初めて後輩を持った、教育担当者になったエンジニアに贈る心構え

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新社会人が続々と入社してきて数日が経過しました。
新社会人が生まれるという事は、新しい先輩や教育担当者もそこかしこで生まれていると思います。
新卒エンジニアや未経験エンジニアの教育担当をしたり非エンジニア向けにプログラミング勉強会を開いている経験を元に
今回は新しく先輩や教育担当者に向けて、特にエンジニア諸兄に向けて
心構え的なものを書いていければと思います。

「教育」におけるゴールは何か?

マナーや振る舞いに始まり、技術の基礎知識にコーディング規約にと
とにかく教えることはたくさんあると思います。
でも新しいメンバーに対して言葉の発声方法からバイナリの読み方まで教えることは時間的に無理です。
では教育のフェーズでのゴールはどこに設定するべきでしょうか。
それは「自走出来るエンジニア」であることで「何でも出来て全部を知っている」ということではないべきです。
言い換えると「チームのメンバーとして許容出来るスキルまで引き上げる」ことですし
他のメンバーに大きな負荷をかけない状況にしていく事が重要です。

具体的な教育ゴールの要素

具体的には何を知っていれば「自走出来るエンジニア」と言えるでしょうか。
チームの状況や会社の方針にも左右されると思いますが

  • わからない事を自分で調べて解決していくスキル
  • わからない事を加味した上でスケジュールを引くスキル
  • わからない事をわからないと言える度胸
  • わからなかった事を知識として蓄積していく学習フロー

あたりかなと思っています。
特にスケジュールを引くスキルや学習フローに関しては人それぞれ合ったやり方があるので
詳細な部分は個々人に任されてしまうかなとも思っています。
様々なフレームワークがある中で、必ずしも本人にマッチしない可能性があるので
そこに関しては許容していかなくてはいけません。

教育する上での心構え

ところで自身は上に挙げた要素を明確に「こうしている」と答えられるでしょうか。
「答えられる」と言える人は素晴らしいエンジニアの一人だと思います。
では、隣の席の人はこれらの要素をどう解決しているか知っていますか。
おそらく自身とは別のアプローチであると思います。
しかし明確に答えられたならばその方も素晴らしいエンジニアの一人なのです。
つまりはやり方が幾通りもある問題で、不正解はあれど正解の無い問題です。
新人がやっているやり方が非効率であると感じたならば

  • なぜそれをしようと思ったか
  • 代案としてどんなものがあるのか

という話をしてみて下さい。
おそらく新しい発見があると思います。

人が人に何かを「教える事が出来る」は間違った認識

人は「何かをしてもらった経験」と「何かをした経験」が
3対7の割合で覚えているそうです。
つまりは何かを「してあげた」としても覚えていないのが大半だと思った方が良いです。
伝えようとした事は本人にとって「知るきっかけ」に過ぎず
知った事を活用出来るかどうかは本人のモチベーションと集中力にかなり左右されます。
辛抱強く何回も同じ事を言わなくてはいけない場面も多いですが
大切なのは「あなたが教えた」ということではなく「本人が知った」という事です。
うまく伝わらないとしても、あまり腐らずに辛抱強く付き合っていく必要があると思っていて下さい。

知らないという事を知る事がとても大切

実は色々な会社で新人教育の話をしている中で一番多い勘違いなのですが
教育担当者が知っている事を詰め込んでいく方式は非常に効率が悪いです。
理由は簡単で、担当者は新人が何を知っていて何を知らないのかを「知らない」からです。
「まずは知ってそれを活用して納得していく」という教育フローを目指す担当者が
知らない事を知らないままに物事を進めていくのがいかに非効率で危険な事かは想像するに難くないですね。
まずはしっかりと事前ヒアリング、教えた事がちゃんと理解できたかの事後ヒアリング
日々のコミュニケーションをしてしっかりと対象者を知る事で
より効率の良い教育をしていく事が出来ます。

互いに知らないという事を認識して一緒に解決していく

もうひとつ知らない重要な事があります。
上に挙げた4つの要素を新人がどう解決していくかです。
それは担当者も新人本人も知りません。
お互いに知らない問題であれば「共通の課題」として一緒に悩んでいく必要があります。
もし担当者が解決方法にいくつか心当たりがあるのであれば提案してみて試してもらいましょう。
逆に新人の方で解決策に心当たりがあるのであればそちらを採用してみても良いかもしれません。
最終的には意識をせずに各課題をこなしていく事になると思いますが
最適解が見つからないうちは、解決方法の設定、実施、経過の観測、修正方法の検討という
いわゆるPDCAを回すのが良いかなと思います。
優れた教育者はいくつものフレームワークを持っていて最適な提案をしていける人だと思いますし
その部分を対象者に寄り添って実施していく事で、今後の伸びしろとも言える「考える力」を伸ばしていける人だと思います。

まとめ

新しい経験は人を成長させてくれます。
それは教育担当者も同様です。
いかに効率良く情報を吸収し伝達していくか、という事に着眼点を持ってくるとスムーズに物事が運ぶかなと思います。
アンチパターンとしては「俺が言ったことをやれ」「こうすれば大丈夫だから」という
作業の押し付けや対話無き教育ですね。
相手がコンピュータなら持っているリソースの中でそういう事をしても良いかもしれませんが
感情を持った人間が相手であり、教育担当者の振る舞いが今後の新人の伸びしろに大きく関わるという事をよく考えて日々の対話をしていって欲しいと思います。
正直、スキルが一番伸びるのは教育担当になったあなた自身です。
日々悩みながらも新人と一緒に課題を解決していってくれる事を切に願っています。