プロパティの探し方には、前回挙げた以外にも以下のような方法があります。
プロパティ一覧を参照する
ウィキデータ:プロパティの一覧には人物、組織といった大まかな分類ごとによく使うプロパティの一覧があります。また、こちらではプロパティ専用の検索窓もあり、頭に「p: 」を付けなくてもプロパティを検索できます。
ショーケースを参考にする
プロパティが充実していて他のモデルになるような項目がWikidata:ショーケース項目にまとめられています。こちらも人物、作品といったカテゴリごとにまとまっています。
類似の項目のプロパティを真似る
文化の違いがあるので、やはり海外の事例よりは対象物が国内のもので、充実した記載のある項目が非常に参考になります。ただ、その事例を見つけるのが結構大変なので、そうした事例が増えていくと良いなと思います。
「適用プロパティ候補」プロパティを充実させて共有する
このプロパティを使うと、ある分類に対して、適用対象となりそうなプロパティの候補を登録できます。これがあると類似項目の文を充実させる際に非常に参考になりますので、みんなで充実させて行けると良いと思います。
例えば「神社」という分類に相当する項目には現在以下のようなものが登録されています。
自分の町の◯◯神社など具体的な神社の項目を充実させる際にはこれらのプロパティを使えば良いことが分かります。こういった部分をみんなで追加して行けると良いと思います。
項目のメンバーシップとプロパティ
技術的な話はあまりよく分かっていないのでここまで避けてきたのですが、分類のあたりの説明をしておかないと混乱しそうなので頑張って説明してみます :) 間違いなどありましたらコメント頂ければ幸いです。
(詳細は「Help:基本特性」参照)
世の中の物事や概念には包摂関係、親子関係など複雑な階層構造があります。ウィキデータの項目もよくみるとフラットな構造ではなく、実世界にある項目間の複雑な関係を表現できるようになっています。
分類
分類という言葉は割と一般的に使われる用語なのですが、ウィキデータの日本語訳では重要な意味を持つプロパティとして使われているので、どちらの文脈で使われているのか注意が必要です。
クラスとインスタンスはオブジェクト指向プラグラミングではお馴染みの概念ですが、よく型紙と実例の関係で説明されます。例えば神社というクラスに対して松戸神社という実例(インスタンス)が存在する、といった関係です。
ウィキデータのプロパティとして使われている「分類」は、英語では「instance of」となっており、まさにこのクラスとインスタンスの関係性を示すためのものです。日本語の文法と英語の文法では記述したり修飾する順番が逆になることが多いので分かりにくいのですが、分類を直訳的に言い換えれば
・「インスタンス項目(松戸神社)」に対して
・「以下の実例(instance of )」「クラス項目(神社)」という文を追加する
といった使い方になります。
くどいようですが、英語では後ろから修飾するので
松戸神社<-instance of<-神社(松戸神社は神社のインスタンス(実例))
となりますが、自然な日本語は前から修飾するので
松戸神社->分類->神社(松戸神社は分類では神社)
とスムーズに日本語として読めるように逆方向の修飾となるような訳語が充てられています。当初これがわからずに随分悩みました。。
このように、項目とひとくくりにしているものも全てがフラットな構造ではなくて、クラスとインスタンスに分けられるものが存在します。実世界では単純な2階層にとどまらずさらに複雑です。
また、その項目がクラス(神社)であれば、インスタンス(松戸神社)とは違って抽象的な存在であり、「所在地」や「電話番号」といったプロパティを持ちません。
上位クラス
「上位クラス」プロパティは英語では「subclass of」であり、クラス間の親子関係を表します。例えば
・「神社」という項目に対して
・「上位クラス」「建築物」という文を追加する
のように使います。
上述の「分類」プロパティはインスタンスに相当する項目から見てクラスに相当する項目を指し示すためのものなので、クラスや上位クラスの項目である神社や建築物には分類プロパティを設定しません。
以下の一部分
「以下の一部分」プロパティは英語では「part of」であり、インスタンス間およびクラス間の包含関係を表します。例えば
・「西郷隆盛像」という項目に
・「以下の一部分」「上野恩賜公園」という文を追加する
のように使います。
これらのインスタンスやクラスに相当する項目についてはそれらの関係性をよく把握した上で適切なプロパティを付けていく必要があります。まぁ、最初はインスタンスに相当する項目を中心に編集していればさほど悩まなくても大丈夫です。