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Spending Data Party 2013 Winter での成果

Last updated at Posted at 2013-12-15

Code for Japan の関です。本日、自分たちが支払った税金の可視化プロジェクトである、Spending.jp のイベント、 Spending Data Party という開発イベントを実施しました。

イベントのページ から抜粋

イベントの目的
OpenSpending のムーブメントをより広げることを目的としています。各地域の立ちあげをサポートすると同時に、集まったデータをどのように活用するかのディスカッションや、本家 OpenSpending プロジェクトの最新情報をお伝えする予定です。
名古屋や静岡でも同時に開催予定です。

Spending.jpとは?

私が払っている税金は、いったい具体的に何に使われているんだろう?
そんな疑問に答えるために始まった「税金はどこへ行った? Where Does My Money Go?」プロジェクトのサイトが Spending.jp です。自治体の予算に対する理解を深めるために、Where Does My Money Go? というオープンソースソフトウェアを利用し、税金の使途をわかりやすく表現しています。2012年7月2日に横浜版サービスが提供開始されて以降、瞬く間に広がって、今では横浜を含む全国55都市のサービスが提供されています。
イギリスの Open Knowledge Foundation がオーガナイズしている OpenSpending というプロジェクトの一つでもあります。

Spending.jp 画面

Spending Data Party とは?

今年7月にも一度行なったのですが、Spending.jp や OpenSpending の広がりを加速させるためのイベントです。前回は世界の様々な場所で開催される国際イベントだったのですが、今回は日本国内のみで行いました。東京、名古屋、静岡の3会場で行なっています。この記事では、私がオーガナイズさせていただいた東京会場の模様をご紹介いたします。エンジニア、デザイナー、行政関係者、経営者など、様々なメンバー30名程度が参加してくださいました。
東京会場の模様

Togetter によるまとめ

午前中:Spending.jp の歩みとこれから

まず最初に、私から OpenSpending プロジェクトや Spending.jp の成り立ちや歩み、今後の展開について説明させていただきました。

2012年6月30日のハッカソンで初めて生まれた Spending.jp。単身か扶養家族がいるかを選択し、年収スライダを動かすと、その場合に自治体に支払う税金の額や、一日あたりいくら、どの分野に使われているかというのが分かるようになっています。
ソースコードはオープンに公開されており、地元のエンジニアなどの力により既に55の地域にて、サイトが公開されています。
詳しくはこちらのページで時系列に見ることができます。
また、海外 OpenSpending チームの新サービス、Spending Storiesについても紹介しました。金額を入れると、その金額はだいたいどれくらいの支出に使われているかを知ることができます。
Spending Stories:
SpendingStories
こちらは今後日本版も立ちあげたいと思っています。

次に、(株)公共イノベーション川島さんより、Where Does "Where Does My Money Go?" ということで、Spending.jp 回りの論点整理や、将来像について発表いただきました。
スライドの一部:
将来像

次に、松阪市CIO補佐官(元鳥取県商工労働部 経済産業総室産業振興室長)の森本浩之様から、予算データの作り方について解説をいただきました。
予算データ

午後:グループワーク

その後、参加者が取り組みたいテーマに分かれて、作業を行いました。

  • チームA:データ整理の考え方の議論
  • チームB:比較機能のUIづくり
  • チームC:新地域の立ちあげサポート
  • チームD:Spending.jp サイトリニューアル

の4チームができました。それぞれのチームの成果を簡単にご紹介させていただきます。

チームA:データ整理の考え方の議論

  1. 横比較したいけどできない(総務省、組織、COFOG、テーマ別ランキング、人口規模別)。
  2. 市民目線の分類の徹底(国、自治体。一般・特定財源)
  3. 時系列(年度内の動きも含む)分析。
  4. ディテール(階層、深堀り、、)
  5. 費用対効果分析(市民負担)
  6. 所得階層別比較
  7. 世代間比較
  8. 地域比較
  9. 選択肢(単身・扶養)の精度アップ
  10. ストーリー付け

といった様々な論点がありましたが、この日は子育てと高齢者に焦点を当てて、政令市のお金の使い方を比較してみることになりました。

結果、総務省の決算統計から、政令指定都市に対して、子供に関する予算や高齢者に関する予算を抜き出し、グラフで比較を行うといったことを行いました。
元データ:H23総務省決算統計
分析結果:Google Spreadsheet
分析例(上記スプレッドシートの中のグラフです):
* 子供1人あたり金額ランキング_積み上げグラフ:
子供1人あたり金額ランキング_積み上げグラフ
* 子供1人あたり金額ランキング:
子供1人あたり金額ランキング
* 子供シェア・ランキング:
子供シェア・ランキング

ただし、実は、上記グラフをもって単純に判断することはできません。
たとえば仙台市については復興費が「現役世代」に計上されているので、「子供シェア」が少なく見えます。※「現役世代」は正確に言うと「子供」「高齢者」に属さない「その他」的な区分です。
また、子どもは、母子家庭や社会援護関係、高齢者は、介護保険や後期高齢者などの予算をバクっと抜いた比較になってます。
「これをきっかけに、こんなデータ項目を入れたほうが・・みたいな議論がつながってくると良い」という意見や、「サマリーのみでなく、より詳細なデータを公開してほしい」、「今の総務省の分類だけではなく、より市民が直感的にわかりやすい分類が必要」などの声が会場から上がっていました。

チームB:比較機能のUIづくり

こちらは、各都市で予算データの項目を揃えて公開することで、どんな風に比較が可能になるのかを今の Spending.jp のサイト上のUIで考えてみようというチームです。私と小副川さんが担当しました。
まず、各市のサイトに「全国平均との比較」というページを設け、自分たちの街の予算が全国平均と比べるとどれくらい違うのかを棒グラフで見せることを考えました。全国だけでなく、同程度の予算規模の平均と比べられるよう、総務省の類似団体種別毎の平均とも比較できたり、指定した市と比較できたりといったこともサポートできると良いと思っています。
実際にできたサンプル画面は以下のようになりました。
比較サンプル
まだ粗い状態ですが、ある程度方向性はできたので、引き続き開発を進めていきたいと思います。開発にご協力頂ける方を募集しますので、ご興味ある方は是非御連絡ください。
今回はある程度分類項目が揃っている、千葉市と横浜市を比較してみました。是非今後、各自治体ではこのような揃えた項目でデータを作って欲しいものだと思いました。
あまり直感的な分類ではありませんが、まずは全市町村で項目が揃っている、総務省決算統計バージョンを作るというのも考えています。

チームC:新地域の立ちあげサポート

今回新地域の立ちあげにチャレンジしたのは以下の10地域。
* 埼玉県川越市
* 千葉県館山市…公開済み
* 三重県松阪市
* 神奈川県逗子市…公開済み
* 東京都小平市…公開済み
* 千葉県浦安市
* 東京都品川区…公開済み
* 愛媛県西条市
* 山口県周南市.....公開済み 表示部分修正中
* 大阪府東大阪市(情報公開請求準備中・・・)

4都市でその日のうちにサイト公開が完了。そのほかの地域も多くのところで、データ作成とアップロードまでは終わっておりました。
ただ、いくつかの地域では、一番粗い集計項目しか公開しておらず、詳細なデータが作れなかったところもありました。
参加者の方々からは、「みんなで作ると楽しい」「税金の使われ方についてよく知れて勉強になった」などといったポジティブな声を聞けました。
現在のマニュアルのわかりにくい部分なども指摘いただき、修正しています。

チームD:Spending.jp サイトリニューアル

現在の Spending.jp のリニューアルを行うチームです。素晴らしいデザインのサイトの公開まであと一息というところまでできました。
近日中にリニューアルしますので、みなさん是非ご期待ください。
私も、地図部分の実装を少しお手伝いさせていただきました。

終わりに

おかげさまで、今回2回めとなる Spending Data Party も大盛況でした。参加いただいた皆様、本当にありがとうございました!また、会場をご提供いただいたIBMさん、どうもありがとうございました。
集合写真

Code for Japan としても、Open Knowledge Foundation としても、このプロジェクトには力を入れています。税金の使い道を知ることは、自分たちの街の課題を知る一歩だとも思いますし、行政の方々の考えやルールを知り、より深いコミュニケーションができる手段でもあります。

技術者は、技術的にもとても良いチャレンジができますし、デザイナーもUIを考える良いプラクティスになります。ビジネスマンにとっても新しい事業の種が見つかるかもしれません。なにより、市民としても、自分たちの街がどのような公共サービスを行なっているのかを楽しく学ぶことができる良い場だと思います。
次回はまだ未定ですが、来年もまたやると思いますので、ご興味があるかたはSpending.jp のフェイスブックグループメーリングリストにご登録ください。
また、来年2月開催予定の、インターナショナルオープンデータデイに開催地域として登録し、続きの議論をやっていただくのも良いかもしれません。

他の開催地、名古屋や静岡会場のレポートも楽しみにしています!

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