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R6 class さっそく調査 #rstatsj

Last updated at Posted at 2015-02-22

昨日の Tokyo.R における R6 class についての発表が素晴らしかった。

プレゼンの最後に質問させて頂いたのだけれど、その点について調査してみた。

  • S3 との組み合わせ(特に print)はどうなっているのか?
  • サブクラスで再定義しなくてもスーパークラスのメソッドを呼べるのか?

1. R6 のインストール

CRAN にアップされているので、インストールは特に難しくない。

R
install.packages("R6")

2. 基本的な使い方

使い方も特に難しくはない。むしろかなり自然に書ける。

R
library("R6")

Person <- R6Class(
  "Person", 
  private = list(
    name = NA
  ),
  public = list(
    initialize = function(name) { self$set_name(name) },
    set_name = function(name) { private$name <- name },
    get_name = function() { private$name }
  )
)

me <- Person$new("hoxo_m")
me$get_name()
結果
[1] "hoxo_m"

3. 参照セマンティクスと環境

R6 の発想のすごいところは、参照セマンティクスを環境で実現しているところ。それを確認してみる。

R
me <- Person$new("hoxo_m")
class(me)
mode(me)
str(me)
結果
[1] "Person" "R6"   
[1] "environment"
Classes 'Person', 'R6' <environment: 0x0000000008045d38>

確かにオブジェクトは環境になっている。
これは、内部で次のような感じで生成しているということ。

R
env <- new.env()
class(env) <- c("Hoge")
class(env)
mode(env)
str(env)
結果
[1] "Hoge"
[1] "environment"
Class 'Hoge' <environment: 0x00000000079e5b70> 

環境にも class を定義できるとは初めて知った。

何がうれしいかというと、R の普通のオブジェクト(listなど)は、変数を再代入するとオブジェクトのコピーが起きる。

R
a <- list(name="hoxo_m")
a2 <- a
a2$name <- "hoxo_m2"
a$name
結果
[1] "hoxo_m"

環境ではこれが起きない。
オブジェクト指向言語としてはこっちの方が自然である。

R
me <- Person$new("hoxo_m")
me2 <- me
me2$set_name("hoxo_m2")
me$get_name()
結果
[1] "hoxo_m2"

4. S3 との共生

R6 オブジェクトを print するとどうなるだろうか。

R
me <- Person$new("hoxo_m")
print(me)
結果
<Person>
  Public:
    get_name: function
    initialize: function
    set_name: function

ここで、class を確認してみる。

R
[1] "Person" "R6"

S3 の print には R6:::print.R6 が定義されており、それが使われているようだ。

ここで、R6:::print.R6 の中身を確認してみる。

R
> R6:::print.R6
function (x, ...) 
{
    if (is.function(x$print)) {
        x$print()
    }
    else {
...

どうやら、オブジェクトに print メソッドが定義されている場合、それが使われる仕様となっているようだ。

Person を継承して、print メソッドを持つ PersonWithPrint をクラスを定義してみよう。

R
PersonWithPrint <- R6Class(
  "PersonWithPrint", 
  inherit = Person,
  public = list(
    print = function() {
      print(sprintf("My name is %s.", self$get_name()))
    }
  )
)

me <- PersonWithPrint$new("hoxo_m")
print(me)
結果
[1] "My name is hoxo_m."

S3 でわざわざ定義しなくても、R6 内部に print メソッドを持たせることによって、S3 の print には対応できることが確認できた。

5. 継承

上で書いた PersonWithPrint クラスには、set_name(), get_name() メソッドの定義を書いていない。
これらがちゃんとスーパークラスから継承できているか確認する。

R
me <- PersonWithPrint$new("hoxo_m")

me$get_name()
me$set_name("hoxo_m2")
me$get_name()
結果
[1] "hoxo_m"
[1] "hoxo_m2"

おー、素晴らしい!
内部的にどうやっているのかはわからないが、普通のオブジェクト指向言語の動きを再現できているようだ。

まとめ

R6、分かりやすいしかなり使えそうですね。

追記

@kohske さん作の R6 class 定義で list 書かなくてもいいやつ。

こっちをデフォルトにしてもらいたいですね。

参考

R6パッケージの紹介―機能と実装

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