Code for Japan の関です。
この記事は、Civic Tech (シビックテック)をテーマにした、「Civic Tech Advent Calendar」企画の第一弾です。
これからクリスマスまで、様々な人が様々な記事を日替わりでお届けします。
他の記事は
http://qiita.com/advent-calendar/2014/civictech
の一覧から見れるようになっており、日ごとに記事が増えていく予定です。
昨年版はこちらから見れます。
http://qiita.com/advent-calendar/2013/civictech
ちょうど一年前にも、シビックテックについて記事を書きました。
地域課題解決の新しい形、Civic Tech と Code for Japan
シビックテックの事例紹介や、Code for Japan の活動について書いていますね。Code for Kanazawa の 5374.jp が生まれたくらいのころだったのですかね。さて、今回は、Code for Japan の活動を振り返って、自分的に大きかった出来事のベスト5を書きたいと思います。
1位:世界中、日本中のおもろい人とつながった
いきなりの1位の発表ですが、これにつきます。
写真:Code for Japan Summit にて
シビックテックは、新しいトレンドとして急速に発展しています。Code for のネットワーク自体はコード・フォー・アメリカ(Code for America)から生まれたもので、今ではドイツ、メキシコ、アイルランド、カリビアン、韓国、日本など様々な国に Code for All という名前で展開されています。また、イギリスにはオープンナレッジ(Open Knowledge)という組織がこの分野を推進していますし、台湾にも G0v というコミュニティがあります。そのような全国のネットワークを通じて、多くの仲間ができました。
特に各国のCode forのメンバーに日本の事例を紹介し、色々とフィードバックを貰うことは、私にとってとても刺激的でしたし、楽しい時間でした。Code for America の Slack(チャットツール)上では、日々新しいアイデアが交換されていると共に、モチベーションの上がる様々なコメントが飛び交っています。
また、TEDトーク「コーディングでより良い政府を作る」で有名な Code for America ファウンダーのジェニファー・パルカを始め、ティム・オライリーや米国政府の元CIOであるヴィヴェク・クンドラといった方々にまで会って話をさせてもらいました。
一方、国内に目を向けても、Code for Japan がオフィシャルに支援している21の地域のメンバーはもちろん、準備中や非公式のコミュニティを合わせると50以上のCode for Xがあります。このネットワークにも、とても素晴らしい人達が揃っています。Code for をやっている人々以外でも、行政や自治体、大学、企業の中にも色々とオープンガバメントを推進する仲間ができています。
地域課題を住民それぞれが自分ごととして考え、自らの技術とIT、アイデアで解決する。そしてその解決方法をオープンに公開し、フィードバックを得ながら皆で改善していくというシンプルかつエキサイティングなアイデアに共感し実際に行動している人たち。その時点で相当面白い。シビックテックという概念自体がある意味フィルタとなっているので、ポジティブで気持ちのいい人が多いです。批評家タイプが少ないですから。
全国、全世界に、訪ねたい友達が増えていくというのは、なんと素晴らしいことでしょうか。大変なことももちろんありますが、得難い経験をさせてもらっているなと思います。
2位:浪江町のフェローシップ開始
写真:Code for America Summit でのプレゼン風景
福島県浪江町でフェローシップの事業を開始させてもらいました。「日本ではフェローシップは無理」という意見が多かった中、Code for Japan のフェローシップを受け入れてくれた浪江町役場の方々、そして今実際に派遣されているフェローの方々には本当に感謝しています。
実際、従来の行政の調達の仕組みでは難しい、町民を巻き込んだアプリケーションのプロトタイピングや、公開型調達モデル、アジャイル開発など様々なチャレンジを行い、大きな成果を見せています。
(詳しくは浪江町と政府のシステム調達について:Fumi's Travelblogを参照のこと)
タブレットアプリの開発をお願いしている富士通さんとEye's Japanさんのチームも素晴らしく、今も役場、CfJ、開発チーム全てが一体となってアジャイルに開発を回しています。
実際に町民を交えた体験ワークショップなども行って都度フィードバックを行なっていますが、まだアプリケーションが完成して町民に配られているわけではないので、引き続き気を抜かずに頑張りたいと思います。
3位:Code for Japan Summit 開催と大成功
**写真:Code for Japan Summit Day 3**1年目のお披露目会として、10月にCode for Japan Summit を開催。175名の来場者を記録し、大きな成果を上げました。
準備期間が短いにもかかわらず、多くのボランティアスタッフの協力やスポンサー様のお陰でクオリティの大変高いイベントになったと思います。海外からのゲスト(Code for Americaや台湾(Code for Tomorrow)、Code for Seoulのメンバー)や各地のブリゲイドのメンバーも参加。Code for Japan 以外にも、僕らがシビック的だと思う様々な組織の方々に登壇してもらい、「コネクト」をテーマに盛り上がりました。
特に、グラフィックレコーディングという新しい手法を取り入れたカンファレンス運営は、各所で話題になりました。
4位:全国行脚と Brigade Meetup in 金沢
**写真:金沢ミートアップで各地のCode for キャプテンと**今年に入ってどれだけの距離を移動しているのかわかりませんが、思いつくだけでも、サンフランシスコ、ベルリン、韓国、札幌、厚岸町、仙台、石巻、浪江町、二本松、いわき、千葉、横浜、神戸、大阪、岐阜、金沢、広島、佐賀、富山県南砺市、鯖江、福岡、北九州、大分と様々な場所に行き、シビックテックやCode for Japan、オープンデータといったテーマで講演やファシリテーターをさせていただきました。
それぞれの地域でそこに住む人々の課題を聞き、行なっている取り組みを聞き、アイデアを交換し、美味しいものを食べ、飲み、語る。とても贅沢な時間を過ごさせて頂きました。
そして、全国からCode for Xのキャプテンたちがあつまった Brigade Meetup in 金沢。これはかなり素晴らしい場でした。全国から集まった人々がそれぞれの事例を紹介して、悩みやアイデアを共有する。こういった場こそが重要で、もっとやっていきたいと思う活動です。(その時のレポートはこちら)
各地でのオープンデータの動きもだいぶ広がってきましたが、向こう一年で本当に役に立つものがどれくらい出てくるかが勝負なのだろうなと思っています。それを担うのが各地のシビックテックコミュニティであるので、皆さん引き続きがんばりましょう!
5位:コーポレートフェローシップの開始
**右から2番めが、フェローの奥野さん**今年10月から、新たなフェローシップの取り組み、「コーポレートフェローシップ」を試験的に行いました。各地のシビックテックコミュニティで持続性の担保が大変という問題に対する、Code for Japan なりのソリューションの一つとして考えています。コーポレートフェローシップは、1年間人材を派遣する通常のフェローシップ制度とは違い、企業の職員が長期出張の形で3ヶ月自治体内で勤務するプログラムです。
行政内部にITに強い人間を送りこみ、Code for Xと自治体と一緒に地域課題解決を行います。人材の流動性が高い米国とは違う、日本の労働市場に合わせたフェローシップモデルです。また、自治体側は費用を必要としません。
先日、SAPジャパンさんと鯖江市さんの協力のもと行なっていた、1ヶ月半にわたるフェローシップのトライアルが終了し、市長への報告をしたところです。(詳しくはCode for Sabaeの福野さんのブログをご覧ください。)
来年には正式版のサービスを開始する予定です。ご興味ある方は是非ご連絡ください。
以上、色々と楽しい1年でした。これからも色々あると思います。引き続き皆で楽しく世の中をハックしていきましょう!
Happy Civic Hacking!
明日の記事は Code for Aizu による反省と、これから。です。