Scope について
記載事項
p. viii Preface には次のように書いてある。
A WMTS enabled server application can serve map tiles of spatially referenced data using tile images with predefined context, extent, and resolution.
tile images with predefined context とある。つまりコンテキスト独立なレンダリング前のベクトルデータは範囲外になってしまう。
p. 1 Scope には次のように書いてある(下線筆者)。
This OGC document is applicable to servers and clients that can serve and consume _rendered_ tile maps.
つまり、標高タイルやベクトルタイルのように rendered ではないタイルについても統合的に扱おうとする場合、OGC WMTS のスコープの外になってしまうのである。
ちなみに、Scope 文は次のように進む。
It can be combined with other OGC standards and also integrated with the emerging RESTful applications and "mash-ups".
やや、流行り言葉に流されすぎてしまっている感がなくもない。WMTS ふが普及するとすれば、RESTful とか mash-up が熱いタームである時期であるべきであったようにも感じる。
「アーキテクチャスタイルをまたいでも利用できる規格」というものを狙っていらっしゃるように見えるが、アーキテクチャスタイルも決められない規格に、どんな意味があるだろう。その意味は限定的であろう。
提出機関について
- Autonomous University of Barcelona
- CREAF
- CubeWerx Inc.
OSGeo TMS との関係について
p. xi foreword に次のとおり明記されている。
WMTS is inspired by the OSGeo Tile Map Service Specification
ボトムライン
「標高タイルやベクトルタイルのように rendered ではないタイルについても統合的に扱おうとする場合、OGC WMTS のスコープの外になってしまう」といったことを考えている。よって、WMTS は互換性確保のためのサブ施策にはなり得ても、標準化を意識したメイン施策にはなり得ない。現在の時点においては、スコープが問題解決として適切ではないためだ。
フレーズ化
かつて私は「WMSは小規模な地図配信と地図画像生成に限って有効である」と言った。今は「WMTSは地図画像配信のことしか考えていない。」と言うことにしよう。