この道に入って気付いたら20年以上経っていたワケですが、未だ何者にもなれていないロートルから希望に溢れている新人への忠告です。俺みたいになるな!っていうしくじり年寄の説教ですな
自分の将来像を持っていますか
あなたは将来、何になりたいですか?小中学生じゃないんだから将来の夢とかどうなんだ、なんて言わないように。そう、小中学生じゃないんだから、身の程を知らない夢を語られても困ります。そうではなくて、60歳の自分の生活をリアルに想像してください、という事です。
若者に老境を語らせるのもナンですがね、別に声を大にしてしゃべる必要はありません。こういうものは自分の心の中にあればいい。しかし最盛期を過ぎた頃の自分を想像できないというのも、人生色々ヤバいです。それは人生設計ができていないという事を意味します。
っていう事をですね、親身になって教えてくれる人はなかなかいないんですよ。そういえば義務教育で将来の夢とか人生設計とかを書かされた記憶が朧げにありますが、アレ自体を添削とか指導とかされなかったと思います。だからダメなんですよね…
今年中に決めましょう
まだ無いなら、今から作りましょう。それも早い方がいい。新人の内に決めましょう。遅くとも2年以内には決めないといけません。
早過ぎますか?いえ遅過ぎるんですよ。3年4年と過ぎて中堅どころとなる前に、自分の進む道を決める必要があります。なぜなら、道によっては勉強の内容が全く変わるからです。
そもそもという話をするならば、将来像など就職活動よりも前に決めておくべきなんですよね。将来の夢に基づいて就職先を考えるのが正道ですから。つまり、今、語る事が出来なければおかしいはずなのです。語れないという事は、人生既に出遅れています。危機感を持って下さい。
決められない人へ
そう急かされてもねぇ、60歳の自分なんて、とっかかりも何も無くて困るよね…という方。そういう方はお金を基準に考えて下さい。「考えてはどうでしょう」という提案ではありません。「考えなさい」という命令です。なぜか?日本は資本主義の国で、会社員は経済の中に囲い込まれる存在だからです。
お金について考えるのがイヤならば、経済の外に出るか、または自分の人生を自分で買い上げるしかありません。
言い方を変えると、前者は自給自足の生活です。仲間を多少作ってもいいですが、基本、すべては自分の体を動かして自力で何とかする事になります。それはそれでいいものだと思いますよ。私も憧れます。但しこの道は、生活そのものを人生の目的とする位の価値観でなければ続かないでしょう。IT技術者の道を選んだ以上、自給自足は厳しいのではないでしょうか。
後者の方は、要するに一生食っていけるだけの現金を作るという事です。多くの人にとって理想的な人生でしょう。私も憧れます。ちょっとやそっとではそれだけの現金を作る事は出来ないのが問題ですな。
お金について考えるにしても基本がわからない方。まずは一人暮らしで自炊をしましょう。月々何がいくらかかって、自分の給料はどのくらいで、そうすると贅沢はこのくらい許されて、、、否が応でもすべてわかります。すると1年間の生活費がわかって、65歳までに稼がなければならない金額がわかって、平均寿命を80歳として厚生年金との差額から定年退職時に必要な貯金額がわかって、、、すべて計算できます。
そしてそれを実現するだけの給料を得る為には何歳頃にどのくらい出世していなければならなくて、その出世の為に有利な技術分野はどっち方面で、すると今勉強しておかなければならない技術は…
技術者の選択肢・トップ技術者
技術屋の究極の夢。それは地位も名誉も人生も腕一本で稼ぎ出す、といった所でしょうか。世界の最先端で名だたる技術者と鎬を削るなんてゾクゾクしますよね。身の程を知らない?いえ良い夢だと思いますよ。実現不可能とは思いません。
問題は、その為には何が必要なのかという事です。学歴で差別するつもりはありませんが、四年制大学で情報系の学科を卒業した方はいらっしゃいますか?そうでないなら今すぐに勉強を始めて下さい。コンピュータの基礎から最先端応用理論まで、更にはコンピュータとは一見無関係に思える理系科目と文系科目も、手当たり次第です。なぜなら情報系学科を卒業した連中は在学中にそこまで学んでいるからです。
日本の学士ごときの後塵を拝している程度では、世界の最先端など白昼夢もいい所でしょう。寝ずに勉強しろとは言いませんが、計画を立てて健康管理と共に油断無くやっていく必要はあるでしょう。
…と書いといてナンですが、現実にはそこまでやるのは厳しいですよね。そこで、どこまで縮小できるかを考える必要があります。例えば分野を絞るとか、方向性を変えるとか、色々考えられます。ここに創造性が求められ、個性が表れます。
もう1つの選択肢・サラリーマン
しかし無理して頑張ったってねぇ、この程度の才能でどこまでやっていけるやら。ま、仕事は疲れない範囲で回しつつ、趣味と遊びを楽しみつつ、結婚して子供を作って人並の幸せを得られれば上等じゃないか、ってね。それはそれで1つの選択です。いい人生だと思いますよ。
それで困るのは一点だけ。あなたは只今革命真っ最中のIT業界の技術者である、という点。3年前は1世代古いと言われるほど変化の激しいこの業界には常に激流が流れていて、片手間で踏ん張りが利くほどヌルくはありません。すると方針としては、中堅と呼ばれるようになる辺りから管理職に転身して、現場最前線の激流は若者に泳がせる道を選ぶのが無難、という事になります。そこに至るまでは、管理職として現場判断が出来るように経験を積む、という位置付けになります。
どうですか?選ぶ道によって、今からでも学ぶ内容が変わるでしょう?
参考文献
こういう視点からIT技術者としての人生を考える時、参考になりそうな文献を挙げておきます。技術屋の仕事に直接役立つような内容ではありませんが、ボディーブローのようにジワジワと効いてくる事でしょう。
- おおきく振りかぶって(ひぐちアサ): 15巻の目標設定シートは必見です。
- 嶋耕作シリーズ(弘兼憲史): 会社の役職の種類とその仕事内容がわかります。
- 王様達のヴァイキング(さだやす): トップ技術者の1つの究極でしょう。色々と偏ってますけど。
- マージナル・オペレーション(キムラダイスケ 芝村裕吏): 管理職はこうありたい。
- この世でいちばん大事な「カネ」の話(西原理恵子): お金は汚いという洗脳を解く為に。
- 日商簿記3級と2級: 文献ではなくて資格です。お金を扱う為の技術です。ビジネス系システムを作る際には直接役立つでしょう。
- 確定申告: 文献でも資格でもありません。青色申告しましょう。経営者は何を気にしているのか、その一端を知る事が出来ます。それは会社の方針を先読みする事につながります。
追伸: 日本の国策は
日本に住んで日本で働くならば、日本が国として国民に意図する所を知る事は重要でしょう。
私の見た所では日本の国策としては、庶民すべからく労働者であれ、であろうと。そして労働者には余計な事を考えて欲しくないようですね。余計な事というのは、視野を広く持ち将来を見越して現実に立脚した思案、です。それをして欲しくないらしい。少数の指導者が大衆を導くという古き良き支配モデルがお上の御意向に見えます。その為には大衆は無知で従順な方が都合が良いのでしょう。
それが悪いとは言いません。最も楽な人生は、有能かつ寛大な主人の下で奴隷である事です。私だって好き好んでわざわざ苦難の道を歩きたいとも思いませんし、歩いた先で報われるかどうかも定かではありませんしね。黙って指示に従えば一生安泰なら、こんなに楽な道はありません。
奴隷人生の最大の問題は、自分の人生の選択が人任せになる事です。もちろん苦情を申し立てたくなるような状況にはそうそうなりません。敷かれたレールを踏み外さない限りにおいて、まぁまぁそこそこの人生を送らせてもらえるでしょう。問題はそれを誰も保証してくれない点にあります。
また国家という視点で考えた場合、少数の指導者という支配モデルは現在既にリスクの方が大きくなっていると私は考えています。いえ日本国内だけを見ているなら何の問題も無さそうに思えますけどね。外圧がですね、力も強い上に構造も複雑になってきています。そのすべてに対応するのは、指導者が少数では手に余るでしょう。
IT技術の範囲に限定しても、今は国家存亡の危機ってヤツではないかと私には見えます。いえネトウヨの被害妄想ではありませんよ。軍がどうとか物騒な話は置いといて、経済と文化の話に限っても国家規模で従来の支配体制崩壊のリスクが高まっています。現在の日本でそういう危機への万全な対応を取れているのか、極めて疑問です。ま、私はしがない一般庶民ですから、日本の支配者が総取っ替えになった所で生活への影響は少ないと踏んでいますが。
この辺は稿を改めて大いに語りたい所ですが、ポエムばっかり量産するのもナンなので控えておきましょう。
新人よ、志を抱け
というわけで、新人の皆さん。視野を広く持って、将来を見越して、現実に立脚して、頭を使って下さい。差し当たって、自分の人生から。