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GoogleアナリティクスIQ(GAIQ)学習ガイド 一気読み

Last updated at Posted at 2015-04-11

Google アナリティクス IQ 学習ガイド

デジタル解析の始め方

デジタル解析の重要性

デジタル解析とは、ビジネス データを定量的、定性的に解析することであり、顧客や見込み顧客が利用するオンライン環境を継続的に改善し、それを業績(オンラインとオフラインの両方)につなげていくための競争とも言えます。

デジタル解析の手順の中で特に重要なのは、最終的なビジネス目標と、その達成度を測定する方法を定めることです。オンラインのビジネス目標は主に次の 5 つです。

  • e コマースサイトの場合は商品やサービスを販売することが明確な目標となります。
  • 見込み顧客の発掘を目的としたサイトの場合はユーザーの情報を収集し、営業チームと見込み顧客のつながりを強化することが目標となります。
  • コンテンツ サイトを運営している場合は、エンゲージメントを強化してリピート訪問を増やすことが目標となります。
  • オンライン情報サイトやサポート サイトの場合は、ユーザーに適切なタイミングで必要な情報を提供することが主要目標となります。
  • ブランド認知度の向上を目的としたサイトの場合は、認知度とエンゲージメントを高め、リピート訪問を増やすことが主要目標となります。

ウェブサイトやモバイルアプリには、ビジネス目標と結び付く重要な操作があります。e コマースサイトでの購入などのこうした操作が目標達成の指標となり、「マクロ」コンバージョンとなります。サイト上の操作の中には、ユーザーが主要目標には達しなかったものの、それに近い地点までは到達したことを示す指標となるものもあります。e コマースの場合では、メール クーポンの受け取り、新商品に関する情報通知への登録などがこれに該当し、「マイクロ」コンバージョンとなります。マクロ、マイクロの両方のコンバージョンを測定してより多くの行動データを収集し、目標達成へとつながるオンライン環境を整備するには何が効果的なのかを把握することが大事です。

重要な分析テクニック

セグメントを利用するとデータの一部を抽出して解析できます。たとえばマーケティング チャネルごとにデータを分割すれば、販売件数の増加に貢献しているチャネルを見極めることができます。セグメントを利用してデータを細かく分割することで、集計データに変化をもたらした要因を把握することができます。

例:

  • 日付や時間帯でデータを分割すれば、特定の曜日、特定の時間帯ごとにサイトを訪問したユーザーの行動を比較することができます。
  • デバイス別にデータを分割すると、PC、タブレット、携帯電話などに分けてユーザーの傾向を比較することができます。
  • マーケティング チャネル別にデータを分割すれば、さまざまなマーケティング活動の成果を比較できます。
  • 地域別にデータを分割すると、高い成果が上がっている国や地域、都市を特定することができます。
  • リピーターと新規ユーザーなど、ユーザーの特性でデータを分割すれば、得意客を増やす要因を把握する助けとなります。

コンバージョンとアトリビューション

マクロ コンバージョンは、ユーザーがビジネス上の価値が高い操作を完了したときに発生します。e コマース ビジネスの場合、一般的には取引の完了が最も重要なマクロ コンバージョンです。マイクロ コンバージョンも重要度の高い行動ですが、成果に直結するものではありません。通常はユーザーがマクロ コンバージョンに近づいたことを示す指標となります。ユーザーがコンバージョン経路のどの位置にいるのかを把握するのに役立つため、マイクロ コンバージョンの測定も重要です。

アトリビューションとは、コンバージョンに対する貢献度を割り当てることを指します。ラストクリック型のアトリビューションでは、収益を生んだ最後のマーケティング活動にコンバージョンの貢献度がすべて割り当てられます。各チャネルの貢献度を分析できるその他のアトリビューション モデルもあります。たとえば終点として機能したチャネルではなく、ユーザーを購入経路に引き込む起点となったチャネルにすべての貢献度を割り当てるモデルもあります。こちらはファースト クリック型のアトリビューションと呼ばれます。購入経路上の各チャネルに貢献度を少しずつ割り当てるモデルもあります。

測定プランの策定

測定プランは以下のように構成されます。

  • 測定プランを定義する
    1. ビジネス目標を文書化する
    2. 目標達成に向けた戦略を特定する
    3. 主要業績評価指標となる指標を選ぶ
    4. データの分割方法を決める
    5. 主要業績評価指標の目標値を定める
  • 導入プランを策定する

ビジネス目標を定義して技術環境を文書化したら、使用している解析ツールに応じた導入プランを策定します。Google アナリティクスの場合、測定プランで定義したデータをトラッキングするために、コードとサービス特有の機能を定義することがこれに該当します。

  • プランを実行に移す

続いてウェブ開発チームやモバイルチームに対し、プランでていぎトラッキング戦略を実際に導入するよう指示します。ウェブサイトで使用されている技術によっては、次のようなプランも必要になる場合があります。

  • クエリ文字列パラメータ
  • サーバー リダイレクト
  • Flash / AJAX イベント
  • 複数ドメイン / サブドメイン
  • レスポンシブ ウェブ デザイン

Google アナリティクスの場合、ウェブサイト向けの導入プランでは以下のような設定作業が一般的です。

  • 標準の Google アナリティクス トラッキング コードを設定します。必要となる大量のデータを参照できるようになります。
  • 主要業績評価指標のトラッキング方法を決めます。e コマースの場合は目標のトラッキングや e コマース モジュールを活用します。
  • フィルタ機能を使用してデータを正規化し、レポートの正確性と有用性を高めます。
  • マーケティング キャンペーンを適切にトラッキングするために、キャンペーン トラッキングと AdWords のリンク設定を行います。
  • カスタマイズしたマイレポートやカスタム レポートを活用し、レポート関連の作業を効率化します。

    • 管理と最適化

測定プランの最後のステップはプランの管理と最適化です。ビジネス要件も技術環境も変化していくため、測定プランを管理するチームがいなければ、レポートのデータの有用性を保つことはません。

Google アナリティクスのデータの見方と活用方法

Google アナリティクスの仕組み

Google アナリティクスのシステムを構成する主要素は、データ収集、構成、データ処理、レポートの 4 つです。

  1. データ収集: Google アナリティクスでは、ウェブサイトやモバイルアプリのほか、キオスク端末や POS などのデジタル接続環境でのユーザーによる操作の情報を収集できます。ウェブサイトの場合は JavaScript コードを使用して情報を収集します。このひとまとまりの情報を「ヒット」または「インタラクション」と呼びます。「ヒット」はユーザーがトラッキング対象のページを開くたびに送信されます。 モバイルアプリの場合は、トラッキング対象とするアクティビティごとにコードの追加が必要です。ただし、携帯端末はインターネット接続が途切れる場合もあるため、データを収集用のサーバーにリアルタイムで常に送信し続けることはできません。これに対処するため、Google アナリティクスでは「ヒット」を保管し、デバイスの接続が回復したときにそのデータをサーバーにディスパッチしています。
  2. データ処理: ユーザーのヒットが Google のサーバーに送信されたら、データ処理に入ります。元データを有用なデータに「変換」する段階とも言えます。
  3. 構成: この段階では、フィルタなどの設定が元データに適用されます。処理が終わったデータはデータベースに保管され、変更不可となります。
  4. レポート: 通常はウェブ上の管理画面(www.google.com/analytics)からデータにアクセスしますが、独自のアプリケーション コードや Core Reporting API を使用して Google アナリティクス アカウントから自動的にデータを取得することも可能です。

重要な指標とディメンションの設定

Google アナリティクスのレポートはディメンションと指標で構成されています。通常、ディメンションと指標は表内に表示され、最初の列にはあるディメンションの値の一覧が、残りの列にはそれに対応する指標が表示されます。

  • ディメンションはユーザー、セッション、ユーザーの操作の性質を表します。
  • 指標はユーザー、セッション、ユーザーの操作を数値的に測定したもので、数値データとなります。

Google アナリティクスでの実用的なデータの収集

アカウントの作成

Google アナリティクス アカウントを開設すると、トラッキング対象としてウェブサイトかモバイルアプリのいずれかを選択するよう求められます。この選択に応じて、データ収集に必要なコードを追加するための手順が表示されます。

ウェブサイトをトラッキングする場合は、生成される JavaScript コードをトラッキング対象とするサイトの各ページに追加する必要があります。各ページの先頭にある head 終了タグの前にこのコードを挿入することをおすすめします。テンプレートを使ったサイトの場合、そこに直接コードを追加しても構いません。

モバイルアプリをトラッキングする場合は、モバイル用ソフトウェア開発キット(SDK)をダウンロードし、開発チーム内で共有します。Android と iOS 用の SDK がそれぞれ用意されています。

サイトにコードを追加すると、リアルタイム レポートにすぐにデータが表示されるようになります。

また、Google アナリティクスのトラッキング コードは、Google タグマネージャなどのタグ管理ツールを使用してサイトに追加することも可能です。

アカウントの構成について

Google アナリティクス アカウントでは、ビジネスの観点からすべてのデジタル資産のデータを論理的に分類することができます。ユーザーのアクセス権の管理など、アカウント全体に適用できる設定も用意されています。

各アカウントには、データ収集の単位となるプロパティを 1 つ以上設けることができます。どのデータを収集、保管してレポートに表示するのかを判別するため、各プロパティには固有のトラッキング ID が割り当てられます。アカウントは通常、事業ごとまたは事業単位ごとに作成します。それからそのアカウント内で、さまざまなウェブサイトやモバイルアプリなど、各事業のデジタル資産ごとにプロパティを作成できます。

各プロパティにはデータ参照用のビューを複数設けることができます。ビューでは、親プロパティのデータの参照方法を定義することができます。ビューの定義はアカウントの設定で行います。各プロパティには少なくとも 3 つのビューを作成しましょう。

  • デフォルトでは、プロパティを作成するとフィルタが適用されていないビューが自動的に 1 つ用意されます。このビューには設定や構成を適用せず、データのバックアップとして保管しておきます。ビューは削除すると元には戻せません。前述のフィルタ未適用のビューのようなバックアップ ビューを必ず用意しておきましょう。
  • 次に基本となるビューを用意します。このビューには、データを有用な情報に変換するために必要な設定をすべて盛り込みます。
  • テスト用のビューも必要です。設定の変更が必要になったときは、まずこのビューでテストしましょう。どのような影響があるかを把握したら、基本となるビューに同じ変更を適用します。

新しいビューを作成しても、元のビューの履歴データが自動的にコピーされるわけではありません。新しいビューで扱えるのは作成日以降のデータだけです。

基本的なフィルタ設定

フィルタの機能は以下のとおりです。

  • データを除外する
  • データを含める
  • レポートでのデータの表示方法を変更する

フィルタを利用すると、ビジネス上のニーズに合わせて効果的にレポートのデータを変換することができます。

Google アナリティクスでは、処理の段階でウェブサイトやアプリから収集した元データにフィルタを適用します。各ビューのレポートに表示されるのは、この変換後のデータです。

フィルタを利用すると、たとえば社内の従業員のトラフィックを除外することができます。その場合は、事業所の IP アドレスからのデータをすべて除外するフィルタを作成するのが最も簡単です。処理の際に該当の IP アドレスからのデータがすべて除外されます。

フィルタはデータの整理にも役立ちます。たとえば、ウェブサイトによっては URL の大文字 / 小文字が区別されず同じページが表示される場合がありますが、Google アナリティクスでは大文字 / 小文字のデータが区別されるため、このようなケースではレポート内に同じページがばらばらに表示されてしまうこともあります。これを防ぎ、該当のページのデータを集約したい場合は、小文字のフィルタを設定すれば URL を小文字に統一することができます。

目標と e コマースの設定

目標の設定は Google アナリティクスを運用していくうえでの最重要事項の 1 つです。目標を設定すると、コンバージョン数やコンバージョン率などの指標を確認できるようになります。Google アナリティクスのデータを、測定プランで定義した主要業績評価指標と関連付けるためのものと言えます。こうした指標は標準レポートの [コンバージョン] セクションでいつでも確認できますが、Google アナリティクスの他のほぼすべてのレポートでも参照できます。これらのレポートでコンバージョン関連のデータを分割できるため便利です。

コンバージョンを分析する際は、「マクロ コンバージョン」と「マイクロ コンバージョン」を考慮する必要があります。マクロ コンバージョンは主要なビジネス目標となります。マイクロ コンバージョンは、マクロ コンバージョンへとつながる関係性の構築のことを指します。

目標はビュー単位で設定するため、ビューごとに別々の目標を作成できます。目標には 4 つのタイプがあります。

  • URL へのアクセスを目標とするタイプでは、ユーザーがある操作を完了したときに表示されるウェブサイト上のページを指定します。アカウントの開設の場合は、「ご登録ありがとうございました」のページを指定します。商品の購入の場合は領収ページがこれに該当します。このタイプの目標では、指定したページをユーザーが閲覧したときにコンバージョンが記録されます。アプリに目標を設定する場合は、URL へのアクセスではなくスクリーン ビューを目標に設定します。
  • イベントを目標とするタイプでは、PDF のダウンロードや動画再生などの操作をユーザーが行った場合に目標達成となります。このタイプの目標を設定する場合は、イベント トラッキングをウェブサイトに設定する必要があります。
  • 訪問別ページビュー数を目標に設定するタイプでは、ユーザーが閲覧したページ数が指定した数よりも多いか少ないかが目標達成の基準となります。
  • 訪問時間を目標に設定するタイプでは、ユーザーの訪問時間が指定した時間よりも長いか短いかが目標達成の基準となります。

目標のコンバージョンと e コマースの取引成立の間には重要な違いがあります。1 回の訪問中に目標のコンバージョンは 1 回しか記録されませんが、e コマースの取引成立は複数回記録される場合があります。たとえば、PDF のダウンロードを目標に設定したとします。この場合は PDF のダウンロードが目標のコンバージョンとなりますが、この目標の価値が 500 円だとすると、仮にあるユーザーがサイトを訪問して 1 回のセッション中に PDF を 5 回ダウンロードしたとしても、記録されるコンバージョンは 1 回、価値は 500 円分となります。しかし、これらのダウンロードそれぞれを 500 円分の e コマースの取引成立としてトラッキングした場合は、取引成立が 5 回、計 2,500 円分の e コマース収益が記録されます。

基本的には、目標値は累計値になるため e コマース以外の目標にのみ追加することをおすすめします。目標値を追加し、e コマース トラッキング コードで取引成立をトラッキングする場合、Google アナリティクスでは取引の金額が目標値に追加されます。

キャンペーン データの収集

Google アナリティクスのレポートの操作

レポートの概要

ユーザー レポート

ユーザー レポートについて

集客レポート

AdWords レポート

行動レポート

カスタム レポートとマイレポート

コンバージョン レポートの操作

ゴールフロー レポート

e コマース レポート

マルチチャネル レポート

マルチチャネル レポートは、各コンバージョンや取引成立につながった一連の訪問で構成されるコンバージョン経路を基に作成されます。デフォルトでは過去 30 日以内のインタラクションがコンバージョン経路に含まれますが、各レポートの上部にある [トラッキング対象期間] でこの期間(1~90 日)を変更できます。

アシスト コンバージョン レポートには、チャネルの役割と貢献度の概要が表示されます。

  • 「アシスト」系の指標は、そのチャネルがアシストした販売やコンバージョンの件数と金額を示しています。
  • 「ラストクリック」系の指標は、そのチャネルが終点となった販売やコンバージョンを示しています。
  • 「ファースト クリック」系の指標は、そのチャネルが起点となった販売やコンバージョンの件数と金額を示しています。

アシスト コンバージョン レポートには、各チャネルのアシスト コンバージョンとラストクリック コンバージョン(直接コンバージョン)の比率が表示されます。この比率を参照すれば、コンバージョン経路上における各チャネルの役割を把握できます。

  • 値が 0 に近いほど、販売やコンバージョンに対して、そのチャネルは起点やアシストよりも終点としての貢献度が高いということになります。
  • 値が 1 に近ければ、販売やコンバージョンに対して、そのチャネルはアシストとしての貢献度と終点としての貢献度が等しいということになります。
  • 値が 1 を超えると、販売やコンバージョンに対して、そのチャネルはアシストとしての貢献度が高いということになります。

コンバージョン経路レポートには、コンバージョンにつながった一連のチャネル インタラクションがすべて表示されるほか、経路ごとのコンバージョン数やコンバージョン値も表示されます。期間レポートには、ユーザーのコンバージョン経路における起点から終点までの日数が表示されます。これにより、オンラインの販売サイクルの長さを把握することができます。

経路の数レポートでは、ユーザーのコンバージョン経路に含まれるチャネル インタラクションの回数ごとにコンバージョンを確認できます。一般的なユーザーが、どの程度の回数サイトを訪問してからコンバージョンに至っているのかを確認できます。

アトリビューション レポート

アトリビューション レポートでは、さまざまなタイプのアトリビューション モデルを比較して広告費用対効果を把握することができます。時間の経過とともに複数のマーケティング チャネルへの予算の割り当てを改善していくことが可能です。アトリビューション モデルとは、コンバージョン経路上の各チャネルが、販売やコンバージョンにどの程度貢献しているのかを見極めるための一連のルールのことを指します。Google アナリティクスでは、多くのレポートで「ラストクリック型」のアトリビューション モデルが使用されていますが、モデル比較ツールを使用すればその他のさまざまなモデルを使用できます。

プラットフォームの仕組み: 基本要素

プラットフォームの構成要素

アナリティクスのプラットフォームは「収集」、「構成」、「処理」、「レポート」の 4 つで構成されています。

収集

データを収集するためには、ウェブサイトやモバイルアプリなど、測定対象とするデジタル環境に Google アナリティクスのコードを追加する必要があります。たとえばウェブサイトからデータを収集する場合は JavaScript トラッキング コードを使い、モバイルアプリからデータを収集する場合はソフトウェア開発キット(SDK)を使います。ウェブサイト上のページやモバイルアプリの画面の表示など、ユーザーの行動によってトラッキング コードが実行されると、そのたびに該当の操作が記録されます。まずそれぞれの行動についての情報(ページのタイトルなど)が収集されてから、そのデータが「ヒット」という単位にまとめられて Google のサーバーに送信され、処理されることとなります。

構成と処理

Google アナリティクスではデータ処理の間に、収集された元データがアカウントの設定(構成)に基づき変換されます。たとえばフィルタを設定し、自社の従業員のデータをすべて除外したりできます。この場合、従業員のデータはすべて処理中に除外されるため、レポートの計算対象からは外れます。

設定にとっては、AdWords や AdSense、ウェブマスター ツールなど、他の Google サービスからデータを直接レポートにインポートすることもできます。社内データなど、Google 以外のソースのデータをインポートするよう設定することも可能です。これらのデータ ソースをすべて統合し、アカウント内に表示されるレポートが生成されるのも、この処理中に行われます。

データの処理が完了すると、変更できない点にご注意ください。たとえばフィルタを設定して従業員のデータを除外した場合、該当のデータはレポートから恒久的に除外され、後で復元することはできません。

レポート

処理が完了すると、レポートの管理画面上でデータを参照して解析できるようになります。管理画面には使いやすいレポート ツールやデータの視覚化機能が用意されています。Google Analytics Core Reporting API を使用すれば、体系的にデータを参照できます。この API では、独自のレポート ツールを構築したり、データをサードパーティのレポート ツールに直接抽出したりできます。

データモデル

Google アナリティクスの基本データモデルでは、特定の期間内にユーザーがコンテンツに対して操作を行うと、その際のサイトやアプリに対するエンゲージメントが階層に分けられます。この操作は 3 つのレベルに分けられ、各レベルでユーザー エンゲージメントの範囲が明確に規定されています。

  • ユーザー: サイトを訪問するクライアント。人が操作するブラウザや携帯電話などがこれに該当します。
  • セッション(訪問): ユーザーがサイト上でアクティブな状態にあった期間。
  • 操作(ヒット): GIF リクエスト(ヒット)をアナリティクスのサーバーに送信する個々のアクティビティ。通常はページビューですが、以下も含まれます。
    • ページビュー
    • イベント(ムービーボタンのクリックなど)
    • 取引成立
    • ソーシャル インタラクション

プラットフォームの仕組み: 収集

データ収集の概要

ユーザーの操作に関する情報はトラッキング コードによって収集されます。収集された情報は、画像リクエストを介してまとめられてからアナリティクスのサーバーに送信されます。この画像リクエストがヒットとなり、ウェブサイトやモバイルアプリから Google アナリティクスにデータを運ぶ役割を担っています。

Google アナリティクスでのデータのヒットを生成するトラッキング技術は、ウェブサイトやモバイルアプリなどのトラッキング対象となるデジタル環境によって異なります。たとえばウェブサイトとモバイルアプリでは、ヒットを生成するためのトラッキング コードが異なります。

ヒットの生成以外にも、新規ユーザーとリピーターの識別もトラッキング コードによって行われます。また、データを Google アナリティクス アカウントとつなぐこともトラッキング コードの重要な役割です。これはコードに含まれる固有 ID によって行われます。

ウェブサイトのデータ収集

Google アナリティクスでは、ウェブサイトのデータ収集には JavaScript トラッキング コードが使用されます。このコードでは、収集するデータを制御する analytics.js という JavaScript ライブラリを参照します。

トラッキング対象とする各ページの HTML で、標準のコードを終了タグの直前に追加します。これにより、ページ読み込みのたびにページビューが記録されるようになります。Google アナリティクスのトラッキング コードは、サイト上のすべてのページに追加する必要があります。そうしないと、ウェブサイト上の特定のセッション中に発生した操作に関するデータをすべて収集することはできません。

Google アナリティクスのトラッキング コードでは、JavaScript が非同期的に実行されるため、ブラウザが他のタスクを実行している間にバックグラウンドで JavaScript が実行されます。そのためこのトラッキング コードでは、ブラウザがページの他の部分を表示している間でもデータ収集は続行されます。

トラッキング コードが実行されると、ユーザーを判別するための匿名の固有 ID が生成されます。ID の作成方法はいくつかあります。Google アナリティクス JavaScript のデフォルトではファーストパーティの Cookie が使用されますが、独自の ID を生成して使用することも可能です。

ページが読み込まれると、この JavaScript によって、現在のページ URL などのウェブサイトの情報が収集されます。また、ユーザーの言語設定やブラウザ名、サイトへの訪問に使用されたデバイスやオペレーティング システムなど、ブラウザからも情報が収集されます。これらすべての情報がまとめられ、ページビュー ヒットとして Google のサーバーに送信されます。ブラウザにページが読み込まれるたびにこのプロセスが繰り返されます。

モバイルアプリのデータ収集

JavaScript を使用してデータを収集するウェブサイトの場合とは違い、モバイルアプリのデータ収集にはソフトウェア開発キット(SDK)を使用します。SDK は Android や iOS など OS 別に用意されており、

ユーザーが表示した画面やデバイスのオペレーティング システム、ユーザーがアプリを起動した回数といったアプリに関するデータを収集することができます。データは「ヒット」という単位でアカウントに送られます。JavaScript によってウェブサイトからヒットを送る場合と同様です。

モバイルアプリのデータはすぐにアナリティクスに送信されるわけではありません。ユーザーがアプリ内で操作を行うと、Google アナリティクス SDK によってヒットがデバイスに記録されます。その後、ディスパッチと呼ばれる一括処理によってアナリティクス アカウントにそのデータが送信されます。ディスパッチが必要な理由は以下の 2 つです。

  • 携帯端末はネットワーク接続が途切れることがありますが、接続を確立できない状態では、SDK によるアナリティクスへのヒットの送信が不可能になります。
  • リアルタイムで Google アナリティクスにデータを送信すると、デバイスのバッテリー持続時間が短くなる危険性があります。

このため SDK では、Android デバイスの場合は 30 分ごと、iOS デバイスの場合は 2 分ごとにヒットが自動的にディスパッチされます。ただし、トラッキング コードでこのタイムフレームを変更し、バッテリーの持続時間に与える影響を調整することもできます。

モバイル SDK にはユーザーを判別できる機能もあります。ウェブサイト用のトラッキング コードと同様に、Google アナリティクス SDK では、ユーザーによるアプリの初回起動時にそのデバイスに対応する匿名の固有 ID が生成されます。各 ID がユニーク ユーザーとしてカウントされます。アプリが新しいバージョンにアップデートされてもデバイスの ID は維持されますが、アンインストール時にはアナリティクス SDK によって ID が削除されます。その後アプリが再インストールされた場合は新しい匿名 ID が生成され、そのユーザーはリピーターではなく新規ユーザーとして識別されますが、Google アナリティクスのレポートのその他のデータには影響しません。

Measurement Protocol によるデータ収集

Measurement Protocol を利用すると、ウェブ接続機能を持つあらゆるデバイスから Google アナリティクスにデータを送信できます。Google アナリティクスの JavaScript とモバイル用 SDK では、自動的にヒットが生成されてデータが Google アナリティクスに送信されますが、複数種のデバイスからデータを収集したい場合は、データ収集用のヒットを手動で生成する必要があります。Measurement Protocol を利用すれば、ヒットの生成方法と Google アナリティクスへの送信方法を定義することができます。

プラットフォームの仕組み: 処理と構成

処理と構成の概要

処理の段階では、データに主に 4 つの変換処理を行います。この変換は、プロパティやビューの設定で管理することができます。

  1. Google アナリティクスでは、まず収集したデータがユーザーとセッションごとに分けられます。ユーザーとセッションを識別する際には標準的なルールが適用されますが、これらのルールは設定を変更することでカスタマイズすることができます。
  2. 次に、トラッキング コードを介して収集したデータに、他のソースからのデータを合わせます。設定によっては、Google AdWords や Google AdSense、Google ウェブマスター ツールなどのデータをインポートすることも可能です。その他の Google 以外のシステムからデータをインポートすることもできます。
  3. 続いて、追加した設定内容に合わせてデータが修正されます。これらの設定によってレポートに表示するデータと除外するデータ、データの表示形式が決まります。
  4. 最後にデータが「集計」されます。この段階では、データを合理的に整理し、データベース表に保管することで解析用のデータが準備されます。これにより、必要に応じてデータベース表から即座にレポートを生成することが可能になります。

ヒットをセッションとユーザーに加工

Google アナリティクスでは、最初にデバイスにコンテンツが表示されてヒットが記録されると、固有 ID がランダム生成され、該当のデバイスと関連付けられます。それぞれの固有 ID がアナリティクスのユニーク ユーザーに対応します。この固有 ID はヒットごとに Google アナリティクスに送信され、新しい ID が検出されるたびに新規ユーザーがカウントされていきます。既存の ID の場合はリピーターと見なされます。

これらの ID はリセットまたは削除されることもあります。たとえばユーザーがウェブブラウザで Cookie を削除した場合や、モバイルアプリをアンインストールしてから再インストールした場合などです。こうしたケースでは、次にそのユーザーのデバイスにコンテンツが表示された際に固有 ID が新たに設定されます。この場合、デバイスの ID はそれ以前とは異なっているため、該当のユーザーはリピーターではなく新規ユーザーとしてカウントされます。

Google アナリティクスで自動的に設定される ID はデバイスごとに異なりますが、ID の生成と割り当ての方法はカスタマイズできます。トラッキング コードによってランダム生成される番号ではなく、固有 ID を指定した番号に置き換えることができます。これにより、ユーザーの行動を複数のデバイス間で関連付けることができます。

Google アナリティクスにおけるセッションとは、特定の期間内に特定のユーザーが行った操作の集合体(ヒット)のことを指します。この操作にはページビュー、イベント、取引成立などが含まれます。デフォルトでは、30 分間操作がなければそのセッションは終了となり、この時間をセッションの「タイムアウト」と呼びます。ヒットの受信が止まってからこのタイムアウトの時間を超えると、セッションは終了となります。該当のユーザーから次にヒットが発生した場合は、新しいセッションが開始されます。タイムアウトの長さは、一般的なサイトやアプリに合わせてデフォルトでは 30 分に設定されていますが、この設定はビジネス目標に合わせて変更できます。たとえば 30 分以上の動画を視聴するなど、ウェブサイトやアプリのユーザーがセッション中にコンテンツに対して何らかの操作を行う頻度が低い場合は、セッションのタイムアウトを長くすると効果的です。

Google アナリティクスへのデータのインポート

Google アナリティクスへのデータの組み込みにはトラッキング コードを介する方法が最も一般的ですが、他のソースのデータを追加することもできます。トラッキング コード以外で Google アナリティクス アカウントにデータを追加する方法は、以下の 2 つです。

  • アカウントのリンク設定: アカウントのリンク設定から、さまざまな Google サービスを直接 Google アナリティクスにリンクさせることができます。Google AdWords、Google AdSense、Google ウェブマスター ツールなどです。Google の各種サービスをリンクさせることで、アナリティクスに該当のサービスのデータを取り込むことができます。たとえば AdWords と Google アナリティクスをリンクさせれば、AdWords 広告のクリックや表示回数、費用データをアナリティクスのレポートに表示できるようになります。
  • データのインポート: データをインポートすれば、ユーザーや商品、キャンペーンなどのさまざまなデータを追加することができます。Google アナリティクスにデータをインポートするには、アナリティクスで収集するデータとインポートするデータに共通の「キー」があることが必須条件となります。このキーが 2 つのデータセットをつなぐ共通の要素となります。

データの変換と集計

データの処理で重要な位置を占めるのが変換と集計です。Google アナリティクスでは、変換と集計を介して設定が適用され、レポートのデータが用意されます。

設定がレポートに与える影響には 3 つあり、データを含める、データを除外する、またはビューにおけるデータの表示方法を変更するという形をとります。設定の中でも特に重要なのは、フィルタ、目標、グループ化です。

  • フィルタを利用すると、ビュー内のデータを柔軟に変更できます。データを除外したり含めたり、レポートでの表示方法を変更したりできます。ニーズに合わせて効果的にレポートのデータを変換することができます。
  • 目標を設定すると、Google アナリティクスでコンバージョン率を算出することが可能になります。たとえばニュースレターの購読登録を目標に設定すれば、ユーザーが申し込みを完了するたびにコンバージョンがカウントされます。
  • グループ化では、一部のデータをひとまとめにして成果を集合的に解析することができます。Google アナリティクスで作成できるグループにはチャネル グループとコンテンツ グループの 2 種類があります。チャネル グループは一般的なマーケティング活動をまとめたものです。たとえばディスプレイ広告、ソーシャル メディア、メール マーケティング、有料検索の 4 つが一般的なチャネル グループで、それぞれのマーケティング活動を集合的に解析できます。コンテンツ グループはチャネル グループとほぼ同様ですが、コンテンツをグループ化して解析できる点に違いがあります。たとえば e コマース ビジネスを運営している場合は、T シャツ、ジーンズ、帽子などの商品関連のページを「商品ページ」としてグループ化し、ブログなどのコンテンツ関連のページは「コンテンツ ページ」としてグループ化すると効果的です。これにより、商品ページとコンテンツ ページの各グループの成果を、集合的かつ迅速に参照できるようになります。

フィルタ、目標、グループ化などの設定が適用されると、データ処理の最終段階でそれに基づき集計が行われます。この集計中にレポートのディメンションが作成され、サマリー表に整理されます。Google アナリティクスでは、ディメンションのそれぞれの値についてレポートの指標が事前計算され、対応する表に記録されます。Google アナリティクスのレポートを開くと、これらのデータが保管されているサマリー表にクエリが送信され、特定のディメンションと指標が返されます。こうした表にデータを保管しておくことで、リクエストが送信された際に迅速にレポートのデータを表示することが可能になります。

プラットフォームの仕組み: レポート

レポートの概要

Google アナリティクスのレポートはすべてディメンションと指標の組み合わせから成ります。標準レポートでは、表の最初の列にディメンションの値、他の列にそれに対応する指標が表示されます。

一般的には、Google アナリティクスの管理画面を介してデータを参照します。レポートや解析に関するほとんどのニーズに簡単に対応できるためです。この管理画面はデータの上にレイヤーを重ねたようなもので、さまざまな解析ツールでデータを整理、分割、フィルタリングできるようになっています。

管理画面の他にも、API(アプリケーション プログラミング インターフェース)を使用して Google アナリティクスから直接データを抽出することもできます。API を使用すれば、プログラムによって、社内ダッシュボードなどの独自のツールに分析データを組み込むことができます。これにより、業務に応じてレポート処理を自動化したりカスタマイズしたりできます。

通常はレポートの管理画面や API からデータをリクエストすると、即座にデータが表示されます。しかし複雑なデータをリクエストする場合などでは、サンプリングが行われることもあります。サンプリングを行えばデータを迅速に取得できるため、データのリクエストから取得までに長い時間がかかることもなくなります。

ディメンションと指標によるレポートの作成

Google アナリティクスのレポートはディメンションと指標で構成されています。ディメンションはデータの性質を表します。たとえばセッションのディメンションは、ユーザーをサイトに呼び込んだ参照元です。接点のディメンションは、サイトでユーザーが参照したページ名などです。指標はデータを定量化したものです。ウェブサイトやアプリのユーザー数などの単純な件数のほか、セッション中に閲覧されるページ数の平均などの平均値も指標です。

ディメンションと指標は組み合わせて使用します。ディメンションと指標の値と、それらの値の関係性がデータに意味をもたらします。ただし、指標とディメンションの組み合わせにも決まりがあります。どちらも対応範囲はユーザー、セッション、ヒットのいずれかの階層なので、レポートでは同じ階層のもの同士を組み合わせる必要があります。

たとえば訪問数はセッション基準の指標のため、組み合わせることができるのは参照元や地域といったセッション基準のディメンションのみです。ページのタイトルなどのヒット基準のディメンションと組み合わせても意味はありません。

また、ページ滞在時間はヒット基準の指標であり、ユーザーがサイト上のページにどのくらいの時間滞在したかを測定しますが、参照元や地域などのセッション基準のディメンションと組み合わせることはできません。そうしたケースでは、訪問時の平均滞在時間など、セッション基準の指標を使用する必要があります。

レポート用 API

Google アナリティクスのレポート用 API を使用すれば、レポート関連の複雑な作業を自動化して時間を節約できます。たとえば API を使用して、ビジネス関連の独自のデータを Google アナリティクスに組み込み、独自のダッシュボードを作成できます。

レポート用 API を使用するにはアプリケーションの開発が必要です。アプリケーションには、クエリを記述して API に送信できる機能が必要です。この API はクエリを使用してサマリー表からデータを取得してから、リクエストされたデータを含むアプリケーションに応答を返します。

API に送信する各クエリには、データを取得するビューの ID、レポート期間の開始日と終了日、使用するディメンションと指標などの特定の情報を含める必要があります。クエリでは、オンラインでレポートの管理画面のツールを使用する場合と同じように、データに適用するフィルタやセグメント、表示順を指定することもできます。

API から返されるデータは、見出し行とデータ行から成る表です。見出し行には各列の名前とデータタイプ、つまりディメンションまたは指標の名前が記載されます。

レポートのサンプリング

サンプリングとは、蓄積された全データではなく、データの一部をランダムに抽出してレポートに反映する手法のことを指します。Google アナリティクスなどのプログラムでサンプリングを行うと、レポートの生成プロセス中にすべてのデータを集計する場合よりも、データを迅速に集計できるようになります。

Google アナリティクスでは、事前集計によって標準レポートのデータが準備され、サマリー表に保管されます。これにより、通常はサンプリングなしでもすばやくデータを表示できます。

しかし場合によっては、セグメントやセカンダリ ディメンションの追加などのカスタマイズを行い、標準レポートの一部を変更することもあれば、ディメンションと指標を独自に組み合わせたカスタム レポートを作成することもあります。

レポートの管理画面やレポート用 API でこうしたカスタマイズを行う場合、Google アナリティクスではサマリー表が分析され、表内にある処理済みのデータでリクエストに対応できるかどうかが確認されます。対応できない場合は、未加工のセッション データに戻って集計データがすばやく処理されます。このケースでは何回分のセッションをリクエストに含めるかがチェックされ、そのセッション数が多くない場合は、すべてのセッションを考慮してリクエストのデータが計算されます。しかし数が多い場合は、サンプリングを行ってリクエストに対応します。

こういった計算に使用するセッション数をサンプル数と言います。サンプル数はレポートの管理画面の設定を使用するか、API をクエリする際に指定することで変更できます。サンプル数を増やすと計算対象のセッション数が増えますが、レポートの生成にかかる時間が長くなります。サンプル数を減らすと計算対象のセッション数が減りますが、レポートの生成に要する時間は短くなります。

Google アナリティクスでは、レポートのデータの計算に使用できるセッション数に上限が設けられています。この上限を超えるとサンプリングが行われます。上限超えの防止策としては、レポートの対象期間を短くして、リクエストの計算に必要なセッション数を減らすという方法があります。また、Google アナリティクス プレミアムでは、非サンプリング レポートも利用できます。この機能では、サンプル数の上限を超える大規模なレポートの場合でも、カスタムのリクエストに対して非サンプリング データが引用されます。

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