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回路シミュレーション LTspice の使い方(2) 部品の追加

Last updated at Posted at 2016-03-20

概要

LTspice の使い方 (部品の追加)

はじめに

LTspice は非常に便利に、回路のシミュレーションを行ってくれる。
しかし、どうも部品が足りない。
実際のところ「秋月」「千石」あたりで入手可能な部品で回路は作るのだから、そのあたりがシミュレーションできなければ、意味がない。
そこで、「秋月」で入手可能なトランジスタとオペアンプについて、2,3種類を追加した。

LTspice の使い方については、下記も参考して下さい。
「ESP8266 (ESP-WROOM-02) 回路シミュレーション・ツール LTspice (無料) の使い方 まとめ」
http://qiita.com/exabugs/items/59536e2a52aa460087d5

ディレクトリ構成

LTspice の部品群は、以下のフォルダにある。(Macの場合)

~/Library/Application\ Support/LTspice/lib

サブフォルダは、それぞれ、以下の内容の定義ファイルを含んでいる。

フォルダ 内容
cmp ダイオードやトランジスタなどのパラメータ・モデルのデータ・ファイル
sub デバイスの回路情報がセットされたlibファイルやsubファイル
sym 回路図を作成する時のデバイスのシンボルのデータ

トランジスタ

トランジスタの定義はcmp配下に置かれている。
ここでは、最も有名なトランジスタ NPN型「2SC1815」、PNP型「2SA1015」 を追加する。

追加手順

  1. cmp/standard.bjt に以下を追記する。(参考文献:1)
  • 【注意】 2SC1815/2SA1015系 の Spice データについて (2016/04/16)
    Vaf(アーリー電圧) が 6 となっているものが多数見受けられます。これは明らかに値がおかしい。
    6 から 100 に値を変更します。(Github 修正済み)
    スクリーンショット 2016-04-16 15.32.11.png

  • 【注意】 2SC1815/2SA1015系 の Spice データについて (2016/04/16)
    Ikf(順方向高電流域ロールオフ・ポイント)についても、値がおかしいです。2SC1815 では 20mA になっています。これでは値が小さすぎます。
    hfeが半分(50%)に低下するコレクタ電流(Ic)をIfkとして設定すればよいので、データシートより、2SC1815, 2SA1015 共に 200mA が適当です。
    スクリーンショット 2016-04-16 21.14.39.png

データシート
http://akizukidenshi.com/download/2sc1815-gr.pdf
http://akizukidenshi.com/download/2sa1015-gr.pdf

*Low Noise Amp PC=0.4W Ic=0.15A Vcbo=60V Complementary 2SA1015
.model 2SC1815 NPN(Is=2.04E-15 Xti=3 Eg=1.11 Vaf=100 Bf=300 Ne=1.5 Ise=0
+ Vceo=50 Icrating=150m mfg=TOSHIBA
+ Ikf=200m Xtb=1.5 Br=3.377 Nc=2 Isc=0 Ikr=0 Rc=1 Cjc=1p Mjc=.3333
+ Vjc=.75 Fc=.5 Cje=25p Mje=.3333 Vje=.75 Tr=450n Tf=20n Itf=0 Vtf=0 Xtf=0)

.model 2SC1815-GR NPN(Is=2.04E-15 Xti=3 Eg=1.11 Vaf=100 Bf=300 Ne=1.5 Ise=0
+ Vceo=50 Icrating=150m mfg=TOSHIBA
+ Ikf=200m Xtb=1.5 Br=3.377 Nc=2 Isc=0 Ikr=0 Rc=1 Cjc=1p Mjc=.3333
+ Vjc=.75 Fc=.5 Cje=25p Mje=.3333 Vje=.75 Tr=450n Tf=20n Itf=0 Vtf=0 Xtf=0)

.model 2SC1815-Y NPN(Is=2.04E-15 Xti=3 Eg=1.11 Vaf=100 Bf=200 Ne=1.5 Ise=0
+ Vceo=50 Icrating=150m mfg=TOSHIBA
+ Ikf=200m Xtb=1.5 Br=3.377 Nc=2 Isc=0 Ikr=0 Rc=1 Cjc=1p Mjc=.3333
+ Vjc=.75 Fc=.5 Cje=25p Mje=.3333 Vje=.75 Tr=450n Tf=20n Itf=0 Vtf=0 Xtf=0)

*Low Noise Amp PC=0.4W Ic=0.15A Vcbo=50V Complementary 2SC1815
.model 2SA1015 PNP(Is=295.1E-18 Xti=3 Eg=1.11 Vaf=100 Bf=300 Ne=1.5 Ise=0
+ Vceo=50 Icrating=150m mfg=TOSHIBA
+ Ikf=200m Xtb=1.5 Br=10.45 Nc=2 Isc=0 Ikr=0 Rc=15 Cjc=66.2p
+ Mjc=1.054 Vjc=.75 Fc=.5 Cje=5p Mje=.3333 Vje=.75 Tr=10n Tf=1.661n Itf=0 Vtf=0 Xtf=0)

.model 2SA1015-GR PNP(Is=295.1E-18 Xti=3 Eg=1.11 Vaf=100 Bf=300 Ne=1.5 Ise=0
+ Vceo=50 Icrating=150m mfg=TOSHIBA
+ Ikf=200m Xtb=1.5 Br=10.45 Nc=2 Isc=0 Ikr=0 Rc=15 Cjc=66.2p
+ Mjc=1.054 Vjc=.75 Fc=.5 Cje=5p Mje=.3333 Vje=.75 Tr=10n Tf=1.661n Itf=0 Vtf=0 Xtf=0)

.model 2SA1015-Y PNP(Is=295.1E-18 Xti=3 Eg=1.11 Vaf=100 Bf=200 Ne=1.5 Ise=0
+ Vceo=50 Icrating=150m mfg=TOSHIBA
+ Ikf=200m Xtb=1.5 Br=10.45 Nc=2 Isc=0 Ikr=0 Rc=15 Cjc=66.2p
+ Mjc=1.054 Vjc=.75 Fc=.5 Cje=5p Mje=.3333 Vje=.75 Tr=10n Tf=1.661n Itf=0 Vtf=0 Xtf=0)

使い方 (2SC1815)

  1. NPN型を選択して配置
    スクリーンショット 2016-03-20 14.50.37.png

  2. 右クリックして、「Pick new transistor」をクリック
    スクリーンショット_2016-03-20_14_50_50.png

  3. 「2SC1815」が選択できるようになっているはず。選択すると以下になる。
    スクリーンショット 2016-03-20 14.51.24.png

  4. 完成
    スクリーンショット 2016-03-20 14.51.49.png

オペアンプ

オペアンプやICなどの複雑な部品は「マクロモデル」という形でsub配下に置かれている。
ここでは、秋月で商品取扱がある、新日本無線のオペアンプ「NJM4558DD」を追加する。(参考文献:2,3)

追加手順

  1. 新日本無線からマクロモデルをダウンロード
    (「NJM4558DD」は探しても見つからないので、「オペアンプ バイポーラタイプ マクロモデル」にある「NJM4558C」で代替する。)
    http://www.njr.co.jp/products/semicon/design_support/macro/macro.html

  2. 展開したフォルダにある「njm4558C_v1.lib」を、subディレクトリにコピー

  3. 【重要】「njm4558C_v1.lib」の内容を修正
    「njm4558C_v1.lib」はパッケージに忠実に2個入りを再現している。
    しかし、シミュレーションには不要なので、1個だけで使えるよう、以下のように定義を修正する。

$ diff njm4558C_v1.lib.bak njm4558C_v1.lib
13,16d12
< .SUBCKT NJM4558C OUT1 -IN1 +IN1 V- +IN2 -IN2 OUT2 V+
< X1 +IN1 -IN1 V+ V- OUT1 njm4558C_s
< X2 +IN2 -IN2 V+ V- OUT2 njm4558C_s
< .ENDS NJM4558C
25c21
< .subckt njm4558C_s 1 2 3 4 5
---
> .subckt NJM4558C 1 2 3 4 5
84c80
< .ends njm4558C_s
---
> .ends NJM4558C
  1. 「opamp2」を選択して配置する スクリーンショット 2016-03-20 14.34.16.png スクリーンショット 2016-03-20 14.35.09.png
  2. 右クリックして「Open Symbol」をクリック スクリーンショット_2016-03-20_14_35_18.png
  3. 以下のような画面が立ち上がる。(これはシンボルエディタのようだ。) スクリーンショット 2016-03-20 14.35.36.png
  4. 右クリックで、View - Attribute Table を選択 スクリーンショット_2016-03-20_15_09_45.png
  5. Value に「NJM4558C」を、ModelFile に「njm4558C_v1.lib」を記載する。 スクリーンショット 2016-03-20 15.17.14.png
  6. 保存 「njm4558c.asy」として保存する。
~/library/application support/ltspice/lib/sym/opamps/njm4558c.asy

使い方

  1. 「NJM4558C」を選択して配置 スクリーンショット 2016-03-20 16.46.51.png

テスト

追加した「NJM4558C」を使って、簡単な発振回路でテストした。
スクリーンショット 2016-03-20 17.14.07.png

スクリーンショット 2016-03-20 17.14.27.png

Github

  • 今回の追加分を含む、lib配下一式を以下にアップしています。
    https://github.com/exabugs/LTspice
  • 上記の手順が面倒な方は、clone すれば、すぐ使えるようになります。

まとめ

  • 「秋月」「千石」で扱う部品については、Githubに、今後、適宜追加していく予定です。

参考文献

  1. http://netlog.jpn.org/r271-635/2012/12/ltspice-inst-adddevice.html
  2. http://www.eleki-jack.com/KitsandKids2/2008/06/ltspice20op1.html
  3. http://www.eleki-jack.com/KitsandKids2/2008/06/ltspice21op2.html
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