36
37

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

More than 5 years have passed since last update.

回路シミュレーション LTspice の使い方(2) 部品の追加

Last updated at Posted at 2016-03-20

概要

LTspice の使い方 (部品の追加)

はじめに

LTspice は非常に便利に、回路のシミュレーションを行ってくれる。
しかし、どうも部品が足りない。
実際のところ「秋月」「千石」あたりで入手可能な部品で回路は作るのだから、そのあたりがシミュレーションできなければ、意味がない。
そこで、「秋月」で入手可能なトランジスタとオペアンプについて、2,3種類を追加した。

LTspice の使い方については、下記も参考して下さい。
「ESP8266 (ESP-WROOM-02) 回路シミュレーション・ツール LTspice (無料) の使い方 まとめ」
http://qiita.com/exabugs/items/59536e2a52aa460087d5

ディレクトリ構成

LTspice の部品群は、以下のフォルダにある。(Macの場合)

~/Library/Application\ Support/LTspice/lib

サブフォルダは、それぞれ、以下の内容の定義ファイルを含んでいる。

フォルダ 内容
cmp ダイオードやトランジスタなどのパラメータ・モデルのデータ・ファイル
sub デバイスの回路情報がセットされたlibファイルやsubファイル
sym 回路図を作成する時のデバイスのシンボルのデータ

トランジスタ

トランジスタの定義はcmp配下に置かれている。
ここでは、最も有名なトランジスタ NPN型「2SC1815」、PNP型「2SA1015」 を追加する。

追加手順

  1. cmp/standard.bjt に以下を追記する。(参考文献:1)
  • 【注意】 2SC1815/2SA1015系 の Spice データについて (2016/04/16)
    Vaf(アーリー電圧) が 6 となっているものが多数見受けられます。これは明らかに値がおかしい。
    6 から 100 に値を変更します。(Github 修正済み)
    スクリーンショット 2016-04-16 15.32.11.png

  • 【注意】 2SC1815/2SA1015系 の Spice データについて (2016/04/16)
    Ikf(順方向高電流域ロールオフ・ポイント)についても、値がおかしいです。2SC1815 では 20mA になっています。これでは値が小さすぎます。
    hfeが半分(50%)に低下するコレクタ電流(Ic)をIfkとして設定すればよいので、データシートより、2SC1815, 2SA1015 共に 200mA が適当です。
    スクリーンショット 2016-04-16 21.14.39.png

データシート
http://akizukidenshi.com/download/2sc1815-gr.pdf
http://akizukidenshi.com/download/2sa1015-gr.pdf

*Low Noise Amp PC=0.4W Ic=0.15A Vcbo=60V Complementary 2SA1015
.model 2SC1815 NPN(Is=2.04E-15 Xti=3 Eg=1.11 Vaf=100 Bf=300 Ne=1.5 Ise=0
+ Vceo=50 Icrating=150m mfg=TOSHIBA
+ Ikf=200m Xtb=1.5 Br=3.377 Nc=2 Isc=0 Ikr=0 Rc=1 Cjc=1p Mjc=.3333
+ Vjc=.75 Fc=.5 Cje=25p Mje=.3333 Vje=.75 Tr=450n Tf=20n Itf=0 Vtf=0 Xtf=0)

.model 2SC1815-GR NPN(Is=2.04E-15 Xti=3 Eg=1.11 Vaf=100 Bf=300 Ne=1.5 Ise=0
+ Vceo=50 Icrating=150m mfg=TOSHIBA
+ Ikf=200m Xtb=1.5 Br=3.377 Nc=2 Isc=0 Ikr=0 Rc=1 Cjc=1p Mjc=.3333
+ Vjc=.75 Fc=.5 Cje=25p Mje=.3333 Vje=.75 Tr=450n Tf=20n Itf=0 Vtf=0 Xtf=0)

.model 2SC1815-Y NPN(Is=2.04E-15 Xti=3 Eg=1.11 Vaf=100 Bf=200 Ne=1.5 Ise=0
+ Vceo=50 Icrating=150m mfg=TOSHIBA
+ Ikf=200m Xtb=1.5 Br=3.377 Nc=2 Isc=0 Ikr=0 Rc=1 Cjc=1p Mjc=.3333
+ Vjc=.75 Fc=.5 Cje=25p Mje=.3333 Vje=.75 Tr=450n Tf=20n Itf=0 Vtf=0 Xtf=0)

*Low Noise Amp PC=0.4W Ic=0.15A Vcbo=50V Complementary 2SC1815
.model 2SA1015 PNP(Is=295.1E-18 Xti=3 Eg=1.11 Vaf=100 Bf=300 Ne=1.5 Ise=0
+ Vceo=50 Icrating=150m mfg=TOSHIBA
+ Ikf=200m Xtb=1.5 Br=10.45 Nc=2 Isc=0 Ikr=0 Rc=15 Cjc=66.2p
+ Mjc=1.054 Vjc=.75 Fc=.5 Cje=5p Mje=.3333 Vje=.75 Tr=10n Tf=1.661n Itf=0 Vtf=0 Xtf=0)

.model 2SA1015-GR PNP(Is=295.1E-18 Xti=3 Eg=1.11 Vaf=100 Bf=300 Ne=1.5 Ise=0
+ Vceo=50 Icrating=150m mfg=TOSHIBA
+ Ikf=200m Xtb=1.5 Br=10.45 Nc=2 Isc=0 Ikr=0 Rc=15 Cjc=66.2p
+ Mjc=1.054 Vjc=.75 Fc=.5 Cje=5p Mje=.3333 Vje=.75 Tr=10n Tf=1.661n Itf=0 Vtf=0 Xtf=0)

.model 2SA1015-Y PNP(Is=295.1E-18 Xti=3 Eg=1.11 Vaf=100 Bf=200 Ne=1.5 Ise=0
+ Vceo=50 Icrating=150m mfg=TOSHIBA
+ Ikf=200m Xtb=1.5 Br=10.45 Nc=2 Isc=0 Ikr=0 Rc=15 Cjc=66.2p
+ Mjc=1.054 Vjc=.75 Fc=.5 Cje=5p Mje=.3333 Vje=.75 Tr=10n Tf=1.661n Itf=0 Vtf=0 Xtf=0)

使い方 (2SC1815)

  1. NPN型を選択して配置
    スクリーンショット 2016-03-20 14.50.37.png

  2. 右クリックして、「Pick new transistor」をクリック
    スクリーンショット_2016-03-20_14_50_50.png

  3. 「2SC1815」が選択できるようになっているはず。選択すると以下になる。
    スクリーンショット 2016-03-20 14.51.24.png

  4. 完成
    スクリーンショット 2016-03-20 14.51.49.png

オペアンプ

オペアンプやICなどの複雑な部品は「マクロモデル」という形でsub配下に置かれている。
ここでは、秋月で商品取扱がある、新日本無線のオペアンプ「NJM4558DD」を追加する。(参考文献:2,3)

追加手順

  1. 新日本無線からマクロモデルをダウンロード
    (「NJM4558DD」は探しても見つからないので、「オペアンプ バイポーラタイプ マクロモデル」にある「NJM4558C」で代替する。)
    http://www.njr.co.jp/products/semicon/design_support/macro/macro.html

  2. 展開したフォルダにある「njm4558C_v1.lib」を、subディレクトリにコピー

  3. 【重要】「njm4558C_v1.lib」の内容を修正
    「njm4558C_v1.lib」はパッケージに忠実に2個入りを再現している。
    しかし、シミュレーションには不要なので、1個だけで使えるよう、以下のように定義を修正する。

$ diff njm4558C_v1.lib.bak njm4558C_v1.lib
13,16d12
< .SUBCKT NJM4558C OUT1 -IN1 +IN1 V- +IN2 -IN2 OUT2 V+
< X1 +IN1 -IN1 V+ V- OUT1 njm4558C_s
< X2 +IN2 -IN2 V+ V- OUT2 njm4558C_s
< .ENDS NJM4558C
25c21
< .subckt njm4558C_s 1 2 3 4 5
---
> .subckt NJM4558C 1 2 3 4 5
84c80
< .ends njm4558C_s
---
> .ends NJM4558C
  1. 「opamp2」を選択して配置する
    スクリーンショット 2016-03-20 14.34.16.png
    スクリーンショット 2016-03-20 14.35.09.png
  2. 右クリックして「Open Symbol」をクリック
    スクリーンショット_2016-03-20_14_35_18.png
  3. 以下のような画面が立ち上がる。(これはシンボルエディタのようだ。)
    スクリーンショット 2016-03-20 14.35.36.png
  4. 右クリックで、View - Attribute Table を選択
    スクリーンショット_2016-03-20_15_09_45.png
  5. Value に「NJM4558C」を、ModelFile に「njm4558C_v1.lib」を記載する。
    スクリーンショット 2016-03-20 15.17.14.png
  6. 保存
    「njm4558c.asy」として保存する。
~/library/application support/ltspice/lib/sym/opamps/njm4558c.asy

使い方

  1. 「NJM4558C」を選択して配置
    スクリーンショット 2016-03-20 16.46.51.png

テスト

追加した「NJM4558C」を使って、簡単な発振回路でテストした。
スクリーンショット 2016-03-20 17.14.07.png

スクリーンショット 2016-03-20 17.14.27.png

Github

  • 今回の追加分を含む、lib配下一式を以下にアップしています。

    https://github.com/exabugs/LTspice
  • 上記の手順が面倒な方は、clone すれば、すぐ使えるようになります。

まとめ

  • 「秋月」「千石」で扱う部品については、Githubに、今後、適宜追加していく予定です。

参考文献

  1. http://netlog.jpn.org/r271-635/2012/12/ltspice-inst-adddevice.html
  2. http://www.eleki-jack.com/KitsandKids2/2008/06/ltspice20op1.html
  3. http://www.eleki-jack.com/KitsandKids2/2008/06/ltspice21op2.html
36
37
1

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
36
37

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?