真数やプロフィールの充実度も同様にサービスへの期待値になっていると思います。あまりやる気がない人、ほんとに会えると思ってない人などはやはり充実度も低いです。
さらにイイね数ですが、女性はすぐ200いいね!とかつきます。200人の自分に興味がある異性から連絡があったらどうしますか、答えは比較するんです。女性は無料とはいえ、貴重な時間を使ってやる訳ですから。そのときになるべくライバルの少ない女性を選んでください。そのほうがマッチングの精度が高いです。
好みを最適化していく
さて、ここでもう少し視野を広げてみて、そもそもpairsの登録者数がどのくらいなのか。少し前の情報だと男性が女性の1.7倍。
なんの検索条件も入れずに出てくる女性の数が48万人。つまり男性は80万人前後いることになる。これに対して自分の素直な好みを入れた結果、546人、つまり0.1%しかいないのです。対して彼女氏の入れていた条件での該当人数は1500人、0.18%です。
先ほどまでの話は0.1%の中でイイ人を見つける、0.18%の中で見つけてもらう話でした。ただここで自分の設定している条件から出る0.1%をもう少し疑うべきです。
pairsには多くの検索条件があります、身長・体型・仕事・お酒を飲むかどうか・結婚について・etc...その中に譲れない条件はいくつあるでしょうか、本当にそれは実体験に基づく譲れない条件でしょうか。頻繁に検索条件を変えること、それに対する考察をして、女性と会う中でこれを最適化していってください。
マッチングしたら
メッセージが送れるようになるので、以下の実験をしてみてください。
「〇〇なところがイイなと思って、いいねしました!」という一文を入れる
こうすると不思議と**「私も〇〇なところがイイなと思ってメッセージしました」**みたいな返信をもらえる。つまり自分のどういった要素が女性にウケるのかがわかる。これにより自分が思っているアピールポイントの修正ができる。ぜひ試してほしい。
改善を回す
自分のプロフィール情報、そして好み(検索条件)の2つを2週間/1スプリントとして改善とレビューを定期的に行う。
- いいね!数
- マッチング数
- メッセージ返答率
など定量的な面だけでなく、「イイ人が見つかった」かなど定性的な面からも見る。
そして課題を見つけ改善する。
これを繰り返せば
まとめ
今回話したのはあくまでInterest Layer、女性と接点を作る手法です。
だいぶ記事が長くなりすぎたので、その先の「どうやってラインに移行するか」「会うときの注意点」などの話はこの記事の反響を見て書こうと思います・・・
あとこの記事は結構いろんなとこでLTしてる内容の一部なので、またどっかで機会あればLTしようと思います。よろしくお願いします。