The Gridded Population of the World in Google Earth Engine の感想
データそのものにも興味があるけど、この Google Earth Engine のコード例の北カリフォルニア感が好きですね。データをウェブの向こう側に持っていって、ウェブネイティブかつクラウド親和であるけれども通信層とか隠蔽した API を晒す。API はどちらかというと関数型趣味である。こういう技術が、だんだんと自然にクラウドの霧が晴れていくなかで現状よりもややオープン気味に主流化するというのがだいたい5年スパンでは正しい道ではないでしょうか。その中で、既存の API のエンタープライジーなところが晴れていって、Leaflet の API のように奥が深くないものに改善され、またオープン化する見返りに計算負荷がクラウドの向こう側からブラウザサイドにある程度まで移転する。そこで次世代ウェブが取り込まれる、鍵となる要素技術はもちろんここでもタイル。(インタフェース的には隠蔽されるとはいえ。)これならば、プラットフォーマーもデータプロバイダーも共存できるはず。プラットフォーマーとデータプロバイダーがお互いに自分の有利な形の接触を求めながら、切磋琢磨していく形が継続するのが望ましいのであり、どちらかがどちらかに完全隷属するということは市場原理的にもウェブの原理的にも政治的にも経済的にも相当難しいので、逆に安心してディスラプティブに進むべきである。それにしても、先の rebuild.fm のエピソードにもあったが、もう完全に「GUIよりもcodeがクール」が定着しましたね。これは世の中の進歩である。
(追伸)短期的には、この処理モデルに合致するデータをどれほど短期的に揃えられるかがプラットフォーマー側のチャレンジかもしれませんね。この処理モデルがピッタリはまるデータって、それほど存在しないかもしれないし、この処理モデルでベネフィットが得られるユーザクラスターを短期に作り上げるのは、それほど簡単ではないかもしれない。難しいだろうという側に賭けるとすれば、そのような観点があるかもしれません。従前もクラウドGISというのは難しかったし、従前のクラウドGISとくらべての新しみは、codeが晒せるという程度しか今は私には見えていません。
(追伸)この流れと同じ流れにいて、すこしだけ重なる部分をオープンソースでやっているのが http://turfjs.org なのではないかと思います。こちらも、北カリフォルニア産のようです。turf の流れと Google Earth Engine の API の流れは似ているような気がしていて、いずれもデータプロバイダーというよりはプラットフォーマーの持ち物ではありますが、こういうプロセッシングに対応したオンラインデータを出せるように考えておくのがウェブでのデータプロバイダーの生き残りの早道かと思います。
(参考)turf と Mapbox GL JS の組み合わせ例:https://www.mapbox.com/mapbox-gl-js/example/measure/